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視線をゆきます。

ひっそりとした
鋭角な色のない
告白にも似た存在の道

とぎすまされた意志の果てには重く輝く種子が宿る

涙で
洗われた深い瞳
そこに秘密を映す

答のない ....
今まで愛しいと思って私はあなたに尽くしてきた
そのメールを見るまでは・・・

私以外の人との意味深な内容
過去が走馬灯のように私を襲う

キスをしたあの日
何よりも近くにいたくて愛し合っ ....
買い物袋くるくる回したら
ちょっとイカシタ気持ちがして
叩き付けてキンモクセイに
なんか不良

包丁で指を切ってまた
近付いた少し大人に
だけど僕まだうら若い
十五歳の夏

ティッ ....
でんき星 せがむ 木綿の

笑われて 愛 苦しい
曲がれぬ カーブ 
目で すべらせて

地上 ゼロ階から

見下ろす 花束

囲いこまれた
ぴかぴか の星座


降れ
 ....
無性に腹が立つことがある
それが全て
考え方の違いで片付けられる


認めることが出来ない

君は僕とは違うんだね

それではすまされない
内側に膿がたまり
侵食されていく

 ....
さよなら
を言いそびれたから
本当は帰りたくなんてなかった
日比谷線が
たくさんのさよならを詰めて
こうこうと光っていく

あの向こうへ行きたいな
苦しくなんてないけれど



 ....
心の中の風船は 知らないうちにふくらんでいたから
割れるのが怖くて 君に近づけなかった

ぼくの目に映るだけでよかったのに
いつしか近づきたいと思ってしまって
でも勇気がなくて 足踏みして
 ....
コンクリートジャングルを
見下ろす
蒼い空に
真っ白な
ぽわぽわ羊が
たゆたっている

壊れてしまった
レコード盤のような
日常に
膿んで
見上げる空は
高い

鋼 ....
インターホンが壊れてしまって
不在票ばかり、溜まってゆく
ドアをノックする手を
誰も持たない


再配達を
今日は頼んだから、
夕暮れにつづく時刻に
言い訳を抱えて
ドアの内側に寄 ....
曇の蒼から産み落とされる
まるいものたちのなかに月があり
ぬるりと山を流れてゆく


午後の終わりの操車場は
しじゅう何かに追われていて
しじゅう鉄の音をたてている

 ....
沈みこむような
暗い雲を頭上に

雨を両腕に抱えて

今にも撒き散らさんばかり

こんな日があるから

時々わたしは救われる
おはよう

息が吸える
布団の中は温かい

私は生きている

深呼吸をする
窓を開けて 今日の太陽

私は
まだ生きています

父の写真に
新しい水


お父 ....
きらめくシャンデリア



天蓋つきベッド



ガラスの靴と、



コルセット





そして庭にピンクのバラが咲いていたら





わたしはお ....
 カンカンの太陽に照らされてた季節は終わり

 ひまわりはちょっと一息いれている

 ゆとりのない生活のなか

 かじりつかれるような

 追い立てられるような気分では

 綺 ....
九月
暗闇
繰り返す
その色痛い曼珠沙華
あちら側から手を振るあなた
私の空洞から風が吹く

愛して
愛して
愛してやれなかった
愛して
愛して
もっと愛して

暗闇
抜 ....
濡れたふたつの手が午後をつくる
坂の一本道
空へつづく曲がり角
高みの灰 地の白
遠くひろがるはざまを
雪が埋めてゆく



短い午後の晴れ間に
海を見ている ....
涙は
流れることを許されず
瞳にとどまっていた

雨が
かわりに泣いてくれたので
辛うじてプライドを保っている

物語は
最終章を目の前にして
頁を閉じられた

栞を
 ....
まるであなたの
唇のような色でした


10月
神様のいない月に
願い事は増える一方で困ります


去年きれいに咲いた
シクラメン


冬に灯りをともすようにして
春先まで ....
何かが焦げたような臭いがする
最初に気づいたのは
たったひとりの 男だった
どこにでもいるようでいて
どこにもいないような
若いひとりの 男だった
男は狂っていたのだろう
その臭いに鼻を ....
真夜中の
骨の色素が熱を帯びて
暗く
暗く蒸発してゆくのです
未だに守れぬ約束へと

恐ろしく白い
わたしの骨は
いったい何を支えている
夢か幻か否現実か
未来は己で決める

 ....
目に見えない時を読めるようになったのは
あのひとと次の約束をするためだった


等間隔にきざまれた目もりを
瞬間の目印にして
大きな流れの中でも
わたしたちがまた、手をとりあえるよう ....
暗闇に咲く白い花は風に散り {ルビ蝶=ちょう}の羽となり

  ゆるやかに宙を舞い

残された葉の一枚も一本の細い茎を離れ

  ひらひらと

豪雨の過ぎた激しい川の流れに飲み込まれて ....
木がねむると
木のなかに
ほんとうの木がうまれて
風にふれようとする

風がねむると
風のなかに
ほんとうの風がうまれて
空にとどこうとする

空がねむると
空のなかに
ほんと ....
薄暗い廊下の突き当たり
古い鍵を回せば
きらきらと埃が舞うだけの部屋

東のカーテンは色褪せ
ピアノの音色は床に転がって
ソナチネの楽譜も気付かぬふり

窓の外には
金木犀がほろろ零 ....
焼き鳥が
香ばしい匂いを振りまきながら
暁の空を行く
カルシウムでできた複雑な骨を失い
たった一本の竹串を骨にすることで
初めて得た飛行を
力の限り大切にしながら
もうコケコッコ ....
怒りを
この体に
押しとどめるなにか
それはこぶしでしょうか


掌のかたちにそれを
開き、放ってもまだ足りない
その病が
揺さぶるのです
だから震えてしまうのです


 ....
現実に醒め
 撓(しな)い返りながら
  春の終わるのを待っている
   あなた
    と
     かなた
       
        
        さいつころ
   ....
線路脇に建つ家に生まれて
ずいぶんと長い間 そこで暮らしたせいか
今でも 5分おきに
からだを揺らしてしまう


そうやって揺れているうちに
いつしか わたしは
窓ガラスの
3メート ....
きりすとが赤くきれいに咲いている
きりすとが青々と茂っている
一本の樹齢二千年の木のように
立っているきりすとは
大きな丸い世界を{ルビ蒼=あお}く包む空にとけゆき
無限の宇宙へと広がりゆく ....
黄昏時
君を探すは幾日

追い越してゆく自転車が
花弁を散らして
去っていった

取り残された
淋しさに
一片拾い上げては
花模様に
重ねた

一度散った花弁
花に戻らない ....
しらいし いちみ さんの自由詩おすすめリスト(707)
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