入り口で友達を待つ
美術館の敷地の膨大な広がりは
僕の繊細な部分を広げ続け
空の広がりにまで接続する
空の水にはごくうっすらと
大地が映っているかのようだ
ひさしぶり
仕事はどう?
....
彼女は言う
ほらご覧よ
指差した先は果てしなく真っ青な空で
でも時々何処かが赤く染まるのよ
そう呟いては俯く
きっとあの重そうな銀色の機体は
見た目に反して軽やかで
この空をまるで自分の ....
ひざの上で
猫が
ねこっ
としてるので
私も
ひとっ
として
喉を撫でる
ひざを離れ
ねこっ
としたまま
窓から出ていくと
ひとっ
として
さみしくなる
....
二台のロケットが
異なる方向に
まっすぐに飛んでいく
何も無い空間を
お互いに示し合わせて
同じ部品を欠損していた
同様の不具合が
等しく生じますように
やがて一台が壊れて
粉々にな ....
なにやら窓の外がやかましくなった
「今こそ」とか
「ともに」とか誰もが叫んでいるような
ここにしゃがみ込んで久しいし
一見自由そうで実は窮屈な姿勢にも慣れっこ
目を瞑っていれば何が起 ....
わたしの奥底で
ふるえている
くもの巣は
いつか雨宿りした
あのときのまま
*
まぶたを閉じる
いすの下で
くれよんの匂いが
満ちてあたたか
たまに
回転したりしてみ ....
なるようにしかならない
というのは
都合のいいもので
ときには放り出された闇へいくためのことば
可愛い名まえをみて
消えてしまいたいと願ってしまう
手をついて
ショーウィンドーを ....
雨の夜のアスファルトでは
光も熱帯魚みたいに濡れている
迫り来てよぎり過ぎ去り遠退く
赤い、黄色い、無数の鱗が目に入って
濡れるしかなかった視線が水性インクとなって
雨の夜に、明るい ....
「ムササビはセックスした後の精子が固まって栓として膣を塞ぐらしい。次のオスがセックスするときはコルクみたいなペニスでその栓を引っこ抜くのだそうだ。人間の精子もそんな風になっていたら、浮気とか離婚とかが ....
ねえ、きみのなかに、
どれほどたくさんのきみが泣いているのだろう
たくさん、あふれだすたくさんのきみが、こだまする
**
ポカリスウェットとポカリスエット、どっちなの? ....
此処までがわたしで
彼処からをあなたとすると
あなたは夢をみるだけ夢から離れると云うことになります
行進する群れの中から
あなたひとりだけが選ばれたと云うことなのでしょう
上へと還る ....
子宮にピストルを撃つ爆弾撤去
産みたくないなら爆弾だ
子宮なら母体は助かるだろう
私は生きたい
愛の無い 愛の無い ああ 愛の無い
「保体で習ったろ?」 ....
ステキ女子 コロッケ食べてもステキ女子(ホタルノヒカリより)
その日から効く
マジですぐにお願い頼むよコンバット
6ヶ月を目安におとりかえいただくと、より安定した効果が継続 ....
夜空を見上げると
あの人が
瞬いている
あの頃の輝きで
あの頃の若さのままで
バスを待っている
今はもう
どこにもいない
あの人が
今もそこで
待っている
....
シュークリームが
雨にうたれて溶けだしている
道端のくぼみで
まつげの長い女が
バスに乗るときに落としていった
シュークリームが
溶けて流れ出している
甘い、いくつかの体液
何もか ....
母さんの中を
金魚がぷかぷか泳ぐ
雲の柔らかさ
産地とはおしなべて
そんなところなのだと思う
母さんの背中
バズーカ砲つけたら
悪いロボットみたいだ
だから僕たちは
....
夏をください
お金なら持ってます
お金ではだめですか
嘘です
お金なんか
持ってません
夏をください
命なら持ってます
命ではだめですか
嘘です
命なんか
持って ....
君は暮れ果てた記号の森ふかくで永遠と出逢うだろう
僕は知っている 泳ぐのを止めてしまった魚 そして地獄を
君は目を醒ますことなく星を抱いている 月光を 浴びながら
甘い偽 ....
タンポポを一輪だけ摘む
何も知らない貨物列車とすれ違う
水のように冷たいものを売っている所はありませんか
と、男の人に聞かれ
あっち、と指差す
あっち、に何があるのか行ったことは ....
若きアルルカンよ
画家を抱け
詩人に抱かれよ
トルコ石で作ったパステルで
お前のあらゆる窪みを描かう
お前のあらゆる出っ張りは
湿った言葉に痙攣するだらう
美しきアルルカ ....
在る朝 連星とロンドを
あたしあたしすきっぷ していたのに
連れ去られた真空管の
遠来系の
すべる 朝と朝の へだたりのたたり
に鎮座する
水溶性の大理石を すべる 首の 極ほそい ....
{引用=おまえ
なまえなんていうんだ?
わんわんしかこたえられないんなら
いぬっころでいいか?
べつにばかにしているわけじゃないんだ
ポチとかじゃありふれてるから
いがいせいをねら ....
夜の
電車の
少し開いた
窓から、
夜の
多摩川の
水と
森の
匂いが、
染み出した
夜の
小さな
祈りから、
僕と
君が
右と
左の、
熱が
抜け ....
あまりの暑さに立ち止まろうとしたら
影が自分よりも先を歩いていることに気づいた
慌てて追いかけてたどり着いた交差点
道路にはみ出した自分の影が
通り過ぎてゆく車にひかれている
何 ....
{引用=幼稚園に通っていた頃
いつもポケットに手を入れている女の子がいた
僕はそれがどうにも気になって
幼い知恵を引き出して思いついたのが
ジャンケンだった
「ジャンケンしようよ」っ ....
主食茄子の子がとても活発
僕おとこです。二割引きです。
打ち間違えたこころ読み返し間違えた指先をふかづめの刑。
閉じて仕舞ったこころの暗証番号ことばの端々に織り交ぜて。
心臓から遠く離れたこころで手をつなごう(ま ....
中学時代の恩師が猛烈に車にひかれたと聞いて、慌てて病院へ駆けつけた
3階のナースステーションを抜けて、突き当たりにある個室に先生の名があった
ノックして扉を開けると、そこには一台の車があった
長 ....
お盆から2ヵ月半
無人だった家は思ったより荒れていなくて
ただフローリング部分を歩くたびに
キシッ、パシッと軋む音がする
家が早くも傷みだしたのか
と
大工の従兄弟に不安を口にしたら
....
呪い
というものについて考えている
地球が回って
日が照って
草花が生い茂って
我々は
そう
そのように生きていて
そのこと自体が
呪いであって。
祝福
と呼ばれるものはすべ ....
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