宝籤はもうずいぶんりっぱな犬になった。しっぽのわずかな先と、胸もとと、それから腿のうしろにも毛羽立つような白い毛が生える、黒い犬だ。しっぽは太くてたっぷりしていて、よく動く。
雨のあがったきょう ....
世界は
そうではないもの で
埋めつくされて

わたしは 青緑を食んでいた
ひとびとがそれぞれに
大切なものを忘れゆくように
あなたがほんとうに
あなたなら
IDを脱いで
そよそよするビルを三角にして
意味とかを味にして
眠い椅子たちをこうばしく並べて
もしあなたがほんとうにあなたなら
これ以上ないくら ....
猫っぽいものが
あなたっぽい暗がりへすり寄って
休日っぽい一日になった

下腹あたりに
あなたっぽくて
わたしっぽいものを抱えながら
とりあえずいまは
手足がとても熱い
鎧に水をためる
緊張して
わたしは
裸足で
後ろ指を
さされても
いいよ、どうぞ
裸で
こわいよ
でも
わたしは
鎧に水をためる
どれほどうら返しても
あなたはみつからない
すみずみまでひらいても

どうしてかいつもこんなふうに
ひとりでみることになる
足もきれいにしてきたのに
道路はいつも
ほかのだれかを運 ....
増えも減りもしなかった
空白の
2時

ふるえるほどかわいて
奪いあったね
月、街灯、コンビニエンスストア
あんなに青くなって

もうだれのことも愛さなくていいなら
どんな ....
絵具なら白
鉛筆なら2B
くつ下は紺
クロゼットの右側の
黒い服ばかり選んで
同じような詩ばかり書いている
実在か
あるいは不在についての
あなたのような
わたしについての
同 ....
こんなにみじめなのに
雨もふるのね
蔦は先端から枯れはじめ

あんなにしたのに
あなたは笑うでしょうね
あらゆる肯定をもって
嘘は嘘でなければ意味がないのに

雨はふるのね
蔦 ....
三本足の猫は
とてもはやく走るので
だれにも見られたことがない

知らないふりをしないで
外ばかりみないで
わたしがわたしになるまえに
鉢植えは育ってしまうし

なにかのふりをし ....
はじまりのない迷路に居て終わらせる術はいくつも持って立ってる

これいじょう失えるなら幸いだ まぶたにこぼれる星さえも今

きりもなく、おそろしいのは 何ひとつおそろしいとは思えないこと
 ....
ふたりしてつくっていたのは絵ではなくかたちでもなく額縁だった 鈍痛をめくりあげると赤蜻蛉 あしたはどこか遠くへ行こう 食べ終えたからだには
波のあと
後ろ手に作曲したふたりは朝を拒んで

花は咲かない 実もならない
良い香りがするわけでもない
冬がくれば死んでしまう草みたいに
あるかなしかの根をから ....
あんまりにびしょびしょで
かまわないまま
それがなにかも気にせずに
奪いあったものだから
愛みたいにおもってしまう
ただのセックスを
それ以外のかたちにくり抜こうとしたから
からだは ....
扉の音がしたけれど
どちら側に開いたのかわからない

あったのかなかったのかわからない
いくつもの好意
あってもなくてもかわらないような
くりかえす行為、

いつまでも振り向けない ....
出ていかなければならない
と知っている
部屋は
あなたとあなたでないものでできている
このまま朝は終わらずに
言葉もひとつも終わらずに
開かれなかった小説
届けられなかった手紙
呼ばれ ....
なにはともあれドーナッツ、
食べると穴のなくなるところ、
恋をするみたいに
かなしかったよ
きょうもこんなに曇った空で
なにはともあれ
ドーナッツ
ゆうがた
べったりした体をオーブンにいれる

もうすこしでわたしになれる、というところで
あなたがわたしを齧りとるから
わたしはいつも、
そういうかたちで次の朝を生きるのだ
そしてそれが来て、
わたしたちの手は離れる

