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窓に映る窓に映る窓に映る窓の奥の
水も枝も光もひとつに
人の外からこちらを見ている


無いものを踏むたびにたちのぼる
生きものの夜
かがやきのない星に満ちた
小さ ....
石のなかから硝子をひろう
いつのまにか消えている
手のひらに残る かたち
ふちどり


こきざみな夢
菓子の弦
水は灯のそば
傷と波と壁


語りあいな ....
足踏みの音が
空を動く
少し傾いだ
輪を描く


ふたつの流れ
ふたつの海にたどりつき
海になれぬまま
海を巡る


誰も居ぬ部屋
明かりだけが
明かり ....
白と黒が
澄んで灰となり
風に回り
風に旋る


皆たなびき
布にくるまり
渇いたまま
濡れている


風のひとつが
曇に触れるひとつを見ている
着 ....
書き加えられつづける一枚の絵
壁の裏側 震える黄金
穂を渡る火
羽の業を見すえる目


銀の石が燃えている
街のひとりを呼んでいる
影との指きり
かなえられなさを生き ....
時と硝子
偽りと森
砂のなかの息
くりかえす泡


持ち上がり
青を発し
影に溶け込み
それでもそのままの己れで居る


髪の長い子がふたり
手の ....
蝶のかたちの光の前に
家より大きな花があり
ひとりの影を映していた


小鳥は話しかけた
誰にも届かなかった
道につもりつづけた


同じ姿と響きを持ち
確かに共に居たも ....
棄てられた径
放縦の跡
少し斜めの不確かなもの
遠い遠いふるえから
そのままではないそのままに
こぼれながら手わたされるもの


灰が
ひとつのざわめきにつながり
降り ....
轍に映る
音の魚
午後へ午後へ流れつき
雨のように息をめぐる


偽の季節の声があり
激しく隙間多く震え
水と風の
通り道は濃く


頬をすぎる波
くちびるの波
 ....
光のたびに
滴は昇る
音に昇る
{ルビ胞=えな}に昇る


肌色をした袖をふり
雲をふちどりゆらめく何か
あとわずかでわかるというのに
午後は土の影を見つめる

 ....
互いに背を向け
曲がり またたき
空と波を
指おり数える
月が隔てる言葉たち


手のひらの海
無数の帆
とまどいは澄む
濁りのあとさき


透明でもなく鏡でもな ....
羽が
風を巻いている
葉から 黒から
生まれてはもどり
消えかけた輪を空に置く


折れた枝
弓なりの雪
空へかがやき
問いを放ち
誰も恨まぬ応えを浴びる


 ....
触れて触れて 粗く
肌が肌に 痛く
どこまでも拙い指きりに
耳をすます


{ルビ白湯=さゆ}の林
そよぎささめき
花を織る熱
冷えて 冷えて


波 海鳥
山の ....
火の向こうに
もうひとつの火があり
さらに向こうの火に重なり
ひとつのようにじっとしている


一本の木が
雨を呼びつづけている
丘は近づき
わずかに崩れる


 ....
雨水と目
異なる振れ
そよぎ そよぎ
添えられる手


建てかけの家が揺れている
手にすくわれた水の底
見つめる息と
同じ色をして沈む音


そこに ここに
残る ....
曇が曇に臥せ
金いろは
やわらかなひとりでいる


沼には醜い魚がいて
釣られては放され
土になる


石は
緑の向こうの水に気づかず
石ばかりを見つめてきた

 ....
蛾に生まれたかったものが紙に生まれて
灯りのそばにじっとしている
葉の波が
聞こえては消える



嵐は水の鳥のあつまり
道の先にいる空は
蒼にむらさき
森と同じ背 ....
苦しみと悲しみふたつ慣れすぎて触れるときまであなたを知らず




骨と骨あたらぬようにかたち変え心と肉の汗ばむ出会い




苦しみとよろこび混じるあなた ....
家のまわりをまわるうた
窓は朝に消えてゆく
窓は蝶になってゆく



壁に隠れ
また現われる
蝶は鳥になっている



蝶になった窓たちが
左まわりに空をまわ ....
頭のうしろの音を聴く
揺れるかたちの音を聴く
小さくとどく濡れた羽
したたる色のうたを聴く


夜に向かってひらかれた窓
さみしい灯を倍にする
縦に流れる部屋の内側
誰も ....
蝶の花 蝶の花
土の下へ
飛び去りゆく輪
蝶の花


塩の火 塩の火
燃えつきぬ糸
人の色でなく
向かうものはなく


甘いにおいは風に消え
ただふるえだけが降り ....
森のはざまの道に無数の
人のかたちの木漏れ日がいて
静かに立ちあがり招くとき
空はすべて木々になり
道は奥へ奥へとつづく


