小さい恋の詩(二)
おぼろん

アイソニアの騎士は、アースランテでは、
グーリガン・ハルガンテと名乗っていた。もちろん、
これは偽名である。アイソニアの騎士が、
自分の出自や来歴を語ることはほとんどなかったのである。

そんなアイソニアの騎士に惹かれた少女がいる。
彼女の名前は、イリアス・ナディ。ナディ家の一人娘である。
彼女は園遊会でアイソニアの騎士に出会い、
一目で恋に落ちた。イリアスは当時十三歳だったが……

あまりにも幼い恋に、アイソニアの騎士は戸惑った。
「姫様。わたしの活躍は、それほど大したものではないのですよ」
「いいえ、わたしはあなたが無双の活躍をしているという噂を聞いています」

「グーリガン様。わたしは、あなたの妻になりたいと願っています」
アイソニアの騎士は呵呵と笑った。
「姫様。それにはあなたは若すぎるようです。わたしは年を経た騎士です」


自由詩 小さい恋の詩(二) Copyright おぼろん 2022-04-02 02:04:01
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