そのころ、北の国クールラントでも政変が起こっていた。
国王と王太子が暗殺されたのである。
その首謀者は、誰ともわからなかった。
クールラントでは、国王の孫ジギリスが後継者となった。

しかし ....
アイソニアの騎士は、すぐさまその面影を追い払った。
エインスベルへの愛……それは無償の愛だ。
盟友と言っても良い。あるいは、戦友と言うべきか。
(いつか、彼女と争うことがなければ良いのだが……) ....
「あなたは年を経てなどいません。わたしは本気なのです」
「本気とは、どの程度の本気ですかな?
 夫が戦で命を落としても、貞節を保てるほどの本気ですか?
 それとも、次の夫を見つけ出すような貞節で ....
アイソニアの騎士は、アースランテでは、
グーリガン・ハルガンテと名乗っていた。もちろん、
これは偽名である。アイソニアの騎士が、
自分の出自や来歴を語ることはほとんどなかったのである。

そ ....
少し時間を遡るが、これはハッジズが、
ラーディガンと盟約を交わす以前の話である。
アイソニアの騎士は、アースランテの聖騎士に取り立てられた。
そのことを覚えている者も多かろう。

アイソニア ....
ハッジズがラーディガンと盟約を交わしたという情報は、
二か月遅れで各国にも届いた。
「なんと。アースランテはこの世の破壊を望んでいるのか?」
「ライランテを、魔物の闊歩する土地にするつもりか…… ....
アースランテがラゴスとの戦いに敗れてから、
二年余りの時が経った。アースランテは、
それ以来、急激に軍拡の道に突き走っていった。
アースランテは、ファシブルとラゴス、

二国の敵国をかかえて ....
しかし、この話には裏の話がある。
「これを、カシュガルさま」ヨランは、
ギボーシュのネックレスを差し出した。
「まあ、なんと美しい」カシュガル夫人はため息をもらす。

「しかし、このネックレ ....
クールラントは高価なものにあまり重きをおかない。
それはクシュリーが奴隷解放の魔法をつかって以来、
とくに顕著であった。ラゴスやアースランテのような、
他国に攻め入ることで領土を拡大してきた国と ....
「わたしは誰も持っていないものが欲しいのだ。
 ギボーシュのネックレスはそれにふさわしかろう?
 大丈夫だ。人前でそのネックレスをつけることはない。
 お前には何の迷惑も心配もかけない」

 ....
閑話休題として盗賊ヨランの話をしよう。
盗賊ヨランは、カシュガル夫人にギボーシュのネックレスを、
盗んでほしいと依頼されたことがある。
もちろん、盗賊ヨランは依頼されたことは確実にこなす。

 ....
エインスベルには一つの覚悟があった。
この国を……クールラントを救おうと。
それはディペルスの街を救った時と同様であった。
恩は恩で返さなければならない。

「クールラントが我が命を狙うので ....
「そのヒスフェル聖国のオスファハンが、
 アースランテ国王と通じているとしたら、
 どうでしょうかな?」
ハザック・アザンは冷静に言った。

エインスベルは驚いた。
「ヒスフェル聖国は魔導 ....
ヒスフェル聖国はクールラントの北西にある国である。
その国内にはガラセラの樹があると言われ、
小国のわりには魔法石が豊富であった。
そのため、周囲にある国とは一線を画した施政をしていた。

 ....
「クールラントは正式に、
 わたしを敵とみなしているわけではない」
そんなエインスベルに、ハザック・アザンは答える。
「時間の問題なのです。アイソニアの騎士が追放されたように」

「クールラ ....
「わたしはカーガリンデを裏切ってなどいない。
 ましてや、クールランの国とにあっては……」
「あなたは今、正魔導士の位にはありません。
 国家に仇名すやも知れぬ存在とされているのです」

「 ....
そのころ、エインスベルを訪ねてきた者があった。
それは、誰あろう、ハザック・アザンであった。
「一体、わたしに何の用か。
 祭祀クーラスとは、すでに縁が切れているのであろう?」
 
「さすが ....
しかし、そこには因縁が生じた。
アイソニアの騎士と、エミル・アザルとの戦いである。
アースランテの千人隊長たちは、
こぞってアイソニアの騎士を褒めたたえた。

彼らにとっては、サンクト・ガリ ....
アイソニアの騎士は巧みにガイザ・ネハの視線を避けた。
これは、彼が一定の魔法の知識を身に付けていたことを意味する。
エミル・アザルは舌打ちする。
ガイザ・ネハを召喚できる時間には限りがあったので ....
ガイザ・ネハの目に射られた者は、狂戦士となる。
狂戦士、すなわちバーサーカーである。
己の理性を失った者たちは、周りにいるすべての者たちに、
攻撃をしかける。例え、それが味方であろうとも、敵であ ....
円を描いて、アイソニアの騎士とエミル・アザルは着地した。
砂埃が舞い上がる。それが一瞬の隙だった。
アイソニアの騎士は、エミル・アザルの目を攻撃する。
しかし、その勝敗は互角に終わった。

