すべてのおすすめ
いくつもの門を通り
いくつもの問を越え
理解と誤解をなだらかに重ねては
綴り合わせる 欲望の道すがら
まるで古い雑誌の切り抜きや色紙を
ぺらぺら捲るような 陽気な悲しみ
目深に被り直して
....
いったいどこに行ったんだろうか?
消えてしまったんだろうか?
閉じ込めているうちに
吐き出しているうちに
質量保存の法則というやつは
こういうことにも適用されるのか?
....
外の日を入れよ、
外の日を
目を、眼を
ひたすら瞑り
泣きたい時はただ泣けばいい
自分で自分を哀れむことは大切なこと
深く哀れみ自ずと涙が流れるとき
涙の温かみは己の命の熱の ....
君のうなじが
白くうつくしいので
ことばを失くし
つつじ柄の着物に
雨が落ちてくる
そっと和傘をひらく
しぐさに湿り気が帯びる
四つ辻まで
ご一緒しましょう ....
コトコトと煮物を煮る
人生にはそんな要素が必要な気もする
アンテナを高く張ってトレンディなことも必要なのかもしれない
誰もいっぺんには多くのことはできないから
天才でもないので特に高み ....
かなしみが、一律に同じ形をしていれば、いくらだって切り貼りして、いびつな模型を作ってみせる。
言葉なんてあいまいで、うそ、のひと言で理解してしまえる。うそがうそであることが、なによりうつくしい。 ....
ゴールは近い
ゆっくり行こうよ
クイーンが封入されていた
封書が届くと
鐘が鳴るたびに
ゴミが散らばった
夕暮れに同意を求められて
孤独の鴉が間を感じる
根っこのような夕陽だ
カラスの目がねっとりとカーブを描く
太い ....
咲いた翌日から続く
低温と
強風にも耐え
寄り添って直立を支えあう
ある日訪れる真夏の陽気に
結束は緩み
感熱性の花びらは
ひた隠してきた
雌しべ雄しべの位置をも露に
くろぐろと ....
五月晴れした 虚空に見える
すえひろがりの 長い白帯
それは 単なる 天体ショウか
それとも 平和の飛行雲か
あぁ あぁ それは摩訶不思議
卒寿のおらは 翳あわく ....
うすい影がゆれている
くちばしで
虫をついばむのだけど
やわらかな影であるから
獲物はするりと逃げてしまう
{引用=命でなくなったものは
もう命には触れることができない}
それでも ....
入退院繰り返して
長生きはなんのため
医学の進歩のため
製薬会社の発展のため
入退院繰り返して
長生きはなんのため
年金のため
子や孫のため
入退院繰り返して
長生きはなんの ....
なにもかもが闇に向かっている
そんな錯覚に陥ろうとも
肩で風を切って
足を大地に踏ん張って
今日もまた
蒼い月を眺め
叫びたい心を抑えつけて
口笛を吹いて誤魔化す
濁った雲がトグロを巻 ....
復興途上の街の街路で
寂しくなって月を見上げる
愛は常に失われたまま
ときに著しい渇きに身悶えする
この渇きを月よ、お前にやる
この渇きを月よ、お前に叫ぶ
俺はポロシャツをだらしな ....
愛とは
相手に
安心を
与えるものなり
夜明けにだけ
列車の着く駅があるという
そこでは誰も降りないが
そこから誰か乗りこむという
言葉は置いてゆくという
言葉にはできないものを
探しにでかけるところだという
あたらしいものは ....
貴女は秋のあの日、
夜明け前の碧い天蓋に
独り揺らめき身を投げた
硬く冷たい肉体を現に残し
何処までも独り遠く逃れ去り
貴女という魂は私の中で生き
私という魂は貴女の中で生き
何度と ....
澱んだ空が憎たらしくて
蹴りをいれたいのだけれど
殴りつけたいのだけれど
想いさえも届かなくて
精一杯に唾を吐きかけ
考えつく限りの罵声を浴びせ
それでも気持ちが収まることはなく
さらに ....
瀧の夜
火を拾う指
音の無い径
水たまりの径
水の音は鈴
鈴の音は夜
夜の地図は水
光の指をひたす子らの声
火は火のまま底へと沈み
水面に言葉 ....
夕方ふと足を止めた
流れ去る風は何処へと向かうのか
気付いたらここまで来ていた
借り物の身体 何処まで行けるかな
明くる朝ふと息を止めた
細胞は許してはくれなかった
何だか胸が苦しく ....
入院すると
生きる目標が
はっきりしてくる
「退院」という二文字へ向けて
すべてが動き出す
入院病棟は
死と隣り合わせの生きる力が
みなぎっている
ボケた!という
自覚のあるうちは
まだだいじょうぶである
しかし
「ボケてない!」
と言うようになると
深刻になる
貴方が他の誰かを求めたりしないように
その腕を切り落としてしまいましょう
もう二度と何処かへ逃げてしまわないよう
その足を切り落としてしまいましょう
私のことを考えるだけなら
首から ....
画面ばかり見て患者をよく診ない医者
決めつけるような言い方をする医者
やたらと薬を出す医者
患者の質問にきちんと答えない医者
患者の不安を煽る医者
女に生まれた私は誰よりも自分自身の価値を理解していたわ
それは長続きしないものだと最初から分かっていたわ
気ままに生きてきたようで本当は焦っていたのかもしれない
私が一番欲しかったものを結局は手 ....
曇り空を見ていた
コンビニのベンチで
缶コーヒーを飲みながら
部屋に篭っていると
自らの身体の痛みに
意識が集中してしまうから
近所のコンビニのベンチで
ずっと空を見て座っていた ....
裏庭に面した
ガラス戸をあけると
冬のあいだ 我慢していた
レィスのカァテンが
待ちわびたように
それは見事な波を創って
(そして
....
「好きなことこそ
気をつけないといけない
やり過ぎるから」
と自分から口にしておきながら
本当には気づいていなかった
「深酒に冬場のマラソン」
この組み合わせが
心臓に一番良くなかった
....
まん丸の
焼き菓子みたいな
今宵の月
雲に隠れてみたり
顔を出したり
なんだか不思議な
態度をとるよ
朝にはクラゲみたいに
薄うくそおっと光る
....
あまやかしても いいのだ
けして つめたいだけの人ではないのだから
心のかよわない言葉しか 今は ないけれど
こどものころの私に あの人が教えてくれたレシピ
ビスケットケーキ
....
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