(あかるいもの
 くらいもの
 つめたいもの
 あついもの
 動いているもの、
 動いていないもの)

あなたの耳たぶに
甘い水 ....
まったくかまわないよ
世界が
思ったのと違ってても

新聞をめくると
新聞のにおいがする
あなたをめくると
あなたのあじがわかる

あなたがもし
いなかったら
かまうけど
かげろうみたいに
日々は
嘘になるから
それなら
特別うすく
上等のにしよう
むこうがわが透けてみえるような
いつでもそれが
透けてみえるような
自然なことでした

同じ重さ
同じ気配で

あなたの不在は
まるで実在のように
安堵と失望をつれて

自然なこと、何もかも
出会うまえと
出会ったあとがあるだけで

あな ....
愛は長い嘘よ、と
つぶやくそばで光が鳴り
きみの髪を一本ずつ太陽が染めていく

壁の穴には吸殻が押し込められ
干上がったダムに不発弾
鳥がまっすぐ秋を飛ぶ
子どもたちが歌うメロディを ....
これは
階段とはちがう

生きることは
死ぬこととにていても

あなたと生きることは
あなたと死ぬことじゃない

いつまでも嘘をついていて
思い出を忘れるような
悲しい解放を ....
ちかちか鳴る信号を無視して走っていた
向こう岸で恋人たちがまっている
わたしの心臓を四等分するために

海は干上がって
愛ばかりがのこった
だからこんなに走っても
満たされること ....
もうすっかり書くべきこともなくなって、秋です。日向には夏の死骸みたいな光、日陰にははらはらした予感。眠たい身体を持ち上げると、それでもまだ風が通ります。
やっぱりわたしには時間というものがよくわ ....
大事にしていた鎖が切れた
猫が転んだ
列車が衝突した
雨はまだ降らない

東京が歓声をあげる
世界が悲鳴をおしころす

僕はなんとなく笑う
君が呟く

( )

唇 ....
秋のはじまりに
かなしいのかうれしいのか
ほっとしているのかわからずに
虫の音のまじる夜をあるきながら
みていたのは
夢でなくて
たぶんあなたでした
あなたの、
きゅんとする性器に手を添えて
わたしの角度をはかります

嵐の方向にどす黒い夕暮れははじまって
なぞる、すべるように終わりゆく行為も
いつの間にかそういうはげしさを終えて
 ....
はるな(1722)
タイトル カテゴリ Point 日付
10散文(批評 ...313/10/21 11:16
青緑自由詩413/10/18 23:39
ID自由詩813/10/13 23:41
休日自由詩413/10/12 14:51
鎧に水をためる自由詩413/10/8 0:29
自由詩313/10/8 0:24
2時自由詩213/10/8 0:18
熊(仮)自由詩613/10/5 0:31
自由詩613/10/4 14:38
三本足の猫自由詩413/10/2 0:49
きりもなく[group]短歌113/10/2 0:44
額縁[group]短歌313/10/2 0:31
とんぼ[group]短歌013/10/2 0:26
波のあと自由詩413/9/29 23:42
自由詩513/9/29 0:44
自由詩213/9/29 0:33
水をかためる自由詩1013/9/26 21:14
ドーナツその3自由詩313/9/26 19:10
チーズ・オーブン自由詩413/9/26 19:07
何もかものかわりに自由詩313/9/25 20:52
かまう自由詩1213/9/21 23:23
かげろうみたいに自由詩213/9/21 23:19
気配自由詩113/9/20 23:23
金色自由詩6*13/9/18 13:40
階段2自由詩413/9/17 22:04
反射自由詩513/9/16 23:27
眠たいからだ散文(批評 ...213/9/14 8:40
もうだめ自由詩313/9/11 9:38
三角自由詩413/9/6 0:12
あらし自由詩413/9/5 18:17

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