ほんとうにこの夜は
つるつる光って石のようだ
そうしてあなたの目はそれより真に暗い

ほんとうにこの夜は光って
日々のゆく先をかけがえなく照らすだろうけど
そのたびにまたその目を思 ....
きれいきれい
爪も髪も肌も
靴も上等 生地も最高
そんなまるまるちゃんを裏がえしたら
たぶん手に入れやすいブランドのタグついてる
すずめたちがやって来て
シーツに吹きだまる夜を食べていく
身体があんまりかるいのに
心ばかり重たくてやりようがない

びしょびしょにつかれるまで身体をつかいあって
腕もあがらないで笑っ ....
きのうのよる
上手いことたたまれて
押入れの奥へしまわれたのが
本心です
だれの
とは
言うまい

それで
足首には
いまどんな紐が巻かれてるんだい?
洋館のカーテンは
お ....
咲き誇るということばにふさわしく、早すぎる夏日を仰いで薔薇が咲いている。
あちらにもこちらにもまっ赤だとかまっ白の花びらをひらいて、でもわたしの好きなのは白から甘いオレンジ色へ溶けていくような色 ....
めくらねこ、おいで
なにかの冗談みたいだね
今日が昨日のつぎの日だなんて
じゅうたんのしみを舐めている
めくらねこ、かわいいね
おまえたちが死ぬところを
きっと見ていてやるからな
そ ....
波がたち
風がたおれる
うつくしい季節
わたしは
いない

ざあざあもえる緑
ここちよく冷えた夜
青じろい街灯の影
わたしはいない

不安
安寧
焦燥
安堵

わたしは ....
わたしたちは
結ばれた みじかい紐のように
そこに置かれていた

女たちが 色々な名前をよびながら
入ってきて
そして 出ていった

わたしたちはほんとうに望んでいた
だれかが、 ....
詩人がみんな
ことばが消え去るのをまっている
画家が黒と白の絵の具を混ぜつづけるように
教師たちは生徒を置いて家へ帰る
神父さまは折れた十字架でシャーベットをすくう
詩人はみんな
こと ....
街かどの女たちに
欲しがるだけ黒を与える
得るごとに欲深くなるさまは
日没のようにうつくしかった

さてわたしは
いよいよ壊し始めたこの柵の残骸を
きょうは焼場へ持っていき
そうし ....
ぬかるみのあかるみにふと気をとられ 忘れたことを忘れて傾ぐ

筆先に闇がぼそぼそ溜まっている 想いもないままはしるからだと
たのしかったことを
思いだして
はずかしくひかっている
夜になるともう少しつよくひかるから
待っていてほしい

待っていてほしい
それを
なんと言うのかわからないでいる
結んだらもう
ひらけない
清廉でも潔白でもない身を
はずかしく引きずっている

少い言葉をならべかえてあそんでいる
でも角がとれて
すこし
それは
きれいだった
夜になったら娘はわたしの手をひいて、底へつれていきます。わたしたちはくたくたの毛布をひいて横になり、しばらく転がって遊びます。
彼女のちいさくて厚ぼったい手のひらがじょじょにあつくなっていき、そ ....
星はながいことひかって
ねむるように消えた
わたしたちは棺桶工場のすみにすわって
それをながめていた
とてもとおくながいところを
物語がながれていくのや
歌うたいたちがはじく音符がこぼ ....
ぬかるみは
青空をすいこんで
ますます深くなっていく
なにもかも捨てたと思っていたのに
肌じゅうに あこがれやさびしさが結ばれて
じゃらじゃらがしがし鳴っている

いつかもこんなふう ....
ついさっき猫は
まんぼうと腕を組んでそこを曲がっていったよ

わたしはそれまで
とても孤独だったのだ
ひとりで はだしで ふるえて
ひたひたと沈みゆく一日を感じながら
なすすべもなく ....
うす甘い空気ばかりをあつめて
思い出のような恋をしている
ないものがあるかのように
あるものをないもののように
かき抱いた空気はおだやかにつめたく
わたしの根に雨はふらない
なぜうつむくの
笑いながら
一日ぶんのいとしさは胸へ仕舞われて
綴じるばかりで待っている

