一行で何人も殺せるペン先が細い
√ Rute るーと
「 √を、開く 」
時
あなたの日々の門戸は、ぽっかり黒く
未知への通路を、開くでしょう――
(今日も天から、吹き渡る
あなたへの
air mail ....
桜餅外税表示で並びをり
外税の九円ありて花疲れ
マーケット前のガチャガチャ子の春愁
この公園には獣がよく来ます
あの石積みの崩れは
イノシシの仕業
あなたの足下のぼこぼこした土
それは狸の厠
先ほど あなたの踏んだ黒い豆
シカの落とし物ですよ
昼間花見客で賑わう ....
壁を見つめて壁に書いた
壁に眼で書いているから
誰も気が付かないだろう
もうこの壁ともお別れだ
明日は別の壁の前に居る
じっと壁を見つめた日々
壁の前に机を置いている ....
飼い犬に似てきた
月が満ちた午前零時
引力は拮抗する
三角関数が
どうして重要なのかを
知りたくないですか?
月のひかりは
海底までとどかないから
微弱な引力の波動を
感じているしかない
....
夫と息子がいる浴室に行くと
かつおぶしの匂いがした
親子で前世はかつおぶしか
鰹として泳ぎまくり
死んだ後はかつおぶしになって
お味噌汁になったのか
死後も価値があるなんて
かつおぶしは ....
押しても引いても現実は容易には動かない
しかし個々の事象は絶え間なく瞬時の変化をとげてゆく
成長とは産声をあげた瞬間からの死へのあゆみ
明日はわからない
でも希望はそのやわらかな隙間に生ま ....
呆けた{ルビ斑=まだら}の歌声に
後ろから捕えられ
目隠し外せば 春は
娘姿の老婆
千代紙から蝶
切り抜いては
ふうっと 吹いて
この肥大した冬には
心の資産全 ....
川伝いに伸びる
でこぼこ道の向こうから
菜の花がきれいね、と
懐かしい人が
光をまとってやってくる
どこかで硝子製の呼び鈴に似た
澄んだ鳥の声が響く
あなた、
ずいぶんともう
大 ....
わたい、もやしはきらいや。
病室のベッドのうえで
母がぽつりと言う
六十年も付き合ってきて
母の好き嫌いをひとつも知らなかった
そんな息子だ
お父ちゃんがな、腹切ったときに出て ....
時間は記憶のなかに堆積して
想い出になるものだろうか
涙は溶かした時間を映しながら
様々に色をかえてゆく
きみのハンカチを染めないでその色に
きれめのない時間のなかで
ピリオドやは ....
君を嫌いになる理由をさがしてたら会いたくなった
まさか 夢にみるとは思わなかった
明け方の私の夢に現れた
君のことは何も知らないのに
ネットという魔都で知り合ったのは
ずいぶんと昔のことだった
私が詩を書き始めた頃
君の書く詩はとて ....
140318
のろまなびるまなどという呟きが聞こえるので思考を中断、先へ進む
遂行するのはノルマ
のろまな奴では達成できないからその後ろには懲罰が手ぐすねを引い ....
寝起きからドライマティーニ接ぎ穂かな
春が降り注ぐ
固くこわばった雪山に
冬の汚れをこびりつかせ
シャーベットに足を取られ
車が跳ね上げる泥水に
コートを汚され
春が降り注ぐ
微笑がこみあげる
春が降り注ぐ
....
ペイン
じぶんで
じぶんを
くるしめれば
くるしめるほど
いたみから
ちからがあふれだす
メタメタに
きずついて
つらく
かなしくて
それでいきる、のを、
もうやめ ....
捕まえられた殺人犯は
群がるマスコミ関係者に向かい
マスクをずらし
何か 喚いた
「あっ、彼が何か叫んでいます。
なんと言ったのでしょうか?
ちょっとよく聞き取れませんでした・・」
....
パパの代わりにサンタが連れて行かれた
震えて原発で呑むタダ酒
オレンジジュース、シュガー、バター
OK 一通り出そろった、そうさ
あれもこれも意味のない羅列
僕らの人生なんて 所詮そんなもんさ
鉄槌で打たれた様な衝撃も
御手製の愛で出来た点滴も
....
秋田に来てはや二年。気がつけば、すっかり美人慣れしてしまった私がいる。逆に言えば、美人慣れするには、二年も要するということである。これはたいへんな試練である。
美人を見ても動じない。読者 ....
髪を切りました、ばっさりと
決別です
春です、今日からわたしは
持ち上げては
こき下ろす
嘘をつかない人間はいないのだが
良い目を見たから許せないのか
騙されたから許せないのか
自分の嘘はばれたくないものだが
真実を追求する
マスメディアもか ....
遠い海鳴りに揺れる芝の浜に
過去を彫りつけて並ぶ墓石
刻まれた家名は
未来から押し寄せる期(とき)の飛沫に
輪郭を失い昔話の中へ透けていく
たとえば 祖父の掲げた鬼灯の
赤光に浮 ....
知ってるわ
処方箋と 分量に 服用回数
全て守れば
私は きっと
護られる
だけど ちょっと
スリルが 欲しくて
ちょっとした スリルが
スルメみたいに
ベタク ....
我が家の桃畑の道路向かいに、周囲の田んぼに囲まれながら土が高く盛ってある場所がある。そこには一本の小ぶりな古い柿の木が中心を占め、右手に数本のアジサイが植わってあり、左手にドラム缶が置いて ....
春の柔らかな外套はいらない
寒風をしっかり遮る重いコートが欲しい
凍てついた大地を確実に踏みしめる足と
流れる雲をよみとる眼差しを
桟橋に繋留するための無骨な舫い綱あるいは
海底ふか ....
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