午前2時40分
潮が退くように彼方へと旅立った
彼女は母のような慈愛に溢れ
ぼくを可愛がってくれた
もうアンドロメダを越えたのだろうか
サイレンみたいなアラームを止めて
そのまま布団の中で溺れると
無意識の粒子が立ち込める
それらは映像となって
現実のように振る舞い
不思議が不思議でなくなる
サイレンが割り込んできて
手 ....
私はコンピュータ
あなたは新しいユーザですか?
ご命令はなんですか?
その機能なら私は得意です
お任せください
あくる日命令された内容は
私には理解ができませんでした
わかるように書 ....
眠、覆い、考えられるかぎりのイメージ、それから細いタイヤ、太いキーチェーン、議事録、半円状の、氷、「実際よりすくなく感じられる」
どれくらい必要だろう?
どれくらい必要だろう、遠くなってい ....
(実況中継)妊婦にぶつかったスマホをいじくっていた中年男は、でけぇ声で邪魔なんだよと怒鳴って優先席に座った。その瞬間わたし以外の全員は一瞬にして殺意の目になった。これは戦争時の共有感覚なんだよね
....
北の湖の{ルビ畔=ほとり}に
{ルビ春楡=はるにれ}の大樹が唸るように{ルビ聳=そび}えている
その根元にきみを置いて写真を撮りたい
そそぎこむ小川には姫鱒の求愛激しく
やがて ....
京都三条大橋の側にあった
六階建の大きな旅館
非常階段の踊り場から見下ろす
起き抜けの街の静けさが好きだった
あの頃は赤のマールボロを一日半箱吸っていた
廊下の重い鉄扉が ....
色紅葉色付けばもう散りいそぐ
木の実落ち団栗らしき音色かな
手水にて紅葉も色も掬ひけり
吸ひ物に小舟のごとく柚子浮かぶ
アホしてた青春遠く青蜜柑
失恋しずっとレモンを見て ....
孤独な笑みを絵文字で隠し、
スマホに託した改行の渦、
旅人太陽さんさんの白い街をゆく。
理学都会の海を泳ぐ。
目覚めたらメガネの君、
懐かしい匂いがする、
久しぶりだねあんずとか青 ....
爆弾に利き手を奪われ
居場所と未来を塞がれた少女は
残された反対の手で
書割に居場所と未来を描く
現実の空間には絶望が渦巻いている
今この場所に立つために
夢は叶わないから描かない
書割 ....
ゆうらゆらゆうらゆら
何だかとっても今朝の
ゆうらゆらゆうらゆら
緑葉無数無限の揺れ
無限の揺れ森の揺れ
沈黙の中で想いを語り
)ぼわっとぽすっとずんずんずん
)なにかなんだかくるく ....
養分の足らない詩句たち
頭に浮かび どこか消えゆく
僕はそれを追ったりしないまま
鼻から吸って
口から吐く
瞑想をつづけていました
口から吐ききった
次の呼吸に至るまで
....
「少年よ大志を抱け」、
伸びやかに大志をまっすぐに指ししめす、
羊ケ丘の博士の指先に、
少年としての視線が搭乗する、
そこに飛来してくる、
小さな飛行機の模型のようなトンボ、
なん台も博士 ....
もう生きていけない
世の中についていけない
しんどい
と思いながら携帯ショップへ
機種変更しにいくと
若い人が丁寧に対応してくれた
おじさんまだ生きられるか
....
風香り木犀と知る曲り角
木犀の香る風折りポケットに
夕刊のあとに夕焼け赤とんぼ
空蟬に{ルビ未=いま}だ命の気配あり
木犀の香り初恋思ひ出す
ぴくりともせず蓑虫はお留守か ....
交じり合う水の響き文字にはなれず
木陰に隠れ 泣く者もなく憎まれて
契りもけむる朝 嗄らす声すらなく
爆ぜる肌 墨でなぞった夜の谷
差すべに月になじむことなく
ゆがむ静寂に 息を重ねて
....
西陽とたわむれる
噴水の水の音は
子どものようにまるくなってかけまわり
わたしへ小さく手を振って
「またね」
…… 、
鈴懸の樹が葉を落とす風に鎮もる
涼風にのっ ....
散乱したゴミが
部屋の片隅
産卵をしていた
孵化して命となったゴミに
名前をつけていく
太郎や博美は
早くに死んだ
真理子や貴文などは
長く生きて
また新たなゴミを産んだ
....
もう、
笑ってもいいんだよ
って云われた、
ような
笑っていないのは
すこし弱くみえるらしいし
ずいぶんむかしのことだが
たぶん白みはじめた鳥たち囀る早朝
いちばん悲し ....
敵であり、
味方であり、
ボクの恋人であり、
油断の出来ない女だった
彼女が欲しいのは男らしさ
弱い男なんか目じゃない
心の傷を舐めてなどくれない
辛い時に、優しくもない
だけ ....
秋が重い腰を上げて、ようやく日も少しずつ短くなり始めた、空には一文字に切り裂かれたような雲が浮かび、そいつらを見下ろすように鱗雲が多足生物の足跡のようにぽつぽつと揺れていた、秋に生まれたせいかこういう ....
命が惜しいと老人は若者に、我慢を強いる
生徒は学校で教師の言うことを聞けず
夏は暑いからと過度にエアコンに頼る
お金が欲しいと子供達は、YOUTUBEに顔を出し
難しいことは考えたくないと、人 ....
そんなに簡単に国を割るなよ
玉子じゃねーんだからさ
貴方なら、きっとそう言う
貯めていたお金は
もうすぐ底をつきそう
生きるのは、お金がかかる
甲子園って広いね
膨大な熱量を受け止めるに ....
何処にでも行けることを忘れないで
ドイツにでもポリネシアでも
幸福を打ち合うビリヤードのように
運命の庭は心の中にもある
あなたの瞳は雨の日々のように
痛みのように弾け
狂ったポケットに落 ....
一篇の詩は極まれり 画布をまたひるがえすのみ無名のひとよ
守一の猫たちどまる秋の雨いまだ降りをる窓を眺めて
だれに口惜しき過古ありぬ ぼくら係留場の反対にゐて
....
「今日は和風居酒屋
『死語の世界』にお邪魔しています
こちら壁一面にもうあまり使われなくなった
死語がたくさん貼ってあります
そしてメニューも死語になっています」
・揚げ物メニュ ....
日めくりカレンダーが
風でパラパラとめくれ
ちぎれて飛んでいく
慌てふためく私を
置き去りにして
ひっくり返すことのできない
残り時間もわからない砂時計
私が生まれると同時に
....
あなたから滲み出る匂いを嗅ぎ
やっと呼吸をすることができる
冷えたコンクリートに囲われて
息を止めたまま凍りついていた
思考回路が野生化する花の香り
ひとりでは何をするにも未熟で
あなたの ....
朝に
自らの面を
洗う
雨、
打ち付ける
アスファルト、
濡れそぼつ
銀の色に
人影 映り、
滑落する時に拍車掛け
始まる一日、
新たに 告げ
響く声
内か ....
湿っぽい風の中を歩いてきた
さくばんの雨で路傍がきらきらしていた
きらきらに意識が混濁しつつ
湿っぽい風の中を歩いてきた
僕はラッキーストライクに
カフェラテを買った
妻が何を ....
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