すべてのおすすめ
みたされた気持ちで
穏やかに凪いだ
うみのつめたさを
身、ひとつで裂いた
くらい海面に
ちりちりと遠い
工場の
あかりが散っていって
いつの間にか
ひたひたと素足 ....
苦い紙を足していく
食べ砕く
本当は駄目だって
みんながそういう話をしている
みんなは不特定多数
一様に挨拶をしていく
風に揺れて紙を足していく
誰も食べないし
砕かないし ....
雨がふりだして
猫の恋も濡れる
傘はどんどん縮んでしまう
ウイルスが街を呑み
国境はふかくなる
社会と生活をかける天秤の
0の目盛りはなくなって
僕たちは星をたべ
想い ....
かつて恋人同士だった人は、その人ともう二度とできない事柄を悔やむのだろうが、
片思いに過ぎない私は、その人と一度もできなかった事柄を頭で思い描いては悔やむのだ。
手に入れたものを失う辛さと、
一 ....
全ての生命は最終的に緑になる
彼女はそれを信じているが
俺は確かめたらいけないと思う
そして最悪の見た目のパスタを
最高の笑顔で俺に差し出し
俺の瞳の中に毎回奇跡を起こそうとする
....
寒い窓みとったら
みとったばかりの
顔が浮かんでくる
ずる ずる
おうどん おいしいかぁ
ええ音だして
ずる ずる
いわせやんなあかんで
泣く子も
泣き止み
すう すう
寝入 ....
{引用=梯子}
高く伸びた梯子があった
青い空の真中に突き刺さり梯子は行き止まる
果て無きものに接した微かな上澄み
触れていることすら定かでなはない
その虚無の厚みの中
降り立つ場所もなく ....
スマホ時刻午前六時十九分
目が覚めたらその時間
連休二日目の朝
日曜日
スマホは肌身から片時も離せない
まるで自分の分身
スマホから得られる情報
スマホから得られる娯楽
L ....
水に濡れたまま
雨にうたれている
妻が傘の下からタオルをくれる
いくら拭いても
濡れタオルだけが増えていく
妻は可愛い人
こんな時でも傘には入れてくれない
濡れタオル屋でもや ....
降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく
やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら
降りていく
宇宙の底 ....
柔らかな薄桃色の掛布団
夕暮れの雲に覆われた空
真っ白なシーツをふわりとまとう敷布団
おやすみなさい
積み上げられた徒労を包み
疲れた笑いを
しずかにほどいて
瞼を透かす朝のことなど
....
とても良い朝には
きみに電話をして
かわいい化け物の話とか
食べきれないピザの大きさなんかを
評論してみたいんだ
ときどき売りにゆく
柱時計がボーンと鳴り
寺山修司が競馬新聞 ....
足場は細く
どこまでも長い
尾根を歩いていた
草木は低く
岩肌はもろい
周囲を見渡そうと踏み出した
足を滑らせ
落ちる
底のない
服は破れ
皮膚は削れる
すこし宙に浮く
落ちる ....
((蒼穹を飛んでみせてよ))
((そんなのいやだ))
((どうして?))
((だって、「蒼穹」なんていう言葉は古すぎるもん))
((じゃあ、「青い空」 ....
にんげん
ぎりぎりになったら
嘘と本当がわかんなくなるよね
あのウイルスが
どこまで恐ろしいのか
まだどこにも
本当はないんだよね
米国のメディアが
あの船の扱いを非難しているらしいけ ....
凍りながらかけてゆく
つま先の音が
まぶたの裏でひかっている
薄むらさきの血液が花を
さかせていた
降ってはかえる雪の
野は
斑にはるをくちずさみ
ついになった色から透けてゆく
した ....
東京
透けた卵管が
標識のたかさに浮いて
われらを 孕もうとする
香港
銃声のようにみじかく
中毒のようにながい
発狂が四角に建つ
....
在りし日の
オスカー・ピーターソンの指は
鍵盤の上を無心に踊り
宙に奏でる音符の流れで、僕に云う
(生きるって、悪くないよ
時には素敵なこともある)
「この世に、虹はあるのか ....
日曜日の午後に雨に濡れていた
雨が滲み込んでいく土地は
いつしかインフラ工事も終わり
街が産み落とされようとしている
興奮と鎮静の狭間で理性を失うことは身体に良くない
すこし海の底まで堕 ....
たゆたう面影の午後を錯覚として生きているのだとしても。
あなたは葉っぱだ。大きな蓮の葉の形した
あなたはラッパだ。
素敵なクリスタルの星星を宇宙に輝かせる
そうして私の信仰は止むのだろう
....
さん、らん、する、さん、さん、と降りそそぐ、ひかり
の卵、ひかりが、生み、落とす、きのうへの、あしたへ
の、記憶、あなたがいない、そのことのために、はつね
つする、記憶、、、さん、らん、する、さ ....
僕はマリオネットである
ただ、本当にマリオネットという訳ではない
まるで、マリオネットの様に動くからである
人にこれを買って来いと言われたら
すぐにでも買いに行く
人にこの仕事をお願いし ....
溶けていくチョコレート
だらだら伸びて
いつか水溜まりに
沈んでいくのは
わたしの想い
消えないまま
濁っていく
はいずりをするきみのお仕事は
周りの人を笑顔にすること。
口の端っこをぎゅっと上げて
上と下に二本ずつ生えた白い歯を見せながら
声を出して笑っていよう。
「そこにいるだけでいいんだよ ....
楓は老いることで色づくのだと知り
見事だと思った
去年の事
もののあわれといとおかし
桜より梅がいいなと思う
今日この頃
桜が咲 ....
ある所に少年がいました
少年はいつも元気に暮らしていました
朝早くから起きて水を汲み
それを終えたら鶏の卵を取りに行き
そして、母親と一緒にご飯を食べる
それが少年の日常でした
村の人 ....
どういふことだ
まだ
ひとのかたちをして
星の上にゐる
急がなくてはいけない
廃村のはずれの小さな草むらに
菜の花が咲きはじめてゐる
……風にゆれてゐる
やさしいやうな ....
蟻みたいに地道に生きてきた筈なのに
キリギリスみたいに何も蓄えられなかった
冬が訪れてきて
寒さがしみじみと身にも心にもこたえる
冬の先に春は待ち構えてない
季節は断崖に続いているだ ....
自由に集い
株分けした苗を
持てるだけ抱く
好きな花を選び
誰の指示もいらない
喜びは自分で創るもの
雑音に一喜一憂しない
濁った気持ちを持ったなら
花は枯れてしまうでしょう
....
廃れた町には何もない
ただそれは理解されてないから
何もない様に見えるだけ
廃れた町には空っぽの家がある
廃れた町には錆びた自転車がある
廃れた町には骨だけになった何かがある
廃れ ....
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