ほんとうにさまざまな椅子があります。家具屋
わたしはひとつに腰掛けて
にっこり笑う。おそれる
広いまどには一羽ずつ天使が張りついて季節を監視しているので

おそれる。
とるにたらないこ ....
きょうは街が
青く繁っている
角じゅうに発生する
感情を食べているので

三時になったら
たばこ屋の角を曲がる
ひとつの体を
なんとか動かそう
雨がふっても
きっと曲がろう
 ....

すべるような肌のうえで
銀色はしずかに鳴り
あなたの呼吸とおなじ間隔でふるえながら
ありもしない幸福に
触れることさえできる


目を覚ますまえに君は
降りつもった時間を
 ....
磨いた床に
シンナーをこぼして
ここには
奇跡があふれかえっている
乾いた緑と肌
鏡を抱いたままの昨日

誰かを愛していた
ということはつねに
それが終わってからわかる
泣きやんで ....
火のない部屋のなかに
あなたをさがしている
茶色く終わった時間がころがっている

あの日
海には
六羽の白いからすが
まるく座っていたそうだ

傷口は凍るので
わたしたちはまだ ....
宝籤のしっぽの先はあいかわらずまちがいみたいにほんのわずかに白い。


まずはじめは、(はじめっていうのは、16歳という意味だけど)、愛されていないと思っていた。愛というのはとても遠くにあり ....
だれのための人生でもなかったはずだ
色や歌や 波の寄せては返すいとなみも
だれかのためのものじゃなかったはずだ

黒も灰色も水もかなしみも
それぞれべつべつに落ちているだけの
それだけ ....
浴室で
血は
思うより
少しだけ赤い

一枚ずつ意識を剥いでゆくと
なつかしさの手前で
熊たちが手をふっている

わたしは
もう
あなたがしてくれたようには
わたしを愛せな ....
グラスのふち いちばん
ぎりぎりのところに
つかまって
あなたが落ちれば
わたしも落ちる
わたしが落ちれば
あなたも

でもべつべつの
ところに

こぼれおちたさきで
明日 ....
昼間、つめたい雨がすこし降っていた。音もしないでしずかに、「長く」というかんじで降ってくる雨。

母親になった友人と、これから母親になる友人と、母親になる予定のない友人とわたしとで会った。生ま ....
ふくらみの去ったあとに
なぜつめたさが残るのだろう
もともと無いものばかりもとめる

いつも見つめるたびにこぼれる
気持ちになまえをつけるのはやめて

指をあらって
木を植える
 ....
疲れはてて
うす青い体
つめたい指をかさねて
あなたに辿りつく

まだ色のない明日を持ちよって
どんな夢を見よう
どれくらいの夢を見よう
あなたに会いたいと思うことと
あなたを好きだと思うことが
同じことなのかどうかもうわからない

寒さと暑さが
痛さと快感が
朝と夜が
どう違うのかもうよくわからない

わかりたい ....
あなたの顔に
穴が一粒

紐を通してくれと
言うが

どれだけ手繰り寄せても
紐のはじまりが
やって来ない
うつくしいのは
なぜだろう

横顔 曇天 カップの重み

うつくしいのは
なぜだろう

深緑色 かわいい恐怖
ふるえて立ってる電信柱

うつくしいのはなぜだろう
死なないも ....
あれから
いくつかの詩を書いた
ふたりとも
無言で

色にも
光にも
夜にも かまわずに

いくつかの詩をかいた

鳥が飛ぶのにも
種が蒔かれるのにも
気づかないで

 ....
あなたのはく息は
わたしのよりも
ちゃんと白いね

あなたの手のひらは
ぶ厚くて温かく
冬が
さむいのだとわかる

うしろから抱き込まれると
まるい刃物に刺される心地が
した ....
文字では
なにも言い表せられないし
音では
踊らせることはできないし
絵筆と色では
なにも
描くことができない

