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人間はへんなことをする。
ぬけるような秋晴れの空だというのに
古いお城に集まって
中世の衣装を着て

お芝居が始まった。
しずしずと歩む男たちの
おそるおそる歩む女たちの
なんという白 ....
西北東三方を山に囲まれ
南東は関東平野に面する内陸県
高崎から下仁田を結ぶ上信電鉄沿線
南蛇井あたりの豪農の何代目かの曽祖父の放蕩がもとで
国を追われて富岡に出てきた祖父徳太郎は
赤貧洗うが ....
打ちっ放しの白いコンクリートの上で
夜明かししたアンバサダーは
太陽の熱に焼かれていて
扉を開けると蒸風呂だ。

エンジンをかけ冷房を入れると
蚊の群れが舞い上がる
慌てふためいて窓を開 ....
一九九〇年一月一六日午後三時三〇分
ガンジス河に架かる浮き橋を渡って
バラナシの町に入ると
古ぼけて崩れかかった石と煉瓦の建物の間の
狭い道路に人が湧いてくる。

インド国産の名車アンバサ ....
一九八九年九月一日のガンジス河は
モンスーンの雨水を集め濁りに濁り
滔滔と流れて行く

ようやく白みかけた空から
朝の光が差し始めると
ガート(沐浴場)に群れ集う夥しい人々がどよめく

 ....

荒れ果てた病院の屋上に登り
からっぽの街を見下ろす
一本の蝋燭すら点らぬがらんとした暗闇が広がる
この街は死につつある
病院の各階の二百二十あるベッドは全て閉ざされ
腎臓透析室も実験室 ....
照り返しの眩しい白い階段をのぼる
六六段を数える
栗の木の緑がむせる
コンクリートの階段だ。

後ろを振り向くとまだのぼってくる人がいる。

毎朝沢山の伝票を抱え
昔のぼった経理部への ....
インドの魔術師から花束を貰った夜
僕は何故平安時代の日本にいたのだろう
うら若い細身の美女に囲まれて

宴が始っていたようで
僕はひとりの女を抱き締めている
官能が昂まり思わず腕に力をいれ ....
長男 22歳 
卒業研究題目「二次元突起列を有する平行平板間の流動性」序論 実験方法 結果 エネルギー 有効利用 機器 小型化高効率 熱交換機 伝熱特性向上 工学上重要 問題 壁面 伝熱促進方 ....
  1
弟悦章は一九五二年四月二九日
英生院法安育徳童男になった。
母こまは一九七九年一二月一九日
淑生院妙玲郁徳信女になった。

父今吉は一九八三年三月二四日
瑞生院法禅嘉徳信士になっ ....
お墓参りに行くから早起きしよう
しかも
いつものように バスと電車とまたバス
ということでなく
自転車で行ってみよう。

そのとおり
めずらしくみな早起きした
長男 長女 二男 三男
 ....
明るい
床の上
人頭大の
石ころが
二つ
向かい合って寝転んでいる。
色違いの格子縞のシャツを着たりして
そのくせ
肉体は
無い。

人は誰も
生まれて
死ぬが
詩人
金 ....
05:50 目覚ましが鳴る
ピッピッピッ
頭を押すと目覚ましが止まる
ピッ ピッ ピッ ピイ ピイ ピイ
小鳥の囀りにかわる
ぼんやりした靄をつきぬけて
06:00 妻が起きる
06 ....
人はなぜ恋文を書いたか
体内の炎を紙につけて燃やすため
でもあるが案外
紙と鉛筆がそこにあったから

近頃では
恋人たちはテレホンカードを消費する
電話器は二十四時間鳴りっぱなしで
体 ....
人々が同窓会に出席するのは
みな自分に会いたいからだ
失われた自分自身を確かめたいのだ
それぞれの顔に刻まれた時間を
みつめあい 納得する
満員鮨詰めの京浜東北線と
鮨詰め満員の山手線電車が
ほとんど同時にホームに滑り込むと
人々はあふれ出て来る

一体何者の意思によってか
もくもくと もこもこと
しつらえられた階段を登って ....
何処か知らない 浜辺
の砂の上に座りこんで ぼんやり
海を眺めていたようで
すぐそこの岩屋の蔭

から蟹が一匹
ちろっと動いた ように感じて
眼を凝らそうとしている
つもりが逃げ ....
北京秋天
見上げる空はひたすら青い
空港へのびてゆくまっすぐな道
あかしや ぽぷら まつ 三重のトンネル

豊かにひろがる畑
樹木に囲まれた家
点々と
丸くなる地球

ビール 白ワ ....
舞台の中央には透明な攪拌機がありまして
僕によく似たピエロが登場します
ピエロは無言で虚空を凝視めると
両手をひらひらさせて様々な八月を取り出します

粗末なリュックに詰め込んだサツマ芋 ....
生まれた街は遥か遠い被膜に遮られ彼方に霞んで
そこに戦火があり七歳の僕は大人たちに囲まれ鉄
路を支える土手に鍋を被せられて伏せ夜空は花火
大会のように明るくて騒がしいその夜焼け失せてし
まった ....
アブシの涙を忘れない
ミスター・アブシの

ベイルート市
ハムラ通りを
エトワールから海岸通りに向かって行くと
左に折れる路地があり
道なりに坂をだらだら登って行くと
右手にケントホテ ....
時代遅れの政治家並に肥満して
申し分ない冷暖房付の部屋に
横たわり 詩をつくるその男の 別して
濁った目と憂鬱な顔こそ 思うに

現代詩そのもののありようとは言える。
ありふれた喫茶店の  ....
やぎしきさんの狸亭さんおすすめリスト(22)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
狸の目玉- 狸亭自由詩203-11-17
今吉とこま- 狸亭自由詩503-11-16
カンプールへ- 狸亭自由詩103-11-14
バラナシにて_Ⅱ- 狸亭自由詩103-11-13
バラナシにて_Ⅰ- 狸亭自由詩203-11-13
死にゆくベイルートの空に光はない- 狸亭自由詩503-11-12
階段- 狸亭自由詩503-11-11
インドの魔術師- 狸亭自由詩403-11-10
平成元年ヤング事情家庭篇- 狸亭自由詩703-11-9
戒名 - 狸亭自由詩303-11-7
おぼん_’86- 狸亭自由詩403-11-5
石が話をしている- 狸亭自由詩303-11-4
何もない日の朝- 狸亭自由詩303-11-2
恋文考- 狸亭自由詩403-10-29
同窓会- 狸亭自由詩303-10-28
- 狸亭自由詩103-10-27
コレスポンダンス- 狸亭自由詩603-10-6
北京—東京三時間半- 狸亭自由詩303-10-1
八月のミックスジュース- 狸亭自由詩603-9-28
鶴見- 狸亭自由詩303-9-26
アブシの涙- 狸亭自由詩203-9-23
肥満譜- 狸亭自由詩503-9-22

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