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朝風呂が好きだった
その朝もおまえは
俺たちの小さな家の小さな風呂に
窮屈そうに仰向けになって
顔を沈めて
水の中で
目は見開いて
くちびるが
SEE YOU って
....
剥いてしまってください
私のからだを
のように
剥いて食べてしまってください
甘くて柔らかいって
思ってみてください
切ってみてください
銀の冷たいナイフで
泣いてもいい ....
ときどき僕は、まだ羊水の中で
少し離れた場所から聞こえる声に
そっと耳を澄ませている気がする
それはまるで子守り唄のようで
鼓膜を揺らすほどでもない
優しさを持っている
と ....
間もなく思想がまいります。
危険ですので
足元、黄色い線の内側に
心してお下がりください。
どちらが内側で
どちらが外側なのかの判断はお任せします。
ともかく黄色い線の内側に
心して ....
ただいま
と、呼べる場所をいつもこの手の中に持っている
気付かないほどに当たり前の鼓動の中にいる
夜更けへ向けて風速は加速し続けている
明日を見渡したいから、と
君は潜望鏡を買ってき ....
魚の名前や花の名前に似ているけど
それとは違う言葉
直線ではなく曲線にも似ていない
それでも閉じている言葉
数え切れないそれらを
生み出しては忘れ去り
墓標をたてては
思い出と気取っ ....
かかとが脱げちゃう
つま先が脱げちゃう
溶けそうな足の付け根
そっと触れてみたんだよ
小指が脱げちゃう
親指が脱げちゃう
ほんのりカラメルいいにおい
外で野良猫鳴いてるよ
....
こどものような
貴方の身体の
その場所だけ 大人
ちいさな
ふたりの引力が
つり合っている
静かな
力で
薄衣を剥ぐように
ふたりは
孤独に没頭する
求めること
与 ....
明かりの消えた教室で、
ひとりふたりと、
席につく。
学籍のないぼくたちは、
幽霊みたいにゆらいでて、
いつも不安で不安定。
黒板のかすれた数式は、 ....
一.
戦争を俺は知らないんだと はじめて思い知ったのは
キプロス島に ある朝突然逃げ帰った妻が いつか話した
占領の話 地下室の話 息を殺して
あいつが真似た マシンガンの ....
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