すべてのおすすめ
たとえば
カーテン越しの陽だまりに
できるだけぽつんと
たよりなく座ってみる
時計の針の
こちこちという音だけが
胸にひびくように
明るみの中で目をとじる
いつの日かお ....
発売まで指折り数えたCDを
ようやく手にして
するするセロファンを
むいているときのときめきは
リンゴを倍速でむいているみたいで
ポンと
再生ボタンを押すと
さらに加速度を増して
....
ひさしぶりに 部屋を 掃除しておきました
隠してあった あれ は ソファに
置いておいたので 次からは
わたし に ばれないように 隠してくださいね
それでも 信じてます から ....
目蓋に浮かぶのは 淡い光
脳裏に浮かぶのは パソコンの残照
会社から帰ると
バスタブよりもベッドよりも
まずはソファに沈みこんでしまう
ストッキングを脱ぐと
両脚が渇きを満たすよう ....
真夜中眠れずかぞえた羊
眠ろうとするほどに増えてゆく
小さな柵をとびこえて
いつしかそれは羊ではなく
羊のようなものになって
やたらと足が長かったり
やたらと顔が大きかったり
すっかり見とれて ....
国語の教科書
「急がないと」の「急」が
「魚」に見えた
魚がないと大変だと思っているうちに
心もひれになって
ふわふわと泳ぎだした
先生や友達もみんな
大きい魚や小さい魚 ....
いったい誰がどうして落としたのか
道端にポツンと淋しくひと袋
飽食なこの国の片隅に置き去りの
真っ白な「えのきだけ」
その宿命をまっとうできないまま
秋風にさらされて
さぞ寒かろう さぞ無 ....
(またぁ〜?
鼻声でぼやきながらも
まだ真っ白いきみは
名を呼ばれれば起き上がる
腹筋に力をこめて身構える僕と
わずか三行で寝付いた妹の間を
髪を揺らしながら
へこまし、へこまし
....
ポストがあんまり赤く誘うから
こっそり仕組んだ悪戯めかして
宛名にきみの名前を書いた
雪があんまりひっきりなしに
きみの傍に寄り添うから
水晶の珠を割って
ちいさな虹で
憂欝の左 ....
「それはいわゆる反抗期という奴です。」
それはボクにもなんとなくわかる。
わかるからと言って、このムカムカする反抗期をどうにかできるわけもなくて。
何気ない母さんの言葉がボクの心に針を刺す。 ....
花に触れるとき
手のひらは
香りにも触れている
手のひらでは
匂い
感じられないけれども
花に触れるとき
手のひらは
色にも触れているのかどうか
手のひらで
....
高い高いビルとビルの間に真冬でも
青々とした葉っぱをいっぱいにつけた大きな木があって
その木の葉っぱたちは風が吹く度に
小さく身を寄せ合ってクスクスと笑った
僕はその木の前にあ ....
つめたい指をしている
と あなたは言って
ふたまわりほど大きな掌で
包みこんでくれた
ゆきうさぎの見る夢は
ほのかに甘い想い出ばかりで
わたしは人のぬくもりに
慣れていないから ....
猫 が
しゃなり、しゃなり、ゆら〜ん
微妙にコケそうな
ブロック塀に ぶら〜ん
こ、こっち見んな!流し目で
寒いだろうし降りてくりゃあいいのに
去年の春に裏の物置で
にゃあにゃあ ....
紙一葉の重みは
風に飛ばされるほどだけど
そこに詩が綴られたとき
人の生に響くほどの
力をもつことがある
詩よ
天の恵みを浴びて
我の中に実るもの
いつかはたれかの鳩尾深く
....
空にたくさんの綻びができて
あとからあとから雪が落ちてくるので
裁縫上手な婆さんに
縫ってくれ とお願いした
ひさしぶりの大仕事に
婆さんは大喜びで
せっせと針を動かして
つ ....
今日の空をおぼえておこう
胸ポケットのさみしさは
空のむこうに飛ばしてしまおう
いつの日か
同じような雲のした
この空 この風 この匂い
ほほえむときがきっと来る
今日の川をおぼえて ....
咳がひとつ
窓を抜けて
枯草のなかに逃げた
草むらには
どうやら微熱の欠片が
カマキリの卵のように固まって
冬をやり過ごそうとしているらしい
わたしは昨夜見た夢を覚えていない
....
アンパンマンは正義の味方
弱い者が困っている時
誰かに助けを求める時
アンパンマンはやってくる
「やめるんだ!」
アンパンマンはかっこいい
誰もが一度は認めたはずなのに
いつからみん ....
夜が好き
塗り重ねた紺碧が
恥ずかしい輪郭を
消してくれるから
たやすく嘘がつける
夜が好き
冬が好き
穢れのない雪は
{ルビ男=ひと}を疑う心黒さを
隠してくれるか ....
「月が明るい夜は
外に出てはいけない
みどりのコートを着たコドモが
生まれる時間だから」
そう聞かされていた
街のはずれの丘は
建設工事が中止になって ....
母さんは夜なべをしていたけれど
手袋の類は編んでくれなかった
やがていつものようにフジヤマがやって来ると
腕相撲やカードの相手をし
それでも決してゲイシャ・ガールみたいに
振舞うこと ....
冬枯れの老木に
花を咲かせてやりたかった
とびきりの六花をこしらえて
枝という枝に舞い降りたのに
老木は身をふるわせて
あぁ、寒い
ゾクゾクするよ と呟いた
初恋に破 ....
私はとても小さいので
海を見れば
海でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
空を見れば
空でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
風を匂えば
風で ....
呼吸
呼吸が上手に出来なくて
わたし
わたしは胸を痛めた
けれど
月はかわらず穏やかで
頬はついっと滑るしずくを知った
ぽたん
ぽたんと地面に落ちたしずくは
ひやり
....
船をまたぐ
昨日より長くなった分だけ
自分の脚に目盛を入れる
円盤のような声で
おしゃべりをする少女たち
そのフードの中には
いくつもの星が散らばっていて
誰も知らない星 ....
秒針深夜パソコン雪は降らない
ひとりごとうなる冷蔵庫暖房は効かない
言葉なんて浮かばない音楽もない
詩人はひとり
秒針寝息あの人は夢の中
耳鳴りだ空気人知れず振動する ....
最近よくブレーカーが落ちるのね。
ぎぎぎ、ぎぎ・・・バン!って感じで。
ぁたぃ、電気のことはよく分かんないけども
たぶんね、ブレーカーは頑張ろうとしたんだよ。
やることがいっぱいあって ....
昨夜が溢れてしまって
まだ所々
ぬれている床
こけのむすまで と歌うきみは
君の代わりにと
あかい手で雑巾をしぼり
はなびらの舞う冬の景色に
ほおった
あしあとをくずして
きみの ....
図書館は今日も
中身の無い棚ばかりで
全部で五冊ぐらいしか本が無かった
世の中を模して
広すぎるように建てられている
CDレンタルの店員は
僕がばらまいた小銭を
借りてきた笑顔で拾っ ....
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