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私には孤独がない

あなたが
孤独と呼ぶものは
ただ
声を求めてる

くちびる 重ねても
あなたの孤独は変わらない

私には孤独がない
私はもう
ここにはいない

あなたが ....
たかがでは済まされない地平線に
ひとり佇み
夢は夢のままで
あるべきことを求められ


目覚めのときは何時も
偶然を装っては
ありのままの姿を
目の前に突きつけてくる


くる ....
光と暗黒の中間点には
雨の差し込む隙間もない
密閉された空間があって
そこから
たった一本の セイタカアワダチソウが
吹いてもいない風に
反応、それを折り取ろうとしている
いっぽんの 手 ....
春を待ちきれず
同棲を始めたと喜んでいた貴女は
近頃、思い悩んで
すっかり痩せてしまっていたという
(僕が、よう怒れへんかったからかなぁ
お父さん、つぶやいて
肩を震わせる

一週間前 ....
きっと白に近くあり


霧雨を含んだ夜のなかに
咲き急いだ桜がひとつ
白く闇を破る

陽射しを浴びて
咲き競うのは
きみ
きらいですか

こんな湿った濃紺の中で
意表を突いて ....
窓辺に置いた花が
枯れてしまって
悲しむわたしのもとへ
風が
山の裾野を渡り
あなたの窓を
こつんとひとつして
わたしの窓にも
こつんとひとつして
風の
通り道が出来たことを
知 ....
(割れ落ちた心の軋みより流れ出す)
せせらぎの音に我身を任せ
消え入りそうな意識の果てに
あなたの額より滴る汗の熱さを慕う


さよならってどこまでも悲しいのね

狂おしさは許されぬ愛 ....
あなたは曲線で出来ていて
髪の毛
しなる腕も
無駄のないポオズ
その
なだらかな曲線を
ていねいに
なぞって

あなたの
曲線とは裏腹に
こころには
ちいさなささくれが
いっ ....
あなたと
彼との
星の質量が違うから
その差に寂しくなるとしても
ここから見れば
満点の星たち
キラキラ同じ
暗闇の道しるべ
それでもあなたの道を行け
信じるという引力が
互いの距 ....
幼い頃知っていた
時間を巻き戻す
不思議な眠り

思い出せないままの
まっ赤な空がいつまでも続く
{ルビ夕餉=ゆうげ}の前の過ごし方

秒針も知らず
時計も持たず
生きていけた
 ....
私鉄沿線のダイヤに則り
急行列車が次々と駅を飛ばして先を急く

通路を挟んだ窓を
横に流れるフィルムに見立て
過ぎた日を思えば
思わぬ駅で乗り降りをしたわたしが映る


網棚に上着を ....
名残雪が、責めるように頬を撫でる日に。


母が倒れたとき。
自分の愚かさを知り、奇麗事の容易さを悟った
この唇の内側から溢れるのは
偽善者の小さな自尊心、その欠片ばかりで。
吐き気がす ....
「わたしたちのからだ ここに入るのね

その言葉は 墓前に供えた白い花より麗しく
遠くに 在るもの いつか 訪れる
その日を見据えては 永久 に さすらい


「わたしたちの心 あの雲に ....
はしっこの村にはな
働きもんのじさまと
ばさまが住んでいた

お日さまよりも早起きで
毎日、一汁一菜の粗食
いろり端にはやかんが
チンチンと湯気を上げ
窓辺には四季折々の彩 ....
ピチリ
動きが止まる
その瞬間をねらって
ピチリ

(爪は、どこまでのびるの?

問われた僕は
細心の注意を払うあまり、つい
どこまでもだよ
なんて
いい加減に答えてしまう

 ....


ぞうは はなが。

なんでなんっ??
ふつう せめて くちびるでいくやろお??

でも ぞうは はな。

 *

きりんは あしとくび。

あしがさきのびて
まだ た ....
あなたの姿を まぶたの裏側に
赤い 糸 で繋ぎとめ
下の名前を そっと 呟いてみる


あなたへの 気持ちを 確めたところで


  ぬかるむ春の気配に取り残された針金細工
  忘れ ....
最近《なんとなく猫》がよくウチに来る

なんとなく猫は一匹ではなくて
その日によって違う

茶色もいれば黒も白もいるし
大きいのもいればまだ子猫なのもいる

なんとなく猫は何となくウチ ....
しごとのかえりにあるいていたら
いぬがよってきて
ぼくにこえをかけてきた

「たろうさん たろうさん」

ぼくは たろうじゃないし!

「だんごくれたらついていくよ」

こられても ....
春の陽射しに 
紅い花びらが開いてゆく 
美しさはあまりに{ルビ脆=もろ}く 
我がものとして抱き寄せられずに
私は長い間眺めていた

今まで「手に入れたもの」はあったろうか 
遠い真夏 ....
詩は情の鳴らす音色

言葉
意味
宇宙
感情

海と空とをつないで
わたしたちがいる
ということを
鳴らす

詩は魂の描く絵






形無きものを塗り ....
ママのこと、あいしてるんでしょ?
無垢な眼差しで見上げる
君のおでこの感情モニターは
微かな嫉妬色

もちろんだよって即答したけど
実はよく分からなくなっているんだ
たぶん僕のモニターは ....
ねえ、ブランシュ、
あのとき
あなたが越えようとしていたものがなんだったか
今のわたしにはもう
それを知る手だてもないけれど
あなたはいつも わたしの
理解の範疇をこえて
日常のただしさ ....
うつくしい まなざしを 胸に秘めていると
 すべてが 花のように 咲きはじめる
青空のように 澄みきって
 世界は いっそう かるくなる 

大地に降り立つと 満ちたりてくる
 空の表情が ....
あなたへの気持ちを
文字数にすれば
あふれてきっと
あなたは
読めないだろう

あなたへの思いを
詩にすれば
ナルシストなんて
きらいよと
いうかもしれない
もう書いたけど

 ....
風の匂い
明るい夕方
さむくない

はじまる
はじめる

僕は
じっと力を
ためる

地図をすてて
自分をひろう

冬が来る前に
どこまでいける

大きな大きな
青 ....
たまねぎパリリ
皮をむいて刻みます
おきまりで涙が出ます

ついでにすこし
泣いてみます


じゃがいもクリリ
むいていきます
船乗りになった気分で
いくらでも

樽イッパイ ....
心にはなな色の種
宝箱へしまわずに
とびきりのお花を

蒼い哀しみひとつひらき
怒りの紅ふたつ咲き誇る
ピンクな喜びみっつ綻び
美味な黄色蒲公英よっつ
今日に爛れた橙いろ五 ....
生きる意味に悩んでいるなら
悩んで悩んで悩み抜いて
大いに苦しめばいいよ


それでも君は幸せなんだから


今すぐにでも死にたいのなら
遺書のひとつでも書いて
とっとと死ねばいい ....
耳たぶを
どうか
噛みちぎってほしい

此処から出られなくていい

私が誰で何処から来たのか
なんのために生きているのか
なんども問いかけて
なんども見うしなう

歌なんか
 ....
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