あなたがブリキの本を開く

かつて繁栄した都と
路地裏で生き抜いた猫の
長い物語が始まる

朝から駐車場を壊す音がする日
僕は電柱を売りに出かける

どこか遠くで
孤独に電柱 ....
                 080718



ガムを噛み噛み
きしる音に脅されて
保険に入る
地震の起こる確立
80パーセントの恐怖
家が崩れて
下敷きになる恐怖
命が助 ....
{ルビ鳴家=やなり}という言葉よりさきに
ラップ音という言葉を覚えてしまった。
部屋の片隅なにもないところで
ごく局部的に温度が上昇または下降し
はっきりと物質化したエクトプラズムがあらわれ
 ....
雨には匂いがあると思った

昼下がり
蒸しあがった空気と入れかわるようにして
突然降りだした雨の
湿った冷気が部屋を満たしてゆく

「雨だ」と
呟いたかどうかはさだかではないが
そん ....
私は疲れていました
致死量の仕事を終えて
自宅に帰り着いた2時
夫は先に眠ったようです

机の上に塩むすび
豚の生姜焼き
キャベツのサラダ
豆腐とワカメのみそ汁
レンジで温めると
 ....
 *灯台

   かすかにまだ
   光っている
   間違えたままの、
   やさしい思い出
   わたしの幸福な思い違いを
   あなたは
   そのままにしてしまったから
 ....
うじ虫みたいな奴は
実際それに似ている

気持ち悪いし
うじうじ細かい事してるくせに
一人じゃ何にもできない
集まった時だけ偉そう
うねうねうねうねして
無駄に生命力が強い
すぐに繁 ....
(ビジョン)

とろりとした闇をたたえた海が
凪いでいる

闇の海水を掬い取ると
両手の中に煌く


海と同じ色のやわらかい髪に
冷たいコバルト色の金属糸が結び付けられ
さら ....
{引用=
1. カスタネット

紫陽花の花という花がてっぺんまで匂いたち、その色目も日に
日に濃くなっていく有様を窓から見ている。雨粒がはらはらと
落ちて窓ガラスにもかかる。風があるのだ。 ....
         080706


コインロッカーにはなにを入れるの
あかんぼーさ、きまってんじゃん
コインをさ
さっと入れて
その隙間に赤ん坊を放り込み
キーを掛けるのだ
(ロ ....
 
 
コインロッカーの側に
コインロッカーがあって
そのことだけが
片隅のようなところで
どこまでも続く
何もない、の人が
鍵を開けていく
と、少しずつ
指はあやふやになり
僕 ....
何か大切なものを
過去に忘れてきてしまった
そんな気がする

握りしめた手の中には
小さな鍵がひとつ

それが何の鍵なのか
それも思い出せない

わからないまま街を歩いた
見覚え ....
 


名刺を作ろうと 印刷の手順を踏んで
文字数が足りないことに気付く
そういえば表面もまったく足りない
どのあたりに 名前をかこうとしていたのか

木蓮は季節ではないので
紙のよ ....
きみには
ひどいことばかり言った
それなのに
死ぬまで
友達だと思ってた

あの頃が
あの頃になって
この頃も
いつかあの頃になるから
だからできるなら
やさしいことばかり言いた ....
夜の水族館の部屋、真夜中になれば魚たちは
いちど死に朝になればまた生まれるのだと信じていたころのこと
累々とおびただしく規則正しく折り重なる
自分らの死体を夜の部屋に想像し眠れぬ
死体 ....
空と海とが
おなじ青だと思えるほどの
白い砂浜だった

波打ち際には
貝殻がおどっていて
それにあわせてはしゃいでいる
君がいた

スカートのすそを気にしながら
そ ....
もう留守録は聞き飽きて
立ちあがり

部屋にある本を
1ページずつ
食べた
あなたのために買った本

それから、
鍋いっぱいのスープを
全部
飲んだ
あなたのために作ったスープ ....
 この国で一番大きいといわれている図書館に訪れた。出迎える広いロビー、その向こうにはぎっしりと本が並んでいる。多くの本は分厚く、背表紙は無機色だ。館内は足音も響かない。すみません、珍しい本が読みたいん .... 光る様子を
じんじん
と言って追っかけて
転んで擦り傷だらけになった
この川沿いには今でも
白いホタルブクロが咲く
目を閉じてひとつふたつと数えると
す っと
あの娘の
笑顔が浮かん ....
濃いほうのお父さんの
ガハハな笑顔もいいけど
やっぱり私は
うすいほうのおとうさんの
静かなほほ笑みが好き

