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この季節になると思い出します
行きも帰りもバスでした
山奥の芋煮会場に着くと
澄んだ風が吹いていました
肌が乾いてなつかしい気がしました
網目になった体を
すうすう吹き抜けてい ....
 
 
お正月
母の実家から見える
山脈の麓にスキー場があった
数キロ続く田の先にある
駅前の街のそのさらに数キロ続く
田の果てに
スキー場が見えていた

とても遠いところなのに
 ....
 
 
操られた体が
わたしに還ってくる
ある夏の日に
今日は何しようかと
思うことができた朝
父に誘われて釣りに行った
帰り道
あの日と同じ夕日を
今は息子と見てる

明日の ....
 
 
階段を昇降する足音が聞こえる
非常口を開けると足音は止み
階段も非常口もないことに気づいた私は
宇宙空間にただ一人浮かんでいるのだった
かつてそこで生まれて死んだ
惑星の欠片のよ ....
鳥のなかに
からだごと入ると
母のようにあたたかい
まだ生きている
わたしのように
鳥も飛び
わたしも鳴く
父が死んだように
湖になって
空を映している
わたしも映る  ....
 
 
庭の外に
泣いている人がいる
君の友達だったかもしれない
それは秋の虫だ

りんりんと
しんしんと泣いている
まだ死にたくなかったのだろう
泣く声は、鳴く声になって
いと ....
 
 
ひさしぶりに
裏庭を見ていた

貝殻や
魚の死骸が
たくさん漂着していた

いつのまに
海が来ていたのだろう
命はまだ
こんなにも
満ちているのに

干潮の砂浜を ....
 
 
こうちゃんがいる
淹れたての
紅茶の湯気の向こうにいると
寝言を言って
祖母は祖父を追うように
逝ってしまった

けれども祖父は
こうちゃんという
名前ではなかった

 ....
 
 
わたしのように
書いたものが
ここにある

わたしのふりをして
必死にわたしになりながら
わたしになれたのか
なれなかったのか
後悔してる
わたしを見てる
わたしがいる ....
 
 
ひざの上で
猫が
ねこっ
としてるので
私も
ひとっ
として
喉を撫でる

ひざを離れ
ねこっ
としたまま
窓から出ていくと
ひとっ
として
さみしくなる
 ....
 
 
夜空を見上げると
あの人が
瞬いている

あの頃の輝きで
あの頃の若さのままで
バスを待っている

今はもう
どこにもいない
あの人が
今もそこで
待っている
  ....
 
 
夏をください
お金なら持ってます
お金ではだめですか
嘘です
お金なんか
持ってません

夏をください
命なら持ってます
命ではだめですか
嘘です
命なんか
持って ....
 
十くらいはなれた
妹に
よく似た娘に
やさしくしてしまう

やさしくした後で
そのうかれた顔は何だと
誰かに言われたわけではないけれど
きっと僕は
そんな顔をしてる

もっ ....
日曜日の午後は
ここからはじまる
たくさんの
命の庭

話したり
話しかけられたり
平日とは違う
あんパンを
ほおばってみたりした

午前中
僕は眠っていたので
午後は
知 ....
きみには
ひどいことばかり言った
それなのに
死ぬまで
友達だと思ってた

あの頃が
あの頃になって
この頃も
いつかあの頃になるから
だからできるなら
やさしいことばかり言いた ....
小学生の頃、父と釣りに行った
昼過ぎから夕方まで
魚は一匹も釣れなかった

はら減ったべ?

タバコを吸いながら父は
僕にそう聞いた

きゅうにおなかが空いてきて
おもわず
 ....
元栓を開ける
妻の背中がさみしくて
それでも朝は訪れる
目玉焼きを焼いたら
少し黄身が左に寄って
それを僕が真似る

どこ見てるの
ため息混じりで聞く妻の声も
どことなく左に寄 ....
ときどき妻が
キッチンの引き出しの中をのぞいて
笑っているのはなぜだろう
中をのぞこうとして近づくと
あわてて閉めて私を追い払う
みんな眠ってから
トイレに行くふりして
開けようとした瞬 ....
吉田ぐんじょうさんの小川 葉さんおすすめリスト(18)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
いきかえり- 小川 葉自由詩1109-9-19
スキー場- 小川 葉自由詩709-9-14
体操- 小川 葉自由詩3*09-9-11
宇宙怪談- 小川 葉自由詩209-9-10
The_Coo_Coo_Bird- 小川 葉自由詩409-9-8
秋の虫- 小川 葉自由詩509-9-1
秋の裏庭- 小川 葉自由詩1009-8-27
紅茶が冷めるまで- 小川 葉自由詩4*09-8-25
わたしのように- 小川 葉自由詩309-8-6
ねこっ- 小川 葉自由詩709-7-29
残像- 小川 葉自由詩209-7-26
夏をかう- 小川 葉自由詩3*09-7-23
- 小川 葉自由詩21*08-12-8
休日- 小川 葉自由詩708-7-21
ひどいことを言ってみたい- 小川 葉自由詩208-7-4
タバコの思い出- 小川 葉自由詩808-5-3
目玉焼きのつくり方- 小川 葉自由詩308-2-5
引き出し- 小川 葉自由詩14*07-7-5

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