朝起きたら、外に出よう

白い息を吐きながら

此畜生と吐きながら



 
  くろい猿が
  しろい脱臼をする
  夜
  きみの寝室で
  アメーバが鳴いている
メリークリスマスって

十回言って














メリークリスマス




メリークリスマス











メリークリスマス











メリークリスマス







 ....
  ねえ、見て
  直方体が焼けているわ



  彼女は楽しそうにそう言い
  赤々と輝くオフィス・ビルを
  親指と小指に挟み
  水槽に
  落とす



  ぼじゅん、
  と落ちてきたそれに
  数匹のグッピーが驚いて身を避ける
  黒く焦げながらオフィス・ビルは
  敷き詰められた小石のうえに
  コツリと着地する



  彼女はそ ....
みつまたをかけていたりするけど
ごはんをたべるときは
がっしょうするから
いいこだし
きよらか

てんし
またきたか 雪
せいぜい覚悟して降れ
消されるくせに

やっと生き残った枝をへし折り
修理した屋根を壊し

道をうめて無くし
叫び声さえ凍らせるなら

覚悟して私に降れ
美しい冬

溶け、ろ
文庫に救われて











どうにか今も生きている












河童
変身
世界の終わりとハードボイルドワンダーランド































新譜に助けられて






 ....
小学生の頃
校舎と体育館の建物の間に
ピロティと呼ばれる場所があった

そこは特に何かをする場所ではなく
コンクリートの打ちっぱなしの壁があるだけで
ボール当てやドッチボールをするには
狭すぎて誰も使いようがなく
高学年になり
三角蹴りをして天井に手をついて
喜ぶぐらいしか用のない場所だった

ただ校舎から体育館をつなぐ渡り廊下を渡る際
必ずその空間が視線に入るので
何 ....

薔薇の棘に
誘われて秘密のところへ
行くのだ

死は疎ましいが
痛みはとくとくと滲む
何故だろう、胸もとどろく

恋も仕組みも知らない
しかし脳は準備していた
麻薬と混同と効果を

誘われ惹かれる痛みの中

しかし知ることになる日がくる
違う、痛いんじゃない

甘い椿の蜜

脳内のお隣りに
暴力のゾーンがある


初恋は全人的な陶酔にして
真 ....
特に展望は無いが














死ぬ際は二〜三週間前に前もって『末期癌です』とか何とか教えてくれると







 ....

性細胞が減数分裂するとき
一対の染色体はランダムに遺伝子を混ぜる
個人を規定していた遺伝子の組み合わせが
千差万別となる

劣性遺伝が突然発現するチャンスだ
隔世遺伝と呼ばれたりして


血縁を眺めてみると
遺伝子発現状況は面白い


長く会わなかったYの叔母の名言
「お母さんによう似とるなあ、(もう一度じろじろ見て)
お父さんにもよう似とるなあ」
と真面目顔 ....
朗らかだろう
安らかだろう
健やかだろう
なあ、

陽気で
呑気で
幼気で

穏和で
親身で
温厚だろう

それでいて、コイツ
まだ生きてやがるんだぜ

期待という期待を裏切り
希望という希望を棒に振り
自業自得で失ったものの片鱗で
ちまちま手首切っときながら
尚もこっそり、ちゃっかりと

まだ成りたいって思ってんだ
まだ成りたがってやがるんだ
人様 ....
停滞した健康的な単一の団地の典礼は薄弱な電子の季節に破れた通学路の出入口の散光の挙動不審者の個展みたいな暴動を細部まで追悼する。青いガリガリ君は全速力で電球に溶け明日伊藤誠を殺傷する計画を夢想する少年の口腔の言語の孵化を粉砕する。曖昧に受信した現代思想の生理(液体)を吹出物の充血に総括された低脳な姉の胃袋に詰め込むように柔らかい玄関の湾曲の痕跡を舐め上げる黒熊に似たトイプードルの首輪を現場の役者の 空いっぱいの夕やけを見たいとHが言う