石の階段に灯りは無く
糸の光がゆらめいている
 ....
階段にしずくの傷がつらなり
あせた光を流している
そのうちのいくつかが
私とともに上へあがる


雲から水が去ったばかりで
手のひらと屋根は渇いている
空の風より強い風 ....
何かの罠のような路地や家々の間を抜け
無造作に置かれたきらびやかな板をぬい
話しかけようとするものは話しかけてくるだろう
水の下の水 道の下の道
空白を埋めることでよしとする輩 ....
雨は雨から何も得ず
雨をふたたびくりかえす
歩みは歩みから何も得ず
雨をひとり歩みゆく
あたたかさ冷たさをくりかえす
愚かさを 愚かさをくりかえす


雨のなかを追いか ....
もう歩みを止めたのに
ひとさし指は
冷たく曲がったままでいた
もう吹雪のなかにはいないのに
他の指から
ひとり離れたままでいた


指を伝い 流れるものから
やがて温度は ....
木は影になり
しずくを流し
銀はせつな
銀はとこしえ


光の粒が
川になり
見つめるまなこ
満たすはじまり


昼の星の
糸をたぐり
ふたりで赤子を
紡ぎま ....
降る雪の向こうに舌先があり
ひびわれたくちびるをなめている
黒に囲まれた空の道を
砕けては砕けては照らす風


花のからだの鳥がめざめて
空を羽の仕草になぞり
うつら うつら
空 ....
棚から落ちて
壊れた箱から
ころがりいでた
あねといもうと
今日は何をして遊ぼうか


ことのほか色を見たいのに
絵の具はどれも薄れてしまった
むらさきになるまでたた ....
世界はひし形に連なって
かけらとふるえをこぼして廻る
こぼれたものはひかりかがやき
水草を愛でるかたちとなって
午後の流れにひたされてゆく


青と青がつながって
空から空 ....
まどろむ海月さんの木立 悟さんおすすめリスト(52)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冬と息- 木立 悟自由詩410-11-5
夜と白- 木立 悟自由詩610-10-21
夜とふたつ- 木立 悟自由詩210-10-4
めぐり_ひまわり- 木立 悟自由詩210-7-30
冬と歩- 木立 悟自由詩210-2-13
降り来る言葉_XLV- 木立 悟自由詩210-1-10
ひとつ_夜に- 木立 悟自由詩407-7-31
ゆうべ_まじない- 木立 悟自由詩407-2-13
つたい_はじまる- 木立 悟自由詩807-1-8
冬鳴- 木立 悟自由詩406-12-23
洞輝- 木立 悟自由詩1006-12-10
午後の息- 木立 悟自由詩506-12-7
降り来る言葉_XXVI- 木立 悟自由詩706-11-30
降り来る言葉_XXV- 木立 悟自由詩906-11-19
水と手(青の日)- 木立 悟自由詩506-8-27
みどり_いし_みどり- 木立 悟自由詩406-8-23
晴れた灰の日- 木立 悟自由詩406-8-21
あなたであるもの_あなた_息の源- 木立 悟短歌806-8-16
みどり_ひびき- 木立 悟自由詩306-8-15
夜とふるえ- 木立 悟自由詩306-8-7
夜へ夜へ(朝へ)- 木立 悟自由詩706-7-31
午後と鈴- 木立 悟自由詩406-4-27
ノート(午後と柱)- 木立 悟自由詩306-3-30
うたとわたし- 木立 悟自由詩306-3-23
雨と歩み- 木立 悟自由詩806-3-19
冬と歩み- 木立 悟自由詩206-3-17
うたと赤子- 木立 悟自由詩406-3-5
鳥と子- 木立 悟自由詩406-3-3
ノート(たからばこ)- 木立 悟未詩・独白506-2-18
ノート(変わらぬもの)- 木立 悟未詩・独白106-2-17

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