眠れない 夜

目を閉じれば

変えようの無い過去の記憶が

襲い掛かってくるから恐ろしい

心臓の 奥の そのまた裏側で

どくどくと どくどくと

動悸がして 肺が縮む
 ....
吊革につかまる
リュックを背負った妄想の列

モノクロフイルムの
買い出し列車
一応に皆、リュックを背負い
何があってもリュックを手放さない
網棚には何も無い
大したものが入ってい ....
バスは満員
電車も満員
ひとびとは水底に四角くならんで
青くひかる
ぶつかり合わない程度に
ゆれあい
いつか
自由になれるんだろうか

乗り物を降りると

豆腐屋が通りを ....
放り投げていたわたしを
私が拾い
抱きしめた時
やっと私はわたしを知り
温かな諦めで
ぽっかりと満たされた
ぼやけた眼鏡のひとが
わたしを連れていく
とんかつのお店
ご飯は小盛りで
と言うのでわたしも小盛りにする
遺伝子の特集をとりあげた雑誌をながめる
ばらばらになったいくつかの ....
秋の虫たち るうるう

無残に刈られた草むらの

最果てみたいな端っこで

透明になる身体

開いた扉の

まっくらやみの先を

眼をつむったわたしは見ている

 ....
朽ちた葉を踏むと
乾いた音がする

傍らに歩くむすこが
聞いて、と
教えてくれる

朽ちた葉を踏むと
風の音がする

今まで気にしなかっただけの
あまりに満ちあふれた
音がする ....
淋しい金魚は
ひらひら、きれい
冷たい水の
いちばん冷たいところを
その身に負った
見事な絵の具で
ぬくめて渡る

淋しい金魚は
なんにも言わない
わたしにわかる言葉など
ひとつ ....
祈りの数と同じだけ
祈らずじまいの人もあろう
頑なに
従順に
知らぬ間に
祈らずじまいの人もあろう

ねえ、言葉が在るのは幸せなことかな
その掌に
この掌に
言葉が在るのは豊か ....
ポプラ通りの真ん中らへん
すべすべの感覚で
まぶたを閉じれば
少年を見つけられる
少年は息を止め
そっと手を伸ばし
とんぼの羽根をゆびさきでつまむ
瞬間を点でとらえたのだ
でも虫か ....
 

今夜は魚の塩焼
ちょうど良く焼き上がって
美味そうだ
食べようと箸を近づけたそのとき
そんなはずあるまい
魚と目が合った
どうかしたのと向かいの母が尋ねるので
なんでもないよと ....
わたしはさいきん
けずりぶし
いえ、最近じゃなく
常時そうなんです

ふりかけられては
振り落とされては
そこが あつかろうが
さむかろうが
おどっている
おどらされている
 ....
流氷の底につながってる
ぶらっくほおるの隅っこに
ちょこんと震えながら
持っていたのは
青一色の地図

そういやいつから
陸も山も
ひとも消えて
感情だけあふれるようになった ....
幸せは昔掴むことの出来る玉だった。
それは時間が経つと色褪せ、
ついには砂つぶになってしまい
指の隙間からこぼれ落ちるようになった。
それは最初気づかないほど僅かで。

しかも気付いた時に ....
宇宙が生まれてからあっという間の
この夏
待っていた風がようやく
畳を撫でた

りーん
ちりーん

光の速さでピントを合わせる
この夏
皺だらけになった母の喉元が
麦 ....
駅から続く桜並木
だらだら坂のドン詰まり
君がいた病院があります。

桜並木の木の下には
死体と狂気が
埋まっています。

もう四年も前の想い出ひとつ
今年も桜の木の下で
散りゆく ....
眠いなあ
甘いもの食べたい

甘い甘い
コーヒーフロート、が
差し出されて
涙が出ます

これは力になる
生きる力になる
うん、きっとなっている

口に出さなくとも
いや、 ....
「ぐーぐー」

ぐーぐーを聞いてから眠るのが習慣になって
ぐーぐーを聞かないと眠れなくなった


ぼんやりと豆電球を見てたら
玄関を開ける音が聞こえる


「先に寝てて良いよ」と言 ....
{引用=
朝がほどけると、水面に横たわり あなたは
かつて長く伸ばしていた
灰色の髪の、その先端から 
魚を、逃がす 
皮膚は、透きとおって ただ
受容する 水の、なまぬるい温度だけを
 ....
霧吹きのような雨はふかみどり

