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相も変わらず
寂しさは私の身体を硬くし
時折に溢れる愛情は
それを許さない
狭間という地点で
一呼吸つけたらいいけれど
見つからない
まだ
ねむたくて ねむたくて
ほんのちょっとだけって
目をとじたら
夜のくぼみに
ポチャンと落ちてしまった
うす目をあけて まわりを見たら
そこはとろんとした 夜がみちていて
ぼくは ....
からだがあって
こころがあって
たましいがあって
ここに
となりあって
ふれあって
かさなって
いつも
さいしょは
しらない
さ ....
たくさんの夢を見た
それはまるでそこが故郷のような
戦時中の異国であったり
今はもういない家族と一緒に
得体の知れない大きな敵と戦ったり
全てを飲み込む水が押し寄せる街の中で
....
昼に見上げた薄い月の
その不確かな存在感とよく似た
獣が私に住んでいる
恐らくそれはずっと其処で
私に気付かれる事を
待っていたのだろう
それにしても沈黙は余りに長く
お互いの黒 ....
昨日哀しみを突き放し
今日の瞼は何も隔てない
地表を渡る細波を
裸足でなぞり
葉の無い枝のように
四方へと手指を広げている
数羽の鳥が羽を休める
屋根の上には
ソーダ色の空が
....
水の中に両手を
そっと差し入れ
泳ぐ魚の影を
そのくねりを
掬ってみたいと
思うのです
光と私はいつでも
とても遠い場所で
落ち合うけれど
必ずまた会えることを
知っています
....
ぼくがいなくなっても
さみしくないように
きみのまくらもとに
ちいさなかみさまを
おいておくよ
あるばんにだれにも
はなせないことがあったら
ちいさなこえで
ちいさなかみさ ....
いくつもの僕のうたのなかに
僕がいる
けれどそれはもう
いまの僕じゃない
僕のたましいは
僕のうたを
うらぎりつづける
そう
僕はいきているのだ
....
たあいも ないことで
かんたんに
きずついたり
しぼんだり
やわらかな
きみの たましいは
まいにち とっても
いそがしい
だけど どれだけ
いそがしくっても
....
雨雲に覆われた街を
切り取る車窓を眺めれば
まるで僕らは
ネガの中を走っているよう
降り出しそうで
{ルビ堪=こら}えるあの空には
あとどれだけの
時間があるのだろう
始まれば ....
はるのおなかが
ぷっくりふくらんでいるのは
ぼくがそのなかで
ぐうぐうねむっているから
だけど
はるのおなかは
とってもひろい
だからみんなで
ねむりにくる
たくさん ....
沖の青が濃くなる辺りで
ポカリと浮かんだ独り言が
夜更けの時計を探している
月は夢と同位置で微笑みながら
人知れず密かな指切りを交わす
波のない水面に映る
過去と{ルビ瞬間=いま} ....
パンをちぎる
その手で私は
鶴をおる
鶴をおる
その手で私は
猫をなでる
猫をなでる
その手で私は
ページをめくる
ページをめくる
その手で私は
小銭をかぞえる
....
ずいぶん遠くまで歩いて
きみのクツはまるで
最初と違うカタチのようにみえる
たくさん土の上を転がって
きみの服はすっかり
元の色を失ったようにみえる
何度も傘が破れて ....
まいにちは
ふしぎなくらい
いじわるで
かなしいことや
つらいこと
いっぱい
いっぱい
どこからか
せっせと
あつめて
くるけれど
....
空に氷が張っている
その向こうは凍っているのでよく見えない
諦めて僕は瞼を閉じる
いつの間にか僕の眼にも氷が張っていたので
閉じた瞼がくっついて開かない
11月8日
....
涼しくも親密な風が肌に纏う
山手通りを僕は行く
この時点でどの地点
この視点でどの次元
知りたがらない疑問符たちが
流れては逝く目黒川を横目に
僕は歩く
季節に気づかない ....
かたかたかたかた
転寝の脇で何かが走っている
呪われてしまったように
僕の目はまるで開かない
僕は転寝ながら
その音を鳴らしているのが
やさしい生き物であったらいいのに
....
橋は斜めに延びている
狭い歩道には影も落ちない
月も雲もいない
何人かの顔がよぎる
数秒の会話が流れる
いくつかの名前が着いて来る
どれもが此処にはいない
昨日に在る ....
昔私は2つ下の弟に
私は本当は他の星から来たんだと嘘をついた
それはちょうど私が小学校に上がる頃で
家には新品のランドセルがあった
どうしてそんな嘘をついたのかは分からないけど
弟は ....
遠い遠いところから密やかに膨らんで
大きく高く重くうねった黒い波のように
その哀しみは時々にやってくる
泣ける時にはタオルケットを
丸めて抱き締めながら
九つの頃と同じ声をあげて泣き ....
なぜだろう
わたしは眠っている
世界はこんなに美しいのに
なぜだろう
わたしは怒っている
こころはとても暖かいのに
なぜだろう
わたしは歌っている
ひとり ....
次の風を待つ間に私は窓際に横顔を
貼り付けて猫背の時間を撫でていた
窓の遥か下にある小学校の校庭では
派手に盆踊りのテープが鳴っていて
けれどこの部屋には更に大きく響く
太鼓の賑やか ....
僕の職場には黒猫さんがいた
黒猫さんの本当の名前は町田さんというのだけれど
何故だか誰もが黒猫さんと呼んでいた
僕はどうして黒猫さんが黒猫さんと呼ばれているのか知りたくて
社内の先輩た ....
空耳のどしゃぶり
ガード下にこだまする
立ち止まる黒猫の
瞳はブラックホール
目が合えば僕は
吸い込まれていく
夜を開く赤のカーテン
その向こうへ黒猫は走り出す
加 ....
モノレールが優しく横切るその前の
鉛色の河で小船たちは寡黙に佇む
足元では何匹もの大きな蟻が
その身体と同じ程の大きさの
荷物を運びながら行き交う
小さく跳ねながら近づき
離れ ....
雲は薄い水彩画
静まる街の片隅でそれを見上げる
風は止まない
誰かが植えた大きな木の葉が
不規則に踊り続けている
ふいに灰色の鳥が目の前の枝にとまり
世界のニュースを告げる ....
とてもシンプルな音を立てて
きみは生きている
噎せ返る緑の中を駆けるときも
たましいの全てを委ねて眠るときも
まるでありのままの世界を描くように
混じりけのないの声で笑って
....
あまりに長い間ひとりでいたせいか
ある日わたしはふたりになってしまった
わたしたちはさすがに元ひとりだったので
顔も体つきも声も性格もそっくり同じだった
「さみしかったよね。」
「う ....
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