すべてのおすすめ
時と硝子
偽りと森
砂のなかの息
くりかえす泡
持ち上がり
青を発し
影に溶け込み
それでもそのままの己れで居る
髪の長い子がふたり
手の ....
指のさき
雪がひとひら、消えました
わたしの熱を、あら熱を
かくまうように
消えました
うなずくべきことなど
何もないけれど、
わたしは確かに
うなずきました
す ....
あなたの中には穴がある
なるほど
あなたは「あな」の「た」だ
あなたの中には鉈もある
なるほど
あなたは「あ、ナタ」だ
わたしは何も持ってない
「綿」では何の「足し」になろ
....
私をヒロインに小説を書くのは
はなれているからでしょうか
そんなあなたの足を
歩いているとき
掃除機でからめたいです
前に言い切りましたよね
みんな命でつながっていて
よりかかること ....
+
花が散るころにわたしは女でした。女になってしまい、
鉄鉢の中の百枚の花びらが
蝶のように羽ばたき、遠ざかるのを眺めた
+
花びらのひとひらを虫ピンで留め ....
私がまだシロツメクサの繁る果てしない部屋の中で
喉は泉のように潤い
すべてが書かれている事すら知らなかった頃
とても小さな幸運を探す可能性を秘めていた私の朝
名誉でも報酬でもない景色が窓枠の内 ....
眩しい光が深夜の通りを彩って
堀に流れる葉を浮かび上がらせる
白熱灯と蛍光灯の混ざり合う照明が
文化と文明の間の小さな隙間にある
たくさんの人の吐息の白さと
風と風の隙間で
世界と一致して ....
夢の終わり際から
はぐれてしまわないために
さしだした手が
たどりつく見知らぬ行方
秋の終わりを騒々しく
告げる雨まじりの北風が
夕焼けあとの闇の色を
城跡の石垣に染みこませる
ま ....
今日は
長谷川さんが軽い
軽くなった長谷川さんを
おんぶして
仕事に出かける
長谷川さん
ここで休んでいてね
と言って
缶コーヒーの蓋を開けると
そこから山内さんが
....
石
石の
私を
知っている
この道中を 転がるねむりにつくまで
一瞬の銀河を
青いトンボ玉の影は透けて
石と添い寝をする。こんにちは、
樹木の芽の
吹き出る
空気が澄み
口を ....
091106
稼ぐに追いつく貧乏無しと
村の鍛冶屋が槌を打つ
間違えたのはお殿様
天下取ると聞こえたので
良い気分
天下取るにはそれ ....
ときどき僕は
草のなかを歩いてみる
さらさらと風が流れてゆく
草穂が膝頭を撫ぜれば
なつかしい思いに満たされる
ときどき僕は
人に話しかけてみる
ときどき
誰とはなしに笑いかけ ....
あまくなった
熟れた私は
のばしかけの髪を
洗う。
したたる
雫をなめてみて。
りんごの
香りがするよ。
モーツァルトを聴いて育ったりんご
のように
あまい
からだ。
....
この手が
届かずにおわった物事ほど
忘れがたいのは
なぜだろう
それゆえか
届いたつもりの物事さえも
本当は
届いてなど
いなかったのではないか、と
思えてしまう
....
つばめの描いた空の季節を
きりりとつま弾いた爪痕が
胸の奥で道程をたどってゆきます
命あるものの、ほのかな光が
湿った夏草の先で揺られています
防波堤で砕ける波が
どれほどのう ....
足の向くまま川辺を歩く
チィリリリーと鳴きながら
いそしぎがひっそりと降り立った
すこしだけ日が射すような
くもりぞらが
おまえには似合うね
生え換わる赤子のような羽毛 ....
列車に揺られるあいだに、季節がかわっていく
時間がすべてを解決するって、
あの日誰かに教えたのは、わたしだった
窓からずっと離れた場所に、夏緑樹林が広がっている
重なりには、かなら ....
新しい季節へと
かわっていくなにか
さがすように風を嗅ぐ
子犬になれそう
正しいとかまちがい
とかはしらない
模造できないほんとうを
さがすように風を嗅ぐ
そん ....
魅惑的な音に
光惹かれ
吸い寄せた
淡くチーズケーキ
言葉遊びは好き
檸檬の味は
美味しくいただき
涙ひとつ
甘くチーズケーキ
言葉遊びはきらい?
ひとつください
....
全世界のけだるい午後に
垂れ込めた黒雲から
雨は降り続いている
という僕の主張を
すくなくとも日本は晴れだわと笑って
君は信じてくれない
見せかけの天気だと
どうしてわかってくれない ....
081231
攻めるも攻めるも黒金の
攻めるも攻めるも黒金の
攻めるも攻めるも黒金の
攻めるも攻めるも黒金の
攻めるも攻めるも黒金の ....
深夜油断していると俎板から活きのいい包丁ぬるりすべり落ち 足にあたって跳ねた 動脈に小さな裂け目がどくどく血を吐きだし タオルできつく縛ったが床上浸水のごとく出血はひろがり 光彩ゆたかな湖になり くる ....
からだがあって
こころがあって
たましいがあって
ここに
となりあって
ふれあって
かさなって
いつも
さいしょは
しらない
さ ....
微かな音だけになって
宇宙に放り込まれたみたいに
地上の星屑が
夜を点滅させる
(七色の輝きの物語りを
伺うことはない)
ただ
静かに
....
夢で
銀河に抱かれる
色々なことで
疲れ
傷付いた体を
血を流す心を
ここで癒す
銀河の星々にとって
人間は
小さな小さな結晶
そんな人間でも
この世には一人 ....
窓の向こうの暗がりを
めまぐるしく流れてゆく
幽かな光の群れ
一日の終わりと
そして あたらしく
始まるための
束の間のひととき
仕事用のデータを
サーバに投げ ....
僕の暗がりに
三十四回目の月が生まれ変わる
前世も月だ、その前世も
それを証明するために
この手は螢石をみがく
やがて銀河の形の指輪を飾るために
暗がりの天蓋がひと巡りする
シリ ....
「おかあさん、そとがさわがしいね。
「冬と春がおすもうをとっているのよ。
「ふーん、どっちがつよいの?
「そうね。
まだ寒いから、冬のおすもうさんかな。
でも、さいごは冬のおすもうさんは ....
灯台がそこにいる
セメントのヒビの隙間
そのはるか上空に
灯台は浮かんでいる
岬や小島にはいない
海原に浮かぶものでもない
港に取り残され
風に舞い上げられ
影絵の子供が
灯を目指し ....
水の中に両手を
そっと差し入れ
泳ぐ魚の影を
そのくねりを
掬ってみたいと
思うのです
光と私はいつでも
とても遠い場所で
落ち合うけれど
必ずまた会えることを
知っています
....
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