水をかためる
はるな

出ていかなければならない
と知っている
部屋は
あなたとあなたでないものでできている
このまま朝は終わらずに
言葉もひとつも終わらずに
開かれなかった小説
届けられなかった手紙
呼ばれなかった名前
結ばれなかった約束
あなたとは終わり続けている

止めなければならない
と知っていた波に
乗ってしまってこのかた
思いだすというのは
氷をのむことに似て
忘れるというのは、
水をかためること



自由詩 水をかためる Copyright はるな 2013-09-26 21:14:38
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