幸福のさなかで
なぜうつむくの
言葉にしなければわからないのに
言葉にしたら終わってしま ....
ライオンがほえている
わたしは古いつめを捨てて
たてがみをなでてやる

わたしたちはもう
遠くへは行かれないのだ
望んではいないから

いつだったか
夜のふりをした朝が
あなた ....
ぶあついガラスを歪ませる
そういう情熱があったなら
猫だって わんと鳴かせられるかしら
おもしろがって手を打って
ふらふらついてくる身体たち
やさしくしたからって
尊いわけじゃないのよ ....
目をとじて 耳をとじて 胸をとじて
そうして春は 過ぎていきます
わたしはいまも 冷えた足首に紐をして
ひらいていく花をうらめしく見つめながら
それでも忘れ続けることをやめないで
ちりち ....
てんてんと影のあいだを
ちるひかりたち
わたしの視線はいまちょうど
角の眼鏡屋を抜けて
温泉街のまっすぐを下りてくる
あたたかく笑っている
あなたがいるのがわかるけれど
この足をどう ....
あんまりとやかく言わないでください
わたしはこの女というもののなかで
ぼこぼこと時間がたって行くのが恐ろしいのです
いつまでしても不自由で
片目を貝で塞いだように暗い
砂糖菓子の脆い沈黙 ....
しみる みてみる してみる 夜
よくなる みえる しめる のる
しなる なくなる ゆるめる 夜
みるみる みえなくなった よる
かたむいてみていた月のかたえくぼ きっとだれかがキスしたのね と
左手をすりむいたなら右側も おなじでないと真っ直ぐたてない
こぼれゆく砂時計の砂かなしくて寝かせてみれば どこへも行けず

 ....
あなたはまだ波をしらない
もみじをふくらましたような幸福な手のひら
でもそのうちにわかるようになる
あなたのなかにも潮があって
みちたりひいたり するのを
そうしてそれが
あなたのから ....
こまかくなったからだに紐をつけてつめたい夜へ引きずります
もうすこし(もうすこし)ときこえる 声も引きずって
耳だったところ、爪だったところ、肝臓だったところ
ところどころにみえている
肌 ....
夜明け
繰り返される 割れ を
完璧なものにするために
うしろむきにとぶ

じゃあじゃあ流れつづける時間
それ わたしのだよ
ひねる うねる たおれる
それ

音よりさきに
 ....
わるいことをして逃げているので見つかりしだい冷たいようなところへぶちこまれるけど好きなひとがいるので気にしない
似たような境遇を描いた絵や歌や小説がたくさんあるので迷うことはないし自由だ。わたし ....
はるな(1722)
タイトル カテゴリ Point 日付
この夜自由詩115/6/9 22:40
ブランド自由詩315/5/31 20:42
すずめ自由詩415/5/29 18:38
いまどんな紐が巻かれてるんだい自由詩415/5/27 21:34
ばらのこと2[group]散文(批評 ...115/5/27 21:15
めくらねこ自由詩415/5/24 17:25
いないわたし自由詩615/5/23 23:37
屑篭自由詩615/5/23 12:42
天体学者自由詩515/5/21 23:26
日没自由詩415/5/19 20:56
あかるみ[group]短歌215/5/14 1:26
待っていてほしい自由詩515/5/13 16:33
自由詩415/5/13 16:31
寝るまえのこと[group]散文(批評 ...315/5/13 0:50
棺桶工場自由詩615/5/8 23:14
青空自由詩215/5/2 8:19
ついさっき猫自由詩515/4/7 16:44
空気自由詩315/4/7 16:25
抱擁のてまえ自由詩515/3/28 22:50
ライオン自由詩515/3/27 23:24
いれもの自由詩315/3/26 22:40
そうして春は自由詩115/3/26 22:35
自由詩315/3/23 4:24
あわ立つ自由詩415/3/23 3:49
しみる自由詩315/3/17 23:33
かたえくぼ[group]短歌315/3/17 18:34
自由詩515/3/12 19:49
つめたい夜へ自由詩415/3/10 21:52
割れ自由詩615/2/23 23:05
わるいこと自由詩415/2/23 16:34

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