夜風
白銀色の月光り
かじかむ指先の、爪に落ちて、ちいさく照らし返す

甘い潮の香

はなうら 花占 花占ら
月明りの浜辺に咲き
揺れている花々を
一本一本摘んでは花びら千切り
時を湛える浦いっぱい
うずもれるほど
白の花びら揺蕩っている
白鳥の羽に違えるほどの 飛び立ちそ�
果てしない空にいる
姿なきしゃにむに
あるときは
つまづいて転がっていく石ころ
あるときは
風が止まったやにわに交わすキス
ときどき現れては
影だけを残して
もとからいなかったように消えてしまう

(憐れむものなどもう残っていなかった)

ぬるく光る夕陽の
やわらかな残�
久しぶりに電話してみる
着信音が十回で、切る
内心ホッとする
まもなく向こうからかかってくる
少し慌てる
「なに?どうかした?」
声を聴いて安堵する
「いやどうもしないけど。今話せるの?」
「うーん、今ちょっと時間ない・・あ、生存確認?」
「うん」
「あ、生きてる」
「うん
万年筆の血液が乾いてしまったようだ
無理もない
数年うっかりと放っておいたのだから
いちにち、はとても長いくせに
すうねん、は
あっという間に感じるのはなぜだろう
風、が通り過ぎていく
透明な流動体が何も記さず
ただ通過してゆくだけなのに
なぜかその風を知っている気がして�
朝の電車は遠い日の裏切りのように
精密な構造を巨大な直流にひるがえして
ホームに差し込む朝陽とういういしく調和する
連動する踏切にはわずかな狂いが入り込み
電車の減速もときおり不規則であるが
その狂いや不規則さえも厳密に算出されたかのような
やさしい完璧さが朝を包み込
奥深く海底の熱水床
わたしが今呼吸をしている処
群がる白い蟹は
わたしであるための遺伝子を
鋏で千切りまた繋げる

染色体を失った肉体だが透明ではない
保護色を身に着けたわけでもない
しかしわたしを見つけるのがどれ程困難な事か
わたしは長く知らなかったが
わたしは
わた�
ある日一つの愚かさが生まれて、
流言蜚語のようにばらばらと伝染していきました、
でも人生は無窮の海よりも美しくて、
人生を形容することが許されているのは「美しい」の一語のみです、
人生は形容の分割力にどこまでも抵抗するので、
分割することなく肯定する「美しい」の一語の�
なんの魂胆かしらないけれど 鬼って悪い奴じゃなかったよ
たましいにも ふたつある魂と魄って書くんだって
どうやら 魂は精神を支えていて、魄は肉体を支えているらしいよ
どちらにも 鬼がいるよね 鬼は悪い奴じゃあないかな

このあいだ鬼から電話があった
節分にお邪魔して�
国家試験合格を目指す人たちの中で
唯一学問を目指していた
法学研究科に所属しながら
自分は哲学専攻だと思い続けた
周りから優秀さを嘱望されながら
結局試験には受からなかった
友人が次々と弁護士となっていく中
官僚しか選べなかった
専門職大学院なのに
ジェネラリストを目指�
私は誰もが知っていることを知らない。
私は誰もが知らないことを知っている。
誰にもみえるものが
私には見えない。
誰にもみえないものが
私には見える。
あなたは今、
笑いながら泣いている。
その涙が、
つめたくあたたかい。



背中には、
いつも何かが書いてある�
手垢にまみれたコトバたちを 洗濯機に放り投げて洗い流す
駅前で叫んでいた主義主張たちを アイスノンにして頭で溶かす
空っぽの冷蔵庫から 私が居そうな卵を見受けて目玉焼きにする
フライパンから世界を覗き見すると また油にまみれ濁りが取れない
自分のかいた汗と涙の責任を�
仕事上のトラブルで疲弊した私は、医者の診断書をもらって長めの休暇をとった。しがらみの藪の中で沢山の蔓を引きちぎって、ようやく手にした明るい広場のような休暇だった。この明るい広場には何から何までそろっていた。普段の私の視界など筒状の非常に狭いもので、社会とかいうつく 人が優しくあるためには
厳しさや残酷さに基づかねばならない
人が優しくあり続けるためには
きわめて残酷な決意が必要だから

僕は毎朝へヴィメタを聴いては
厳しい絶叫により優しさを駆動し
毎夕パンクを聴いては
暴力的なリズムにより優しさを着地させる

すべて穏やかな海の�
彼は夜が明けるころ家を出る
毎日船に乗り 魚を捕る
魚の気持ちなどつゆ知らず
網にかかった魚は決して逃れることができない

彼は今日もへとへとにくたびれた体と
たくさんの死んだ魚を持って家路へつく
泣くのは赤子の仕事です

誰が想像できましょう

それだけで すわ うるさいと

殺されたなんていうことが

隣人の奏でるピアノの音に

苛立ちを感じたら

何かのサインだと思ったほうがいい

にぎやかに ほら にぎやかに

鳥すら歌う 鳴く 踊る

それで朝の4時に目が覚めたか
という訳で、と 切り出してもて わかる方は解るくらいに 回数を重ねてきた
るるりらのお祭りのお知らせです。

わたしたち 現代詩フォーラムのすべての参加者は、詩を介して より幸せになりたいと思っている仲間です。
しかし 人様からなんの反応もなくて内心では残念に感じて�
神様は意図的。
巡り合わせを信じる貴方の方が意図的。
またしてもカウンターの前に表れた、感じがいいから 、だとか、 好みだな、 だとか…
一瞬の煌めき
…ああ この人はひょっとしてこんなことを考えていて、こんな趣味があって、実は日々の生活に不満を抱えてて、私とだったらこん
河原に掛かった赤い橋の上から
親子がパンを投げる
それに無数の鯉が群がる
複数の紺色の鯉
そこに黄色や赤、
そして、白地に赤の斑点
特別な物には目が惹かれるもの
パンは数少ない鯉の近くに落とされ
それを皆が一斉に狙う

