男の料理は色々うるさい
彼の作るカレーは実に凝っているらしく
野菜だの果物だのがどっさりと入っていて
長時間煮込むのだそうだ
それはさぞかし美味いだろう
しかしうるさい

特にすりおろし ....
「月と火星が何万年かぶりにデートしてる夜に
そんな話するの、やめようや」

都心から一時間半
駅前にコンビニは一軒
周りは畑というこの駅にも
タクシー乗り場があるのだが
終電まではほとん ....
「オレだよオレ」

その日僕は
喋る鷺をこの目でしっかり見たのです
隣りでは君の咳が止まらずに
ウイルスが部屋中に降り積もって
負けじと僕も僕のウイルスを飛ばしながら
お互いのウイルスは僕らと同じように仲良くしてるのかなんて
そんなこと
ど ....
妻と相談して
家にエレベーターを取りつけることにした
けれど、取りつけた後で
この家には二階も地下室も無いことに気が付いた

ボタンを押すと
チーン
と音がして扉が開く
上にまいりませ ....
公開すると後悔しそうなので
航海してキブンをカエテみることにしました
公海をトビダシ
紅海をワタリ
黄海をヌケ
トキには降灰するなかも航海しました
江海でココロを更改し
狡猾したり構会し ....
「石になる」
とは 聞いていたけれど今
あなたを探すと
胸が 林檎になります
有名かもしれませんが

http://www.bananawani.org/guzen/
なんの特徴もない女が
シャンプーのつめ合わせ持ってやってきて
さっきからうちの風呂場で
シャンプーの中身をつめ替えていて
僕は黙って後ろから性交し
女の中に白い精液をつめ込んだ

 ....
果実のように眠る蛇が
枯れ木の枝に揺れながら
見知らぬ少女に呑まれる夢を見ている


少女は蛇を知っている
眠ったままの蛇の頭を
深く口に含んだとき
無味の毒が舌を ....
言葉をなくした二人の間には
天使が通る道が出来るのだと
教えてくれたのは確か君だった

さっきからずっと何も話さないでいる
僕と君の間を
ほら
天使が団体で通り過ぎていく

天使が通 ....
あなたのすべてを愛すには
私の心は小さすぎて
二種類の雨とともに
時は流れて行きました

器に合った形を探そうと
野原に出かけて分かった事は
器には収まらないということ
なのでやがて縁 ....
彼女はレースの手袋をしていた
日傘の陰の中に棲む渦巻のように道に迷い
信号を渡ると必ず赤になるのだった
僕たちは警笛と仲良くなって
赤いビートルのボンネットにひと蹴り入れてからひとごみに消える ....
電車が通ると僕の部屋は震える
飴細工みたいな無数のエナジーが空間に飛び散った

ロクに判りもしない文庫を買うのが趣味だった
生命線に重なり合うところでこがねいろの波にのまれる

脳内がジャ ....
ベビーカーが坂道をすべりおちてゆくその横で僕は時間よ止まって
と強く願ったその頭上に響くヘリコプターの音にハッと仰ぎ見る空、
ちぎれるくらい手を振った
 みずうみの底に咲く花
 そのように
 抱かれたい夜もある

 深いあいいろの
 一重の花びら

 湖上の月はどこまでも細く
 微かな光さえも
 さざなみに散らされて藍きに染まる
 ....
棄てられた道のざわめき
野に沈んだ鉄の轍が
震えるたびに運び来るもの
蒼と紫の光が軋み
激しく小さな 
数え切れない夜になり
雲を鳴らす音とともに
草の波をつくりだ ....
書く端から
言葉がもろい陶器になって
ぱりんぱりん割れていくので
どんなに壁にしがみついても
もう書けないのです
コンクリートは湿ったにおい
かび臭い指先から滴るインクでは記号にならない
 ....
嫌いな奴にぶつけてやりましょう。 犬と暮らした。
名前を毛玉という。
毛玉は足が短い。
散歩に行っても、
僕について来るのが大変そうだ。

線路脇の坂を走る時も、
口の中に本当に収まっていたのかと思う程の
長い舌を出し ....
ほんとにあなたに会いたくて
阿佐ヶ谷とアムステルダムが 草続きだったら
走って行きたい と思います

足をとられるのは
たんぽぽのつるではなく
カマキリの白い糸で
血が流れると
あなた ....
「探し物はなんですか?」

と聞かれて

「見付けにくいものです」

と言う人も
まぁそれ相応の年なのだろうが

「探しものはなんですか?」

と聞かれて

「今それを思い出 ....
咲くものを追い
影は葉のように落ち
描かれた歌を隠した


ふと混じりあい
ふと離れ
振り向き
微笑む日


影は速く
光は遅く
まわりつづける


 ....
誰もいなくなった教室で
同じ図形をノートの端にひたすらに書くということを止められなくて
一本の線で四角をどんどん連鎖させて黒くなるまで
はじまりがどこだか見えなくなっても
鉛筆の先に終わりはま ....
深夜、バスに乗る
乗客もまばらな車内
運転席をのぞくと
濃紺の制服を着た父が座っている

昔、一度だけ
大人になったらバスの運転手になりたかった
という話を聞いたことがある
どこかで何 ....
堂々巡りの話が止まらないのでいっそのこと
回り回って溶けてバターになってやろうかと思ったが
パンのカリカリの表面の上できれいに塗られずに固形のまま
押しつぶされたりするのが嫌だったのでとにかく反 ....
夕べどうしても読みたかった本があって確か俺は持っていたはずなんだけれど今思い出してみると、別れた女に貸しっぱなしになったままであったりする。もう15年も前の話になるので時効は成立しているんだろうか?そ ....  冬納めの儀式は古来より西院にて執り行うものとされている。その間、本尊は伏せられ、黒いラシャ布が被せられる。これを本尊隠しと称する。永年、雪守家の末子の役目とされてきたが、鴉葬以来、毎年、隠し役を選ぶ .... 花が居て
狂いたい
と言った
なにもしてやれないので
川にうつる枝のなかに立ち
はらわたの森をひらき
ここにお入り
と 言った


蝶が来て
狂いたい
と言 ....
何処か知らない 浜辺
の砂の上に座りこんで ぼんやり
海を眺めていたようで
すぐそこの岩屋の蔭

から蟹が一匹
ちろっと動いた ように感じて
眼を凝らそうとしている
つもりが逃げ ....
やぎしきさんのおすすめリスト(700)
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