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特別支援学校に通う
息子が二年生の
ある夜
初めて妻に打ち明けた

ダウン症告知のあの日以来
息子について後ろ向きなことは
もう決して言うまいと
心に決めていたことを

語らう夫婦 ....
零れる優しさの水滴に刺さる
雪風が頬を伝う
最後の嘘を纏った電車の発車音が
膝を殺める
指先が溶けそうな
熱風を吐き出す
初めて素直になれる恋を見つけていた
私と君の
一度きりの絶望の ....
柿が自らの重みに耐えかねて
落下するのはいつだろう
近くで見れば黒ずんできているが
遠くからなら変わりなく
まるく楽しい色を放っている
俺は葉の落ちて実だけになった
この柿の木を美しく思う ....
(うしろの正面ダアレ)

、いきなりですが
羽根を持ちあげては殺しあう

郭公が鳴いた

鏡に映るのは化粧の白い羽根

声音を十二階変化させ
モノマネをする

知らない
 ....
スパゲティの判決
噛んだ飴で口を切った
午前零時半の雨が頬を打った
熱を冷まして
爪先に手が届いたら
復讐に出掛けたい
割り勘で食べよう 君はなにもしてないけど

愛にはもう何もできな ....
宝箱の中のわたし
お気に入りはお気に入りだって
大切に仕舞い込んだりしないで
外へ連れ出してほしいの
世界の広さを知りたいし
雲の行く先
昼間の月の優しい光を浴びてみたいの
隠したりしな ....
ゆっくりと歩く蝸牛
それで
どんどんと黄昏の国が過ぎて
宵闇せまる暮らしの中で

わたしも
立ち止まったままの
蝸牛

さまよえる
迷子

冷たい風が
「シッ!」
っと ....
一夜、すぎ
油の匂いのする聖水の
油膜を
洗い、すすげない、
その匂いにキャンキャン鳴いている
かしこい顔の犬を追いはらい、
泣きそうな君を
バス停までだけどね
見送ったのに、
君の ....
記憶ってなんだろう
僕の記憶って

記録は嫌いなんだ
風にまかせて書き留めたほうが
たぶん素敵だから
悲しくても
涙を流すこともできず

くやしくても
叫ぶこともできない

誰をうらめばよいのか
問うこともできず

寒々とした
野にさらされている


その積み上げられた姿が
 ....
まあ
このくらいで
いいでしょう

すべては過ぎ去るもの
衰え朽ちてゆくもの
明日は在るかどうかはわからない

ならば空になれ
鳥になり海を渡れ

繰り返し繰り返す過ちを忘れ去り ....
御存命でしょうか
なんて言われたらあなたはどうします
餌が鳩を縛るまま
衰退は止められなかった、と
御存命でしょうねたぶん
ただ、絵筆に描く人が見あたらない
それが哀しいのです

 ....
透明に見える水が本当は青色だって知ってた?

真実を見抜くその瞳も
本当は透明なんかじゃないんだよね
わたしがその事に気付いた時
君は動揺を必死に隠そうとしていた
その瞳に色を宿して

 ....
哀しい記憶を包んで、紫

滑らかで柔らかい膨らみ、紫


愛しい幻覚

永久(とこしえ)に眠れ
この冷たさに敗戦を直感する
そうだ敗けたのだった
風景は「終わった後」のものとなる
昔にもこの土地はあった
ガードレールもアスファルトもない頃から
ずっと続いている進化しない夕焼けを
昔の ....
フレームだけを残してフロンティアが
朽ちている、錆びたフレームを隠すように
蔦が這い、忘れられた、いろかたち

老人が指差す、そこが境目だと
フロンティアがあったと、かつての
開拓地を指し ....
約束もしていないのに
お互い振り向いたら
どちらかが目を逸らす

穴の空いた僕と
透明な君と
惹かれ合うのは当然だけど
諦めるのも必然

でも探り探りだから
しばらくは一緒にいられ ....
原子レベルの
量子テレポーテーションが成功して

もうすぐ
小さな物質が
転送できるようになるらしい

まるでSFの世界の
転送装置のような働きも
夢ではなくなるかもしれない

 ....
朝焼けのそのムコウより

夕日の果てまで行ってみたいな

最後の煌き(きらめき)帰って行くまで

見送っていてあげたいな



追いつくことが出来るなら

夕日について行っ ....
ころころ
ころころ
ころがって

わたしのタマシイ
磨かれたのか

泥だんご
一生懸命磨けば
ぴかぴか光る

艱難苦難
坂道ころころころがって
もうすぐゴールにさしかかる
 ....
音もなく
果実が枝から落ちた
アスファルトに広がる無残なそれらは
太陽のように輝いていた
あの果実とは思えない

これは大事件だ
心の中で大声を上げて
誰かを呼んでみた
寄ってくるの ....
雨水の溜まったバケツに
虫がいた
夏の暑い日だったから
乾いていたのだろう
草で突っついたり
波を立たせて
私は遊んだ

次の日
虫は死んでいた
バケツの中で
私が遊ばず
外 ....
問い返すたびに僕が増えてゆく
ジミヘンのファズノイズでもあるまいに
あるいはピンクフロイドのエコーズ

探す程に海は深く遠く風ばかりが吹いている
僕のこころの荒涼が優しく増殖してゆく
 ....
夏の陽が透ける
柳の梢を見ると
春の桜も紅梅も
心の梢に消えず
秋の時雨を飲み
葛の眺めに風畑
冬の雪雀は凍え
霰の豆を追掛る
紅茶山に陽が隠れて
キャンプを張るには少し肌寒い夜だった。
焚き火の根元をいじってるとムスコが問いかけてきたのだ。
(ねえ、法王様と天皇様ってどっちが偉いの?
枯れ枝で炭の棒を探る、こすり ....
あなたが雪なら
離れていよう
解かしてしまうから

わたしが雪なら
そばにいたい
温もりで解けたいから

ふたりが雪なら
結びついて
ひとつの氷になりたい

雪が生まれたら ....


あなたに会ったよ
夕方 金曜
こみあう郊外のマーケット

カートを押して
気づけば
目の前にあなたがいた

みつめる僕の視線を
たくみに外す
あなたのしぐさに
胸をつか ....
{ルビその挑戦は魅力的に見える=ドアに貼り付いたタロットカードの"愚者"から良い匂いがしてくる}
{ルビそれは挑戦だからもちろん結果に成功と失敗がある=タロットには正位置と逆位置 ....
 
「 ここはあたしたちがみつけたばしょだから

  あんたどっかべつのところでおべんとうたべなさいよ 」

 と云われた女の子は

 ひとり 歩いて歩いて

 森をぬけ

 イ ....
木目に触れてつま弾いてみる
腕にしみる音だった
慌てて左手で右腕を抱く
静かに響きが止んでゆく

無粋ないたずらはするまい
たとえ喫茶店の壁が木目であっても
誰かがベースを弾くように
 ....
もとこさんの自由詩おすすめリスト(1061)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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