って何?
気の効かないかわいいだけの女の子たちがオシャレにいそしんで望むコンパで
男の子たちは飲み放題のサワーや生中を誰かに飲ませようと必死になってる
サマー
おーすげー短 ....
ゆく雲が
君を求めてのばした蔓から
ふわりと咲いた雪の花びら
彼方を白く染めるものの
ひとつひとつの小ささを
ひとつひとつの儚さを
まるく含んだ湿り気が
花の波に匂いたつ
....
日が暮れた
夜は歩かぬほうがよい
木が密になる
木が蜜になる
枝葉根幹にくすぐられ
心は山に押し込められる
たまらず虫を踏みつけた
甘い臭いに蓋をするべき
林は濃厚な闇になる
....
あなたが始めたわたしを
あなたが終わらせてくれる。と
どこかわかっているわたしの夜は
静かだ
夏よ、あなたが
夜に満ちているよ
夜にこそ誰にも触れられずに
(ひそ ....
少し遅刻気味の進路
ミスを気が付いて自分を呪った
あの頃に戻りたいのはみんな同じ
いつの間にかに出来上がった
シークレットエンディングを
見るための条件は
どれも自 ....
待ってろよ もう少し待ってろよ
お前の世界を一瞬で変えるような
言葉を持っていくから待ってろよ
生きてろよ とりあえず生きてろよ
お前の肩の力が思いっきり抜けるような
最高の一発ギャグを持っ ....
ある人の足音が
突然聞こえなくなりました
スリッパの
ぱたぱた、という
少し孤独な
音
それからというもの
わたしは
主のいなくなった
スリッパを
齧っては吐き出し
齧っ ....
コップを割ってしまった
深夜ひとりで
お寿司をにぎっていただけなのに
お刺身はさくのものをスーパーで買ってきた
赤くて二割引できれいだった
酢飯は作り方がよくわからないので
知 ....
わたしのように
書いたものが
ここにある
わたしのふりをして
必死にわたしになりながら
わたしになれたのか
なれなかったのか
後悔してる
わたしを見てる
わたしがいる ....
洗面台の鏡に映る、少し鼻の歪んだ女の顔には
そう簡単に幸福という言葉を見出せない
蛍光灯を反射する瞳の光が淀んでいた
蛇口をひねるのは好きだった
恐らく、
水が出てくることが確かに約 ....
ひそかな風にあおられて
梢の葉裏がひるがえる
なぜなのだろう なぜかしら
瞳の奥がかすんでくるのは
指先をのばしても
風はすり抜けるばかりで
あなたは黙って
傍らの草をむ ....
生まれた家の前
坂の途中に
おそろしく大きな石の門が
その中に白い木造洋館
年老いた医者のいる医院で
診察室の窓枠は
白塗り木の窓枠
窓の外には枇杷の木が…
枇杷の葉が風に揺れて ....
引用符を背負った
かたちのない人たち
昨日の影に向って
蝉の声が落ちてくる
薄暗い景色は
横断歩道の向こうで止まった
僕をさ ....
何万年かの後
私は
泥岩の一部となり
ばらばらになった
私達は
組み立てられて
私になるのかもしれない
全く新しい名前をつけられて
全く新しい人生を
与えられて
母を持たず
産声 ....
猛禽の切り取る曲線を雲に重ねてみると
南風の通り道がみえるだろ?
無粋な飛行機雲が一直線に
線香の燃えかすみたいに消えていく
なんべんもね、手をかざしたんだ
日差しが眩しかったからね
ふい ....
リリリリー
公共地下道に蟋蟀の鳴き声が
響き渡る
蟋蟀の
姿は見えない
最近の公共地下道は
明るすぎて人工物まる出しで
めまいがする
塾帰りの中学生たちが
とめどなくおし ....
気がつくと
椅子に座り
女を抱えていた
口をぺちゃくちゃして
何かいう
薄いテレビのような女
体を動かすので困って
それからどうしたか
覚えていない
thin and s ....
やわらかすぎる窓辺で
まだ未来を知らない
不安を覚えるよりも
呼吸するのに忙しいと
しなやかで軽い繊維
気持ちばかりが走る夜
時間と季節を一足飛び
白いスニーカーに風
戻れるな ....
カーテン越しに差し込む光で目が覚める
心臓に手を当て今日も生きてることを確かめる
窓を開けても見慣れたあの風景はないけど
その代わり見えるのは青く光る地球だ
このステーションに来てからもう ....
それは、背中で引戸をしめて
出て行きました
それを、見送った
濃紫している縁の眼鏡に映る
グラスと氷水を
小刻みにゆらします、と
氷たちの涼しくかろやかな音
生ぬるい空気を透過します
....
白い魚を
この両目に見た
淡い午後のこと
そこらじゅうに
焼きついていたのは
光だけだった
水槽のような
街にきみは泳 ....
氷、と書かれた布製のものが
海からの風にそよいでいる
大盛の焼きそばは皿いっぱいに広がり
けれどできる限りの表面張力によって
その外形を保っている
去勢されたばかりの犬が
日陰で餌の ....
090731
拾ったばかりの
疑似餌を探す
空の彼方にあるはずと
小さな兄貴が法螺を吹く
疑似餌はおまえの目の前に
木の枝に
ぶらぶらと
見え ....
ふみきりよ、ふみきりよ
無言で開いて直立する
{ルビ縞々=しましま}の柱に付いた
夜道を照らす、照明灯よ
ショパンの幻影が弾くピアノを
イヤフォンから聴い ....
電子時計が0時00分と日付、室温を示している
街路で発狂したような救急車のサイレンが響きわたる
長く続けていた会話が閉ざされる
無機質な室内に空調の音が呻いている
自動ドアは休む間もなく開 ....
こんなにもわたしのからだは
文明に侵されていたんだ
しゅわしゅわと熱がからだにしみこむ
気づいて、気づいて
こんなにもさみしさが背骨にわだかまっている
生きてて、生きてて
伸ばしか ....
入口と出口
どこにも入口はない
出口すらない
つまり解決はない
解決すべき問題もない
ただ座っているだけだ
もうこうして幾年になるのか
皆うれしそうだ皆しかるべき
入口から入 ....
この季節
夕暮れのコウモリの半分はセミです
夜のヒグラシ
よく似た飛び方をするので
素人には区別がつきにくいのですが
ひらり、と
木陰から飛び立つでしょう?
セミですからね
/ ....
ストレス性の胃炎で病院に行ったら
長生きしなさいって
医者がマルボロを一本くれた
やさしいねって言ったら
いいえ、仕事ですからって
カルテにロケットを落書きしながら言う
家に帰ると ....
水のない水槽の中で
ただじっと空を見ていた
泳ぎ方を忘れた魚たちには
青の区別がつかない
水のない水槽の中は
水がない分だけ騒がしい
自分の鱗のはげ落ちる音にすら
耳を塞ぎたくなるほ ....
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