胸の奥まで吸い込んで

わたしは森になる

しばらくすれば

じゅうぶんに水を含み

耳を傾ける

彼らは

永遠を指し示すこと ....
一緒にいよう、いつも一緒にいよう
お互いの頼りはいつも傍にいること
冷たい風が強い町でも
海の匂いが切通しを下りてくるここでも
痛くても悲しくても朝は必ずきてしまうから
だからね、だから
 ....
知人の見舞いに桃を持っていったが
急に呼吸状態が悪くなったと
面会はできず
桃は連れ帰った

食卓に置いた木箱のふたを開けると
縦にみっつ並んで
桃たちは姉妹のようだ
血色よく尻を ....
夏の日の夕暮れ
いつまでも続け
つないだ手のぬくもりほどの
せつなさを抱えて

メビウスのまんなかに
つかのま立ち止まり
見つめ合った、ぼくら
いまよりもずっと
不器用で、素直だった ....
じぶん
が揺らぐ
動と静の密林で
わたしは
音と
光と
緑と
土と
一緒になる
「そういう気がする」
のではなくて
本当に一緒になる
わたしはバラバラで
形はなくって
そん ....
制服を仕立てにいくと言って
行ってしまった

トイレや脱衣所の扉が
足音に反応して閉められる
ほろにがい痛みをともなう
(バタン、カチャ
ちゃんと閉めなさい、なんて
言ってたのは
い ....
うみにくると
ふるさとに
かえってきたような
きもちになるのは
なんだろう

こくどうから
ながめわたす
ささーん ささーん

おおきくみえたはずの
うねりが
かたちをなくして ....
{引用=
( 竹林に翁が影、竹を切る 音がする )



里はもうそんな時節らしい


 路によりそう水の流れ
ここは、暮らしにいつも水音がある


 流れる水は 淀むことをし ....
膝小僧の下に生える毛はとても強い
太くて、まっすぐで、
80デニールのタイツも突き抜けそうにピンと生えている
脚に垂直に
地球に水平に

やせた土地にあって
少しの栄養で気まぐれに芽 ....
あのときより
たくさんことばをしって
いたみもしって
やさしさもしって

なのに

すべてを
あなたにじょうずに
つたえる
すべがなくて

よるのおとを
ききながら
ひ ....
ある場所で
点、として生じた光りが
わずかな距離を移動して
塵となる
それを一生という

かきあつめたもの
握りしめたもの
すべて消滅してしまう
けれども

細い雨のあとの
植 ....
日朗歩野さんのおすすめリスト(1042)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
溺れる夜- 愛心自由詩221-9-22
朝の列車- ……とあ ...自由詩7*21-8-31
豆腐のうた- 自由詩17*21-1-31
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遅いランチタイム- 自由詩12*20-10-14
夜の通過待ち- 自由詩8*20-9-26
風のおと- 千波 一 ...自由詩620-8-17
淋しい金魚- 千波 一 ...自由詩420-8-16
歴史- 千波 一 ...自由詩420-8-15
夏空- 自由詩9*20-8-2
命日- 自由詩13*20-5-23
けずりぶし- 唐草フウ自由詩9*20-3-17
青い地図- 唐草フウ自由詩6*19-12-21
幸せの玉- ……とあ ...自由詩219-10-4
風鈴- 自由詩17*19-8-25
鬼と桜- ……とあ ...自由詩11*19-4-9
コーヒーフロート- 小原あき自由詩2*18-8-7
ぐーぐーといっぴきのともだち- 小原あき自由詩3*17-5-13
記憶を、汲む- 望月 ゆ ...自由詩26*17-3-19
休園日- 自由詩37*16-3-23
愛するものへ- 銀猫自由詩616-2-14
御見舞- 自由詩28*15-8-11
それでね。- 佐野権太携帯写真+ ...11*14-7-31
動と静の密林- チアーヌ自由詩714-3-6
卒業- 佐野権太自由詩8*14-3-4
うみ- 佐野権太自由詩9*14-1-4
水の帰郷- 月乃助自由詩14*13-12-18
恋と体毛- かなりや自由詩513-11-28
「いたみをしっているあしあと」- 玉兎自由詩813-7-2
六月のミーティア- 佐野権太自由詩13*13-6-14

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