ある一匹の紺色の鯉が
その集団から離れ
川の底流にただ�
夕方の地下鉄
小学生を連れた母親
吊り革にぶら下がろうとする悪がき
それを止める自称かぁさん

ボリュームのつまみの無い小悪魔どもは
あっちへ行ったりこっちへ行ったり
結局、母親もスマホに夢中で
ときどき子供に注意する振りをする。

何も変わらない子供たちの口癖は

どこで�
そんな気持ちになったので
センベロしてみた
千円でベロベロになるほど飲ませてくれる店が下町にあるらしい

「たきおかとカドクラ、ハシゴするけど来る?」
とツレに聞いたら
空腹を我慢できないツレが来るという

小銭千円出して

わたしが仕切る

「好きなものなんでも頼んで�
上司といういきものは
おそらく有袋類らしく
どこか体の内側に
たくさんものを隠せるようだ
頭の先から爪先までの
ながいながい煙草とか
ちょっと一本、と出掛けていって
ずっと帰ってこないような 、 ね
ぼくは緑色だと誰かがいう
植物ではない

ぼくはぼくで
琥珀色だと自信をもっていたのだけれど
誰かが緑色だという

琥珀色で在るために
琥珀の酒を毎日注入しているのだけれど
誰かが緑色だという

熟成したいという願望は
儚く消えた

みどり
それもいい

森の中にとけて
静かな�
この街は錆びていた
無音の煙りと
もろみの匂い
誰もいない

2両編成の電車の音だけが人の予感
バンドネオンが
かすかに響く
黄昏の街

彷徨った果てに
たどり着いた
そこは静かな街だった

オルゴールという店に入ったのは午前零時を過ぎていた
誰も居ないカウンターの中には
機械仕掛けのママの一言
真鍮の潜水具だけが寂しさを磨いている

ただ酔うのを待つばか ....
何年も前の事だけど
「紀伊国屋なう」というメールを
貴方がくれた
その時は
電車に6時間も揺られなければ
紀伊国屋のあるその街へ行けない土地に
住んでいたから
「今その町に私がいれば、
紀伊国屋にすぐ行ってみるのに・・」
と、返信した
そしたらあなたからまたメールがきて
「ごめん、紀伊国屋に行こうと思ったんだけど
実はジュンク堂に来ています。」

紀伊国屋でもジュンク堂 ....
 
 
駅のホームで
卵が列車を待っている
やがて快速が到着すると
卵は意を決したかのように
勢いよく転がり
身投げをした
このことは明日の朝刊に
ダイヤの遅延情報とともに
小さく掲載されることだろう

それなのに
毎日キッチンで
卵焼きのために割られてる
無数の卵については
誰も話題にすることはない

まったく嫌な世の中になったものだ

そう歌いながら
 ....
アメリカにはバニラスカイって空があるらしい。
姪と散歩していたら遭遇した。
「あんなにおいしそうな空(絶句)」
というのでスターバックスでバニラクリームフラペチーノを食べた。

家に帰って妻に話すと
「どうしてそんな変なことしたのよ。」と言う。
「ときどき空を見上げる人になって欲しいから。」
「変な人。」

入道雲はソフトクリーム。
夕焼け空はオレンジジュース。
姪はすっか ....
{引用=びっくりしました
先生が私のアパートのバスタブの底に沈んでいるのを見た時は
ついにやらかしてしまったと思った
内臓が一度にズンと下降する感覚
愛用のキャメルのジャケットを着たままの抜け殻のようなあなたの骸を
バスタブから引き上げるとその軽さに衝撃を受けながら
ま�
私は詩を書いているのではありません。あなたが読むまで詩ではないのです。風が吹いた。花が揺れた。
そんなことは詩ではないのです。あなたが読んだものだけが詩なのです。詩は日常にありません。日常に詩があるのです。地球より先に生まれた詩があるのです。永遠に誰も詩は書けないのです。詩人など存在しません。詩人ではない人も存在しません。詩だけがあるのです。あなたの詩など存在しません。詩があなたを書いたのです。 ....
神社のない
町に生まれた
墓もない
新しい町に育って
隣り町の友達は
高層マンションから
空き地だらけの町を眺めた
僕らは
歴史のない町に育った
僕らの故郷には
神社がない
僕らの故郷には
墓もない
ご先祖様のいない町
僕らはどこに眠ろうか
故郷に帰っても
いまは空き地もないけれど
僕らの故郷に
墓はない
誰も眠らない町に
僕らは育った
いつか
疲れて横 ....
黒ブチの
仔猫の彼女がいなくなって一週間

去勢手術を受けるために入院をし
退院した翌日に
ベランダの3階から飛び降りて以来
姿を消した仔猫

キッチンのコンロのある
隅っこがとても大好きで
そこでよく大きな
伸びをしていたが

3階から下はコンクリートで
まだ幼い彼女の足には 
たぶん
とても負担だったろう

きっと辛い骨折でもしているか
今もどこか ....
乾 加津也さんがポイントを入れずにコメントしたリスト(476)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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