声に出して呼ぶと
両方振り向いて
うすいおとうさんが
所在なさそうに下を ....
たかが女の髪ひとすぢ と
スウィフトは(そういえばドジソン先生も)
書いておられましたが

粉砕され漂白された木質繊維にさえ
人の思いこめられるものな ....
真昼の魔女の集会 原色の森で
あたしたちはお互いが魔法の箒
老いぼれた蛇は立ち枯れの木にすがりついて
あたしたちを遠巻きに見てる

太陽と雨はあたしたちを祝福する
雨のしずくを髪に飾って
 ....
なまなましい透明な輪郭ばかりが
声をともなって底からわきあがってくる。
止めようと思ってもとまらない
体が、ふるえる、ふるえる。ふるえながら
私はあなたのゆびばかりをしゃぶった。
止まらない ....
爪先で掻き分ける、
さりり、
砂の感触だけが
現実味を帯びる

ひと足ごとに指を刺す貝の欠片は
痛みとは違う顔をして
薄灰色に溶けている


こころの真ん中が
きりきりと痛んで
 ....
カタヤマくんはジャングルジムのてっぺんが好き
ここのジャングルジムは幼稚園のくせして子どもたちが登るにはちょっと高すぎるので
てっぺんまで登れるのはカタヤマくんくらい
カタヤマくんはてっ ....
抱きしめてやると

思ったよりも簡単に

くずれるときの声を出した

髪の毛から

あまい胡瓜の香りがする

たがいの爪で

たがいの肉にわだちを描いた


俺は十八だっ ....
身動きを許してください水底は26時のネオンさえ青


息継ぎを忘れた彼女が電池式だったと知った火曜のメトロ


遺失物届けの欄に書くべきはリセットキーか押す指なのか


「き ....
泣きはらした様な空が
広がり
あたしのうちまたを
細い暖かい体液がまたながれて
玄関の先の土を濡らしてる
うすぎたない腕を
切れそうな糸のように伸ばし
母が若い稲のようにふさふさとゆれ
 ....
大きめの呼吸をスーツの内側に用意して
品川改札から人の波にとびこんだら
高層ビルという名の大きな魚の口に吸い込まれていく
ちいさな私たちは、たぶんプランクトン
生産したり分解したりの役割の中で ....
林檎がふるえている
暗い海の底で
ヒリヒリする電波を発しながら
傷んだ痕をさらしている


林檎たちがふるえている
共鳴しながら
いくつもの透明な触手を
スルスルのばし
痛みをそっ ....
吉田ぐんじょうさんのおすすめリスト(498)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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つかれてしまいました- 木屋 亞 ...自由詩6*08-7-18
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闇の漣- 一般詩人 ...自由詩1*08-7-8
雨だれ- mizu K自由詩12*08-7-7
コインロッカー- あおば自由詩5*08-7-7
コインロッカー- たもつ自由詩8*08-7-6
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椅子のある室内- 縞田みや ...自由詩7*08-7-5
ひどいことを言ってみたい- 小川 葉自由詩208-7-4
鯨が枯れる(reprise)- mizu K自由詩5*08-7-4
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変り種/069/500文字の本棚- ピッピ自由詩608-7-2
ヤマホタルブクロ- AB(な ...自由詩408-6-24
おとうさんレプリカ- 佐野権太自由詩11*08-6-24
たかが私の- 佐々宝砂自由詩508-6-24
きつね雨- 佐々宝砂自由詩108-6-24
今村知晃- モリマサ ...自由詩23*08-6-23
海蛍_(一)- 銀猫自由詩18*08-6-22
すべての男は天使である- れつら自由詩7*08-6-22
いまも何処かで- 吉岡ペペ ...自由詩1708-6-16
「トーキョーアクアリウム」- Rin.短歌22*08-6-10
スローターハウス7- モリマサ ...自由詩2508-5-27
デトリタス- ku-mi自由詩7*08-5-13
IT_Apples- 渡 ひろ ...自由詩18*08-5-8

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