あまいとおもっていた
あなたの言葉は
いまでもわたしの喉をふさいでいる
目の内側から金色がおしよせて
まもなく手も足もうごかなくなる
岩のうえには君の体温がまだ残っていた
僕はそれをハンカチに包んで持ち帰った
ポケットのなかでだんだんとつめたくなっていくそれを
おそろしくてそのまま忘れてしまった

洗濯屋が(彼はいつも ....
愛していると言うたび
黒ずんでいく道を歩く
盗んだ砂糖でパンを作った
明日は砂場を埋めにいく

今日はいちにちくもり空だった
生ぬるい空のしたにねそべれば
生きていることを忘れられる ....
やさしいくまは
なんにも食べずに
やせている
かつてつややかだった毛並みは
ぼうぼうにとがって
やさしいくまは
そのうちひとかたまりの茶色になって

ちょうどきのうの晩ふきあれた強 ....
ため池は空をうつすが
空はため池をうつさない

涙と呼ぶには
あまりにもふかい緑色のなかを
どこまでもどこまでも進んでいく
夜、よるが終って朝がくる
来た、朝がきて、光は

体のかたちに心を整えるが
ほんとうは心のかたちにからだを沿わせたい
紺色のクローゼットとか壁の白とかも、
でも本当にしたってそんな ....
あんまりはげしく抱きあったので
朝には顔も忘れてしまった
バスルームに焼けのこった
愛と情とは
紙袋に入れて駅のホームに置いてきた
そうと決めたひとに
なにを言う必要があるだろう
挙げた手を下ろせずにいる臆病なわたしが

終わりのない下り坂がないなんて
言えるのかしら
いいえわたしは幸せです、
という答を常備して ....
パレードの音がする
雨なのにね
いってみようか
雨なのに?

雨なのに 乾いている
パレードは
ここからは見えないが
音だけが
さびしく 響いている
時間があふれたしろい壺は
だんだん透明に染まっていって
いまはほとんどみえなくなった

わたしはさかさまになっていままでのことを
体じゅうに飾ってみる
あふれてあふれてあふれている
 ....
娘の髪がおどっている
とおもったら
わたしの息だ

どこまでもなめらかに続くようにおもわれる肌は
必然の場所でとぎれている
死がおそろしいなら
生もおそろしいのだし
もしも素晴らし ....
じゆうしのお墓まいりは
ひっそり行わなければならない
衣服をすて
思想をすて
言葉をすてて
まる裸で向かわねばならない、
という決まりを捨てられず
あきらめて横になるところに
じゆ ....
鏡に釣り糸をたらして日がな一日それをみつめている男のひとにキスをしてまわる
わたしの靴はもう擦れてしまったから裸足で
くまたちはあきれて先に行ってしまった
どうですか釣れますかときくと誰もが ....
本棚には
山にのぼるまえの登山家と
ネクタイをしめるまえの政治家
それからドラック中毒の神父さまと
やわらかい夢が眠っている

もうすこしわたしは
旅をしなければならない
鍵をかけ ....
そんなにだいじなことが
あるだろうか
陽に透けている髪の毛や
ひびくように聞こえてくる帰りみちの子どもたち
なにかの秘密くらいちいさな爪のいちまいずつ
写真集にかぶったほこりのおどるとこ ....
リリー
言いたいことがあった
はずだけど
戸棚にしまった
毒の花

来たかったのは
ここなのだ
どんなに忘れても
赤い夢は

リリー
言いたいことがあった
はずだけど
 ....
夜の中で意味が冷えていく
わたしは知りながら傾いて
もう少し影を濃くしようとしていた

ふるいうたが流れていた
それとも口ずさんでいたか
どちらにせよわたしたちは小さすぎた
隠しごと ....
寝息から雨だれまで
すべて世界はきみのもの
知らないということが
あなたの世界を広くする
知るための手順は
あなたの水がめをみたしてなお深くする
あなたは覗くつもりで水がめを倒してしま ....
ときどき風がつよくふいたし
ときどきかみなりも落ちた
照り返しのきつかった床の一部はいまは色あせて
わたしは懺悔しなくてはならなかった
雨の降るようにはひとを好きになれなかったし
嫌いに ....
夢でおちたばくだんを
昼まで胸に抱えてうろうろ過ごしている
人びと、
街の風景はあまりかわらないが
夜、ようやくわすれたころに見る夢に
ばくだんが落ちてくる

