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真っ白な切符が出てきた
何も書かれていない
小銭がなかったので一万円札を入れたのに
お釣りは出てこない
駅員さんに文句を言おうと切符を見せると
カチッとスタンプを押して
改札を通して
....
蝶のかたちの光の前に
家より大きな花があり
ひとりの影を映していた
小鳥は話しかけた
誰にも届かなかった
道につもりつづけた
同じ姿と響きを持ち
確かに共に居たも ....
夕暮れの歩道橋で見ている風景
行き交う人波が思い思いに辿る家路
西と東と北と南を結ぶ交差
自分の影と誰か達の影が
重なってはゆっくりと離れていく
言葉を交わす事さえ無い
デジタル時計は ....
貴方の呼吸が掠めるだけで
私の芯は熱を増す
もどかしい想いに
指先が悩ましげ
貴方が瞬きをする瞬間で
私の奥は影を作る
はやりだす想いに
唇が熟して
....
構って欲しい欲求が交差して
母さんへの手は今日も降参した
毎晩割り箸の音が窓を叩く度
そろばんで計算したお弁当の旅
泣きたくなるね
帰って来てからの第一声が
....
鼻先に突き出してやると
給食の匂いに
ひょいと頭だけを出す
小さくあくびをして
そこでは伸びも出来ないだろう
机の中の猫
小学生の夏、4年目の
算数の教科書を探そうと思ったら
手を ....
雨とよばれる
雨とはちがうそれを
よける隙間も
したう境界線も
本能のなす
川かも知れない
浴びていることを
浴びせてしまうような
無知なる無知の
さらなる先 ....
ブロック塀の微かな綻びから
雑草が太陽を求めて背伸びする
大地とはかけ離れ場所に根を伸ばし
少しでも高く登れるように
もっと光を浴びれるように
梅雨も明けた七月の末
夜の内に蓄えられた ....
マンホールを開けて
すっぽと中に入った
地球を抜けて
ずっと抜けて
だんだん熱くなって
手足が溶けて
胴体と頭が
どろどろになって
固まって
真っ黒になった ....
鬼がやってきて
かくれんぼをしようと言った
僕たちはちょうど
何をしようかと考えていたところなので
いいよ、いいよと
鬼に賛同した
鬼が百まで数えている間に
僕は境内の ....
あの丘に建つお菓子の家は
幸福だけでできていた
パステルカラーと甘い匂い
君はいつだって笑っていたね
だから君が
あの家を出るときに見せた
心底悲しそうな顔が忘れられない
あ ....
07/07/20
使えない自動販売機、
起動困難なPCの上の
水を張ったボールに
七味唐辛子を振りかける
水道水にも色が付いて
透明なまま静まり ....
ひとりぼっちで
過ごしたい夜が
みずたまり
雨の波紋が
せまいむねのうちで
干渉しあう
ふたりだけで
見つめていたい夜が
みずうみ
交互に投げ入れた小石が
たいがんへ
消える ....
「フラノ」というレストランで
イタリア料理を食べてから
私は回想バスに乗り
帰るべき家をさがす旅に出た
バスが「いのちの相談センター前」を通過するとき
入口に行列ができているのが見える
....
火をつけた
裸ではないから あなたは
時の中へ流れて行く
服の重みに
囚われてやしないかなって
灯籠から 灯りをこする爪の音
ぼんやりとあふれてるぬくみに
口をつけて すすって ....
ゆらりゆれゆく水面に
魚のかげはうつらない
深く沈んだ自転車の
かすかなひびきが ぽつり
雨をよび
あらしを誘う
梅雨の日々は湿っていて
すべてをひらたくさせる
私も 床も 土も
....
明日も
来ていいですか
と問いかけるのが
私の日課で
でも
獣らしきものは
月の暦の朔日のみで
あとは静かな小波のような
ほのかな思いが
引いてゆくような
満ちてくるような
....
安らかに眠っていた牛が
Mooッと一声高らかに鳴いた
月には一文字足りないけれど
無知蒙昧で顔をまんまるに膨らませ
危険を回避する為に電化していく家の隣で
しれぇっと天然ガスを汲み上 ....
むこうの山の町あかり
ひとつ、ふたつ ふるえている
星が 落ちてきたのだ
夜になって、ここまで下りてくるのだ
今は遠い、大切な人の
あなたの 部屋のあかりにも 星が落ちた
私はこ ....
なんでなんでどうして
って言って
夜を剥がしに行く
いつのまにかあたしは幼くて
剥製の群れを連れている
星空の綻びを探しに
ちいさい旗振って歩く
光の川も渡る赤い長靴
無茶ばっ ....
剣、と
よぶのを避けたくて
声はひとつの
武装と知った
ちいさな胸を
軋ませてゆく重みが
町だとするならば
すべての指が
ともされる
祈りのなかを風は、
振り返 ....
塩の臭いがした気がして
薄っすらと目を明ける
麻痺しているというのに
時々
思い出して
すぐに忘れる
寝返りをうった所
ペットボトルに足が当たって
空のボトルは
フローリングに
....
大好きだったあなたの指が
いまそっと、ナイフに触れるわ
ダーリン
わたし、あなたを殺てしまうわ
今愛憎の意味が解るの
靴下
靴下を買いに来ただけ
....
砂漠を何気なく歩いていたんだ
血の味の砂と朝露の上
君はいない
理由はないさ
君だって進んだろう
僕だって進んでいる
月が浮かんでいる訳を聞いた
....
美しい夕方だ
そう彼は言った
わたしは気付かない振りをする
コーヒーが熱を奪われていく
あなたは答えない
清潔なベットの上で
わたしは服を脱がされる ....
話してしまいそう
彼の存在は最大の脅威
このままでは引きずり込みそう
それはダメだと線をひく
何故 と問いかける残酷さ
私は彼が好きだけど
引きずり込むことは出来ない
そこまで残酷に ....
「777円」
某ディスカウントショップの店頭に
所狭しと大量に陳列されている
サウナスーツに貼り付けられた値段
食い散らかした菓子袋やら
缶ビィルの後片付けもそこそこに
はずみ ....
本を読む人の眼は
例外なく真っ黒い色をしている
それはもちろん
眼が活字のインキを吸収してしまうからである
本を読みすぎて
白眼まで真っ黒になってしまった人が
こちらを向い ....
誰かの掌から滑り落ちたゴムホースの水が、誰かの足元の
地面のうえで、いつまでも意味もなくぐるぐるループしているよ
足元の芝生のうえで、いつまでも誰かの想い出の芝生のうえで、
ゴムホースの ....
眠りながら歩きながら墓標を背負って歩いていると
ぼんやりしたまぶたにぴしぴし当たるものがある
目を開けると
細かい氷かガラスに似たものが降っている
冷たくはないが地面に落ちるとやがて消える ....
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