 ....
アイソニアの騎士と、エミル・アザルは、
空中で錐揉みしながら戦った。
アイソニアの騎士は長剣で、エミル・アザルは短剣で。
しかし、アイソニアの騎士の剣はなかなか一歩までとどかなかった。

エ ....
わずかばかりの魔法だが、アイソニアの騎士にも魔術が使えた。
いわく、「青白い光の魔法」「風雪の魔法」。
アイソニアの騎士は、普段それを頼りにすることがなかった。
しかし、エミル・アザルに対しては ....
サンクト・ガリはそのころ、炎の結界で街を守っていた。
それに対して、アースランテは風の結界で攻撃をしかける。
いずれにしても、両者が互いに屈することはなかった。
サンクト・ガリは、ラゴスのなかで ....
アイソニアの騎士は、ゾフィアスの剣を有していた。
それは以前にも述べたが、魔力を宿した魔剣である。
ゾフィアスの剣は、エミル・アザルの目をくらますのに、
うってつけであった。

ラゴスの兵は ....
そんな次第で、アースランテとラゴスの戦陣は切っておとされた。
まず、アースランテはラゴスの南の要塞都市である、
サンクト・ガリに攻めこむ。サンクト・ガリの守備兵は六千人。
それに対して、アースラ ....
「軍国ラゴスには、まず五人の千人隊長がおります。
 その下には五万あまりの兵たちがおりますが、
 その士気はそれほど高くはありません。
 これは、小国に限った事柄であると言えましょう」

「 ....
ハッジズ・ア・ラ・ガランデは武勇に秀でていた。
それは聖騎士に任命されたアイソニアの騎士にも、
及ばないものだった。
アイソニアの騎士は、アースランテでいたく厚遇された。

「アイソニアの騎 ....
クシュリーと戦士エイソスの婚姻が行われていた、
ちょうどその頃、南の国では動乱が起ころうとしていた。
すなわち、アースランテの動きである。
アースランテは、いち早くファシブルの政変に反応した。
 ....
魔導士のなかには、国家に認められた正魔導士と、
そうではないものとがいる。すなわち、国家に忠実なるものが、
正魔導士で、そうではないものが野良の魔導士である。
エインスベルは後者の魔導士であった ....
おぼろん(879)
タイトル カテゴリ Point 日付
ラゴス・クールラント連合(一)[group]自由詩1*22/4/4 9:57
小さい恋の詩(四)[group]自由詩1*22/4/3 2:25
小さい恋の詩(三)[group]自由詩1*22/4/3 2:24
小さい恋の詩(二)[group]自由詩1*22/4/2 2:04
小さい恋の詩(一)[group]自由詩1*22/4/2 1:59
アースランテの軍拡(二)[group]自由詩1*22/3/31 20:15
アースランテの軍拡(一)[group]自由詩1*22/3/31 20:14
呪いのネックレス(四)[group]自由詩1*22/3/30 3:03
呪いのネックレス(三)[group]自由詩1*22/3/30 3:02
呪いのネックレス(二)[group]自由詩1*22/3/29 2:52
呪いのネックレス(一)[group]自由詩1*22/3/29 2:51
来訪者(六)[group]自由詩1*22/3/28 2:40
来訪者(五)[group]自由詩1*22/3/28 2:39
来訪者(四)[group]自由詩1*22/3/26 23:24
来訪者(三)[group]自由詩1*22/3/26 23:22
来訪者(二)[group]自由詩1*22/3/25 22:42
来訪者(一)[group]自由詩1*22/3/25 22:41
アースランテ対ラゴス(九)[group]自由詩2*22/3/6 22:19
アースランテ対ラゴス(八)[group]自由詩1*22/3/6 22:18
アースランテ対ラゴス(七)[group]自由詩1*22/3/6 22:17
アースランテ対ラゴス(六)[group]自由詩1*22/3/5 20:39
アースランテ対ラゴス(五)[group]自由詩1*22/3/5 20:38
アースランテ対ラゴス(四)[group]自由詩1*22/3/5 20:37
アースランテ対ラゴス(三)[group]自由詩1*22/3/4 17:20
アースランテ対ラゴス(二)[group]自由詩1*22/3/4 17:19
アースランテ対ラゴス(一)[group]自由詩1*22/3/4 17:18
アースランテ国王とアイソニアの騎士(二)[group]自由詩1*22/3/2 15:16
アースランテ国王とアイソニアの騎士(一)[group]自由詩1*22/3/2 15:14
アースランテの動向[group]自由詩1*22/2/23 16:23
魔導士と正魔導士[group]自由詩1*22/2/23 16:22

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