 寒くない?
 うーん、だいじょうぶ。
 今日はあったかいし絶好の夕やけ日和よ。
 どこがいい?
 うーん、
 海がすぐちかくにあって、川の流れてるとこかなぁ。

今日のHは気むずかしいかもしれない
そんな気がした


汐が満ちてきたのだろうか
屋根のひくい水上バスが通るたびに、河川敷のひろい
遊歩道に群れた冬日が波にさらわ ....
あさのたいように
あかく
よみとかれる
せんせいのかみは
はちうえにかくれても
はげしくもえて
とどこおるものがない
きょうしつは
かすんでいる
けむりにつつまれて
ここにいるものは
すべて
せんせいにかさなる
やかれるように
むせきにんなせんせい
だから
きょうしつのかげへ
ますますすすんで
わたしは
ここにいる
ぜんいんいますか
せんせいはとい
かん ....
嫌なものはイヤ!
そんな思いと折り合う

でも、おとなの分別とかじゃない
ひとが生きるって
爪先から血が滲むほど世間ってやつにしがみついて

それで何とかまっとうできる

違うかな




だからって、いきがるわけじゃないけど




正直だけじゃ生きてはいけない
なので

ひとごとみたいに自分を生きる

なんか虚しくて
わたしだっていっぱしの ....

Yの充たされた世界の中に
「赤ちゃん」というものが登場した
期待するように長くトレーニングされていた
?印のものを待つ日々

ぷるぷるの柔らかな
泣いたり笑ったりするオトート
その子が動くたびに喋るたびに
Yは失望した

誰もYを見ていなかった
みんなが、特にYの父親がYへの笑みを忘れて
オトートに夢中になった
Yを中心とした輪は消えた
別の輪からYははずれ、立ち ....
すべてが新品である
お互いの存在が目新しい
人の世の独立した若い単位として


姑が時には訪ねて来る
そこではもう、息子だった子はいないのだが
姑は新婚の部屋のなにかについて
なんらかの彼女の意見を言う

新妻にはその意見はいずれにしろ無用な批判だ


たいていは出産、という運びになり
喜びであり試練である子が授かる
姑が孫に夢中になる、なりふり構わずご機嫌をとり ....
 私の中には時折他人が入ってくる。私が食器を洗っていたとき、気がついたら私は田淵さんだった。田淵さんは私の部屋に勝手に入ってしまったことを申し訳なく思い、靴をはいて部屋の外に出たが、そのとき田淵さんは私だった。私は再び部屋に入り食器洗いを続けた。
 私がスーパーで買い物をしていたとき、私の体温は佐藤さんの体温と厳密に一致していた。佐藤さんは女性で私は男性だが、そのとき私には乳房があった。佐藤さん ....
ダンジョンから出られない










ぶっ壊しては再生し



再生してはぶっ壊して










ダンジョンで力くらべをする








安穏とした









生活を送れば良いのに










 ....
やまからなだらかに
流れてくる人
の背中に花
生活は彼岸に
咲く花火の様
指先に止まる
夜の羽虫の
夫、

娘は
三度目の
深呼吸の内に、
静かに眠る
八月の森のいちれつは
空や雲や水平線がつらなって
やがて終わりの景色のなか
白い波の輪郭にしずんでいった。
泡と光をとじこめて
ヤギの背中のようにあたたかく
そして
引き返せないところまで
あたしを連れてゆく。

似たような夢を何度もみる。
だけどあたしは
だれかを思い出して泣いたりはしない。
アマリリスの茎のように
ひっそりと冷たくしていたい。
なにひと ....
チョコレートの包み紙をねじって
あめ状にする

カスタードがくえないのと
合コンにいくのと
どっちをえらぶのかと
どちらもえらべない

後輩が
 で派遣される夢を見る
沈下するための水に溢れる花の中で、咲かなかった。ここは高山病の薄い香りがする高い山の頂で体を広げる。手に掛かるものはすべて冷たいまま通り過ぎ去ってくれる。温かくならないからこの場所にいられる。足先が水盤の上で凍えないために花を植える。温室の中では相変らず季節が吹き荒れている。その中心で、静まり返った父の椅子がある。そこは空白。何度目かの春に、母が座ろうとして多くのものを失った場所。姉のスカート、弟 迷路をつたう
右手を失って
西とも東ともつかない大地に叫んでいた
{ルビ空=から}の籾殻のような稚拙を
拾いあげた掌がみえる
その指先は
十の母だ
やわらかいわたしをつついて
わたしは汚泥を吐き続けて
時に
トンネルの多い鉄道で
緑の匂いと 確実な卑小さを知り
周到に南下して
入り口を隠蔽した
いつでも
わたしたちは点滅していたというのに

