Y曲線
恋月 ぴの

あなたの姿を まぶたの裏側に
赤い 糸 で繋ぎとめ
下の名前を そっと 呟いてみる


あなたへの 気持ちを 確めたところで


  ぬかるむ春の気配に取り残された針金細工
  忘れたはずの過去のしこりから芽吹く若い
  伸びやかな視界の奥で零れ落ちそうなほど
  紫陽花のああ紫陽花の柔らかな感触を抉る


あなた は あなた でしか無く
わたし は わたし でしか無いのだから
春ニナレバ忘レラレルト思ッテイタノニ


まぶたの裏側 で 蠢き出す あなたの姿
わたし の 視神経を 挫いては
搾り出す 涙雨にも似た 紫陽花の若芽を摘む



自由詩 Y曲線 Copyright 恋月 ぴの 2006-03-14 06:57:44縦
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
64kbのソネット