あなたが
どれだけわたしに近づいても
あなたに
触ることもで ....
安いワインに合うつまみばかりくわしい男のひとのことを好きだった。朝といっても良いくらいの深夜にいつもちがう場所でお酒を飲みながら、ぽつりとそういうことをつぶやくので一度など缶詰と大きなライターをコ .... 実家にはいま父と母が住んでいて、いまは、黒い子犬も住んでいる。
母が名付けた、「宝籤」という意味の名前を呼ぶと、尻尾と耳をすこしふって転げてくる。それも、この二週間でずい分としっかりした。
宝 ....
耳が痛い

あなたが言うので
のぞきこんだ

産毛に抱かれるように
あなたの
恋人からの言葉がひかっている

それを持ち帰り
窓辺においてやると
いよいよ優しげにひかってい ....
愛していると言うことと
愛していると思うことは
まったくちがうわね

窓際に立ち
君はうたう

愛していると囁かれることと
愛されていると感じることは

日没、空あかく
 ....
すいぶんありふれた場所まできてしまった
ふりむけば怠惰に崩れた愛がみえる

いまや恋心は
あまい雨雲になって
なんとなくふたりを覆っている

雨がふれば
わたしもあなたも
木々も ....
季節が
ずい分かわってしまって
空はかなしい

部屋のなかには
あなたにあげられなかったものばかり
散らばって

真ん中に
あなたのかたちの不在がのこる

扉のむこうはひかっ ....
わたしは
とてもつよくて
いつかは泣いたりできると
おもっていた

花は咲いていたし
空は青かった ような気がする
でも、よくわからずに
ただ
立っていた

お気にいりを
 ....
友人からのながい電話を受けていると、耳もとで言葉がばら、ばら、と雑音のように崩れていく。夜。夫は仕事のあとに飲み会があると連絡をくれた。冷めてしまったスープ、かたくなったパン。きのうやっと出してきた、 .... 八年前から
八年が経ちました
八年
長いのか短いのかわからない

どこまでいってもおなじなのかもしれない
けれど、
わたしを支配しているものはもうすでに、
あきらめだけではなくなっ ....
生きているのは
はずかしいね
まいにち影が
伸びてゆく

生きていくのは
はずかしいね
手をつないでくれたら
一緒に死んであげる
ひとを殺さないことが
ふつうだとおもっていた
愛とか夢を
良きものだとおしえられて

ほんとうのことは
いつも
だれも
しれない

ひとを殺さないことが
ふつうだとおもってい ....
なけなしの力で振り払うことができたのは小さな羽虫一匹
はるな(1722)
タイトル カテゴリ Point 日付
部屋と椅子自由詩412/12/16 18:34
街と部屋自由詩412/12/15 17:47
銀色自由詩612/12/15 17:32
絶頂自由詩612/12/14 1:01
火のない部屋自由詩1012/12/10 19:13
宝籤散文(批評 ...012/12/5 21:06
つながりはじめる自由詩212/12/4 21:05
熊たち自由詩412/11/30 20:59
ふち自由詩512/11/30 19:31
雨、犬、つむじ、台所のこと散文(批評 ...312/11/28 23:26
木のなまえ自由詩312/11/28 21:52
あなた自由詩312/11/27 20:17
_自由詩312/11/24 15:53
自由詩5+12/11/24 15:45
深緑自由詩512/11/24 15:38
出会う自由詩312/11/21 23:31
まるい刃物自由詩412/11/21 23:19
壁紙自由詩512/11/18 22:16
日曜日の夜散文(批評 ...312/11/18 21:52
犬のこと[group]散文(批評 ...512/11/16 8:41
自由詩812/11/15 15:11
日没自由詩612/11/12 18:59
雨雲自由詩312/11/12 10:35
不在自由詩712/11/9 14:45
シルバー2自由詩212/11/5 22:33
カーペットのこと[group]散文(批評 ...412/11/5 22:24
八年自由詩212/10/31 23:58
はずかしいと影自由詩112/10/31 23:45
教育自由詩112/10/31 23:41
なけなしの短歌112/10/28 21:49

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