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きみ
(2000.11.19-12.31 @FCVERSE)
(1/2からつづく)
めいわくなはなし
うしのいろを
かえられ ....
なぜ
目がさめるんだろうって
思ってた
まだ小さなころのこと
ずうっと眠っていられたら
幸せなのに
お金がかかるからよ
カナコさんがわらった
ブランコが行ったり来たりするのは
....
街のはずれで老いた女が営む店は
闇色の菓子がたいそうな評判だったが
だれ一人材料や製法を知らなかった
ある時店が閉まったあとも
客の一人が見張っていると
老いた女は夜更けを待ってふらりと ....
郵便配達人は
来る日も来る日も手紙を配りつづけた
高い塔は目をこらしても先端が見えず
螺旋状の階段にそって扉が等間隔にならんでいた
郵便配達人は封筒の番地を探したが
扉の数字の順がでたら ....
嬉しいことがあるたび
大切な日記を出して
ペンで書き記す
何度もくり返し
消しゴムでこすって
消えないことを確かめる
怒りがおさまらない時は
許さない許さない許さない
鉛筆で書 ....
絵描きの描く肖像画は
どれも本物と見間違うほどの
素晴らしい出来映えだったが
どの絵からも
顔の構成品がひとつだけ欠けていた
片目の瞳だったり
上唇だったり
耳たぶだったり
必ずどこか ....
とにかく暑くて
冷蔵庫のなかは空っぽで
喉がカラカラで
唾も出てこなかった
汗だくのまま
床に寝転がっていると
空っぽのペットボトルが
部屋のすみに転がっているのを見つけた
拾い上 ....
外に出たら
死んでしまうんだって
だれかが言う
ほんとうだろうか
立派に育てるのは
栄養とか水をたっぷりもらえるからだって
だれかが言う
ぼくたち自身の
力じゃないんだって
白い ....
5時 @ハト通信
小さな石を握りしめて
空を見上げている人が中心にいます
そのまわりを
忙しそうにぐるぐる回っている人がいます
指の数をくり ....
川の向こう岸にあなたがいて
手のひらにちょうど収まる薄っぺらい石を
丁寧に丁寧に磨いています
わたしは何度も手を振りながら
早くこちらへ投げてよこしてと
大声で叫びます
そのたびあなた ....