濡れた砂浜に寝そべって ....
表と裏から
挟み込んで サンドイッチ
そんなゲームが 有ったような

手つなぎ鬼は
一人じゃあ 出来ないの

缶蹴りの 準備くらいなら
あの 自動販売機の前で

カランと音させてから
グイッと 飲み干したなら
可能なんだけど ね

カラン コロンの音
響かせたこと 有ったかな

夏は 浴衣
ゲタより 雪駄

あの お祭りで 使ったからね

水かき部分が  ....
 春の朝 世界がすべて色あせた
 立ちすくむ 自分の夢を忘れはて
 病名は 自律神経失調症
 現れた 分厚い壁に 阻まれて
 気違いと 蔑む親から逃げ出した
 
 立ち並ぶ 段ボールの街の中
 新宿で 温かい手に拾われて
 ひさびさの ぬるいミルクに舌つづみ
 飼い主の 万年床にもぐり込み
 ぬくもりで 氷のとげが解け始め
 
 飼い主の 居ぬ間にたまご一つ割る
 塩ふっ ....
郵便配達夫は飛ぶように歩いてきた
黒く醜い顔と
脚絆もはち切れそうな太い足で

その外見に似ずに
赤子のような掌で
おずおずと差し出したのは
石クレは
失った何か大事なもの?

遅れに遅れた
御届け物です

繰り返された住所変更
古い名前だけを頼りに
決して手に入れられない
あなただけの宝物
でも確かにお届けしました
もうお宝では無いもの
焼け焦げたダイヤです ....
いきみつつ
尻をちょっと浮かしかげんで
腰をゆっくり回しながら
のの字を書いてみる
ゆっくり
うんと、ゆっくり
切れないように、慎重に
慎重に、慎重に
「こうして、こうして、こう書くの」
ソレッ!
「こうして、こうして、こう書くの」
ソレッ!
「こうして、こうして、こう書くの」
ソレッ!
「こうして、こうして、こう書くの」

ブチッ・・・・・
「あああっ」
(し ....
みとめよう 夏は終わってしまったし あなたをぜんぜん愛してなかった

溶けているアイスクリームの傍らで 吹けばとぶような恋をしていた

場所なんてかまわなかった 季節なんて名前なんてかまわなかった
乾 加津也さんがポイントを入れずにコメントしたリスト(476)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
此畜生殿上 童自由詩26+*12-1-4
脱臼草野春心自由詩5+*12-1-4
TAT自由詩0+*11-12-24
火事草野春心自由詩5+*11-12-24
タラコネンシス6自由詩1+11-12-20
熱の陣砂木自由詩12+*11-12-20
文庫に救われてTAT自由詩1+*11-12-19
ピロティ灰泥軽茶自由詩6+*11-12-18
脳内の場所木原東子自由詩14+*11-12-16
デザートイーグルの銃身のイーグルTAT自由詩1+*11-12-14
遺伝子解読木原東子自由詩10+*11-12-12
ダーティーボムfaik自由詩14+*11-12-8
子、誤認する推進の実技反現代死自由詩4+*11-12-7
午後の詩集たま自由詩31+*11-12-6
えりくさ ...自由詩2+11-12-5
師走のひと恋月 ぴ ...自由詩26+11-12-5
はじかれたけれども木原東子自由詩5+*11-11-29
ハッピーエンドののちのひとつ木原東子自由詩7+*11-11-26
他人葉leaf自由詩6+*11-11-26
ダンジョン・ブルースTAT自由詩1+*11-11-23
習作ballad自由詩1+11-11-11
コーラルLily Philia自由詩7+11-11-9
関東労務省6自由詩0+11-11-6
花、バラード、ballad自由詩0+11-10-29
言射し伊月りさ自由詩4+11-10-29
孤独なサンドイッチ藤鈴呼自由詩7+*11-10-17
捨て猫あやとり自由詩1+11-9-26
海の怪物コロンブレまんぼう ...自由詩1+*11-9-23
とぐろを巻く花形新次自由詩1+*11-9-16
かまわなかったけどはるな短歌6+11-9-15

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