たいていばくだんには詳 ....
わたしはよこ向きにうつ伏せて
雨のふるのを聞いていた
かすかにモーターの音が混じっていた
どうしようもなく世界が果てしないと
思っていた水色のとき
返事がこなくなって
1000年がたった
もしかしたらあの空の
ちょっとうすく雲がかかったところにひっかかっているのかもしれない
ひな鳥のはじめての飛行を手助けしているのかもしれないし
ゆ ....
どうして どうしても
美しいだけが
とりえなら
海とか空とかそういうのに溶けなかったんだろう
こんなにあふれても
溶けなかったんだろう
答えみたいな問いのなかで
眠ることにする

 ....
まだ、
ここがどこかわからずに
過去のあなたをまっている
朝顔のうすい花弁をさわって、
甘いような気持になっていたあなた
履きつぶした靴ほどにすべてを好きだった
わかっていて手をつけない
転ぶ一秒まえ
前のめりに笑っている
わたしをみとめてくれますか
記号のような体を結んだ夜を
心とはよべない
わたしたちの命が
わからないどこかで燃え尽きてしまう
祈りがなみだのようにあふれだした
はみだして 行き場のない ことばたちが
過去へかえっていく
そうだった
あなたに 出会うよりもまえから
あなたのことを 好きでした
みつめあうよりも
ずうっとまえから
わたしのどこか ....
あなたは眠る
虹のした

なぜ
胸がこんなにいたいのか
そうして
なつかしく まぶたをとじる
なにかやましい
気持をかくしながら
愛している、
とささやくとき
空や海はいっそうまぶしくうつります

目を閉じていてもわかってしまう
わたしが
どれほど
くらいものであるか
 ....
たぶん最初はだれかのためだったけど、今はもうそうじゃない。爪をかざったり物語をつくったり、お湯をわかしたりする。駐車場をいくつもわたりあるいて暮らしている猫に餌を投げてやるのだって猫のためじゃない ....
はるな(1719)
タイトル カテゴリ Point 日付
はちみつ自由詩615/10/13 21:13
ハンカチ自由詩115/10/10 23:03
砂場自由詩315/10/5 21:51
やさしいくま自由詩515/10/2 20:55
緑色自由詩615/10/2 1:34
きてひかりは自由詩615/9/30 22:04
紙袋自由詩315/9/30 21:41
くだりざか自由詩215/9/26 22:34
パレード自由詩215/9/26 13:05
あふれる自由詩515/9/25 0:43
同じ場所自由詩515/9/25 0:39
じゆうしのお墓まいり自由詩515/9/25 0:34
自由詩215/9/17 22:45
本棚自由詩515/9/15 22:28
自由詩715/9/15 16:30
リリー自由詩315/9/15 16:19
隠しごと自由詩615/9/10 23:29
---自由詩315/9/9 0:01
懺悔自由詩515/9/8 22:37
ばくだん自由詩515/9/3 23:14
モーター自由詩515/9/3 23:03
返事自由詩4+15/8/24 10:28
ことにする自由詩215/8/24 10:25
過去のあなた自由詩215/8/21 22:58
転ぶ自由詩415/8/18 21:50
祈り自由詩215/8/17 22:07
どこか自由詩415/8/13 3:02
自由詩415/8/12 23:07
やましい自由詩415/8/8 17:45
湖の恋散文(批評 ...5*15/7/31 23:20

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