すべてのおすすめ
だいすきだった詩人が
詩のことなど忘れて
湯を沸かしている
うすいまぶたに光が乗る
忘れて、
忘れて、
忘れて、
生きなさいね。
と
わたしの耳は聴く
すみません。
ちょっとかいてもらえますか?
あ、背中じゃないんですよ。
リュックの中にノートとペンありますんで。
え?いやぁ、私はご覧のとおり、
右手に長男、左手に長女のいるベビーカーで ....
短い髪の毛を揺らして歩くセーラー服
単調な音を鳴らすしまむらのスニーカー
畦道の傍らの、コンクリートに転がった
蚯蚓の焼き尽くされた死体が
まだら模様に広がる夏
自転車の回転 ....
テレビのボリュームを下げる頃には晩酌の酔いもすっかり覚めている。
眠気を通り越してしまう 小腹も空いてきたよ、なんて
と思って近い台所をあさるのだ。 (すがやかほれば ....
人は、なれるもの
昨年までエアコンがなく
夏
といえば全裸で
過ごすものであったのに
今となっては朝から冷房を入れて
そのくせ布団に
這入っている
人は、なれるもの
家族が一 ....
誰かの物になるよりも、
いつまでも誰の物にもならない
図鑑に載らないような生き物でいたい。
透明で、どこまでも届かないような
そんな生物でありたい。
今夜も、海は、白い。
ここ ....
誰が見てなくても
少しだけしっかりやろう
今夜は違うんだ
僕は姿勢をいつもより正して椅子に座ってる
君からの電話はいつくるんだろう
今夜は気持ちが少しだけ落ち着いてる
目もつむ ....
人にかける言葉の
優しいひとを選びたい
選んでどうするのかと
問われても明快な答えもないが
そうなんだ僕たちはそんなには曲がってはいないはず
規定するあなたがたの定規はどこまでも ....
新しい年度が始まり
新たな気持ちが芽生えて
わくわく感が増す
春の潮騒が後押ししてくれる
自然の優しさが身軽にしてくれる
耳を澄まして
春の潮騒を聞く
静かな心に寄り添う
....
真実の仕合わせと
偽物の仕合わせを
きちんと見分ける眼なんて
持ってなかった
ひとときの感情に振り回されて
見失った大切なもの
振り返れば
ずっとずっとずっと
続いている自分の ....
ここに記すことは
僅かばかりの蓄財の子への法的な譲渡に関するいくつかのことがら
そしてその他言い尽くせぬ様々の経緯、背景、心境を集約し遺そうとする意思
その意思はギリギリまでに削ぎ落とされ、真実 ....
きみはときおり
溶けてしまうね……
信号機に架かる
朝の虹を
ながいあいだ眺めて
お腹から
消えていく
涼しくさわやかな風も
去っていくみたいに
海のなか ....
廃田の草を刈っていると突然大雨となった
しばし、刈り払い機を雨の当たらない所に置いて
雨の中に立ったまま私は辺りを見ていた
これからのことを打ち消すように
雨は降りしきり、そしてまた
何 ....
6/1
古いカメラのように瞬きをすると
紫陽花から滴る雨粒が
カリッ、と網膜に光の線を引く
6/2
すれ違う人の柔軟剤の香りにときめいて
振り返ると、彼女の背中に
斑点だらけの黒ずん ....
湿る金属 の臭いと 舌の先
{引用=金属は湿っている
唇は乾いている
それは六月二十三日
信号は点滅している}
主の無い 蛍袋と 荒屋敷
{引用=壺屋の水は ....
夏に買った
金魚鉢は
金魚を飼うための
金魚鉢なのに、
いまではもう
青空を飼ってしまっている。
いつか知らないうちに
金魚が青空に
溶けてしまったという、
嘘みたいな嘘 ....
昔の古い人
今となっては
産まれたばかりの赤ちゃん
産まれていないときは母親になる人のお腹を
よく蹴った
今となっては昔の古い人も
まだ産まれていないときは同じようにお腹を蹴っ ....
天に舞い上がった
ひと粒の砂よ
雨の核となりて
陸に戻れ
アスリートは髙らかに詩を歌え
アスリートは詩を歌う
アスリートは詩を歌わない
アスリートも詩を歌えや
アスリートは、詩 ....
挨拶から始まる朝は来ない
顔を見たなら悉く突き合うまで
さして時間はかからない
めんどり二羽の朝の風景
イラつく調理場
割れる玉子
割れない石頭
言い返さない方が利口
聞き流せ ....
結局、俺はいったい何者なんだ
その答えはかいもくわからない
人間始めて
今日まで人間続けているけどさ
明日は人間やめてるかもわからない
勿論
このまま人間続けていたいけどさ
....
窓の外、私の心、雨模様
天上の隙間から
ポツリ、ポツリと落ちてくる
雨粒は、まるで涙の雫
涙で心を濡らさぬように
私は、心に器を置いた
水差し、花瓶、一輪挿し
グラス、徳利、夫婦茶碗 ....
太陽が沈んだ
一番星が走るけど
物足りない夜空
あなたが帰らない部屋
冷たいベッド
剥がれかけのペディキュア
ため息一つ
あなたを愛してた
波のうねりが変わり、感染から感染へと有機物の個体も変わる。超派生的な若さ。裏返る戦士たち。突起物が無い。それはまた新たな生成への第一歩だとも言われる時代。
グレーに染まる艶やかな長髪は蛇行の帯び ....
ずっと不安で震えていた
曖昧な言葉しかない世界で
曖昧な事ばかりをした
絶望など存在せず
かといって希望も無いような世界が
意味もなく立ち込めていた
間違うことから ....
肉身の疼く
夜陰の沈黙に
心は乱れ不安に駆られ
詩と死と戯れる余裕すらなく
焼酎を二杯、三杯と
焼け付く視野に
蜘蛛の巣張り
払いのけても払いのけても
辺り一面の糸は切 ....
白いカーテンの揺れる部屋は
少し黴臭く、湿っぽい
レンタルベットの軋む音の中に
心臓だけになった母親は 小さく呼吸を繰り返していた
はじめて母親の大きな身体が剥がれたのは 小五の夏休みだっ ....
目が覚めて
冷凍庫をあける
「指定のレベルをクリアして下さい」
つめたい印字 マシンガン 僕のトラクター・アート
寝そべって 知らない人たち それから
視力の悪い指導者 濡れた掲示板 パ ....
「吉良の仁吉」のことも知らんのに、
なんでひとりきりになったら、
うたいよんねんやろうなぁ…
たましい、
もっとるんやな、
こんな自分でもな。
人の世はいつ ....
お人形遊びの
楽しさを知らない
綺麗な服に着せ替えて
髪を梳かして
それから?
あんまり虚しくて
人形にドロップキックさせたら
あの子とはもう遊ばないって言われた
....
見えるでしょうか
あの屋根の下、切妻という
人間で言えば額のあたり
大きな手形がついているのがわかりますか
男の手が両手揃って
雨の日などはくっきりと浮かび上がるのですが
今日もよく見 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35