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わたしたちは歩く
可笑しなことはないのに
となりできみが時々ちいさく笑う
(なにか間違っている?)
でも訊くことなんかできない

わたしたちは黙って歩く
おおむねすべてのひとたちは
 ....
うすぐもり
ベランダから
なにを見ているんだろう



それとも

ひとだけに
不自由がはびこる

気づくと
いつ死んだかわからない
カタツムリの
はりつめたよ ....
青空が言っている
死はここにあると
公園のベンチから立ち上がって
探しまわる
散歩のひと
ランニングのひと
子を連れたひと
また
ひとばかりさがしている
誰にも会いたくないの ....
バスは満員
電車も満員
ひとびとは水底に四角くならんで
青くひかる
ぶつかり合わない程度に
ゆれあい
いつか
自由になれるんだろうか

乗り物を降りると

豆腐屋が通りを ....
ぼやけた眼鏡のひとが
わたしを連れていく
とんかつのお店
ご飯は小盛りで
と言うのでわたしも小盛りにする
遺伝子の特集をとりあげた雑誌をながめる
ばらばらになったいくつかの ....
秋の虫たち るうるう

無残に刈られた草むらの

最果てみたいな端っこで

透明になる身体

開いた扉の

まっくらやみの先を

眼をつむったわたしは見ている

 ....
ポプラ通りの真ん中らへん
すべすべの感覚で
まぶたを閉じれば
少年を見つけられる
少年は息を止め
そっと手を伸ばし
とんぼの羽根をゆびさきでつまむ
瞬間を点でとらえたのだ
でも虫か ....
 

今夜は魚の塩焼
ちょうど良く焼き上がって
美味そうだ
食べようと箸を近づけたそのとき
そんなはずあるまい
魚と目が合った
どうかしたのと向かいの母が尋ねるので
なんでもないよと ....
宇宙が生まれてからあっという間の
この夏
待っていた風がようやく
畳を撫でた

りーん
ちりーん

光の速さでピントを合わせる
この夏
皺だらけになった母の喉元が
麦 ....
霧吹きのような雨はふかみどり

胸の奥まで吸い込んで

わたしは森になる

しばらくすれば

じゅうぶんに水を含み

耳を傾ける

彼らは

永遠を指し示すこと ....
知人の見舞いに桃を持っていったが
急に呼吸状態が悪くなったと
面会はできず
桃は連れ帰った

食卓に置いた木箱のふたを開けると
縦にみっつ並んで
桃たちは姉妹のようだ
血色よく尻を ....
日朗歩野さんの七さんおすすめリスト(11)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
羊雲- 自由詩16*22-9-11
薄い殻- 自由詩12*22-9-9
青空- 自由詩19*21-10-24
豆腐のうた- 自由詩17*21-1-31
遅いランチタイム- 自由詩12*20-10-14
夜の通過待ち- 自由詩8*20-9-26
夏空- 自由詩9*20-8-2
命日- 自由詩13*20-5-23
風鈴- 自由詩17*19-8-25
休園日- 自由詩37*16-3-23
御見舞- 自由詩28*15-8-11

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