ガージェスは、イリアス・ナディの面前に来て、言った。
「お目覚めですかな? イリアス・ナディ嬢。いや、
 こう言ったほうが良いでしょうか? イリアス・ガ・ラ・ハルデン」
「あなたは誰なの?」イリ ....
イリアス・ナディを捕らえたのは、ガージェス・ノルディアという男だった。
彼は、オーバ・ニーチェのナンバー2の位置を占めていた。
ガージェスは、フランキスにも劣らない野心家だった。
そして、祭祀ク ....
数日の後、イリアスの消息につながる一つの情報が得られた。
彼女は、市場への買い物の折に、数人の男たちに囲まれ、
麻袋に入れられて連れ去れたというのである。この情報の収集には、
アイソニアの騎士が ....
アースランテの千人隊長であるアイソニアの騎士は、
彼のものとなる情報網を持っていた。
二人は、場末の貧民窟へとやって来て、聞き込みを始める。
「イリアス・ナディを知っているか?」マティアスという ....
「大丈夫です。娘さんは必ず取り戻してみせます」
アイソニアの騎士は、床に散らばった皿の破片を片付けながら、
ハーゼル夫人を落ち着かせるような言葉を口にした。
しかし、(俺は遅すぎたのか!)という ....
アイソニアの騎士は大股の歩調で、ノーム邸へと入っていった。
アースランテの千人隊長である、アイソニアの騎士は、
ノーム邸の中へと、すんなりと通されたのだ。
ヨランは(さすが騎士様だ)と、感心する ....
「俺は、これからイリアスの屋敷へ行く。しかし、
 彼女はコウロウ・ノームという男の邸宅に住んでいる。
 もしかすると、イリアスはノームの娘なのかもしれない。
 しかし、詳しい事情は俺も知らない」 ....
そのころ盗賊ヨランとアイソニアの騎士は、
次元跳躍をして、アースランテのアイソニアの騎士邸へと辿り着いていた。
「イリアス! 俺のイリアスは無事なのか?」
「お待ちください。ナディ邸まで行ってみ ....
「それは心強いな。しかし、フランキス・ユーランディアとは……」
「そうだ。あなたの妻を盗むのだ。それだけ手練れのものでなければ」
「我が家の従僕たちも無能ではない。そう簡単に盗めはしないだろう。
 ....
今、クールラントは祭祀クーラス派と、反クーラス派に分れて、
相争っているのだった。そこでは、多くの粛清も行われていた。
もちろん、エインスベルも祭祀クラースの粛清リストに含まれていた。
しかし、 ....
「これは、わたしのもたらす罪だ。祭祀クーラスは、
 あなたとアイソニアの騎士の妻を盗むことで、
 あなたたちにわたしを殺させようとしたのだろう……。
 最愛の人のためであれば、あなたたちも手を汚 ....
ここで言う堕落というのは、世間一般での堕落のことではない。
エインスベルを「魔の道へと貶める者」のように、
エイソスは、アイソニアの騎士のことを考えていたのである。
リグナロスと同じく、エイソス ....
「久しぶりだな、エインスベル」
その日が、たまたま非番だったエイソスは、
屋敷の応接室に二人を迎えに出た。
その顔つきは、つとめて表情を抑えているように感じられた。

「いつ以来だ?」と、戦 ....
門番の一人は、二人ともう一人の門番とを残して、
屋敷のなかへと消えていった。そして、二ヤールほどの時が経つ。
そして、神妙な面持ちで一行の前へと帰ってきた。
「どうぞ。エイソス様はお二人にお会い ....
「ここを通す前に、聞かなくてはならないことがある。お前は何者か?」
「わたしは、エインスベル。戦士エイソスの古い友人だ」
「友人? エイソス様には多くの知己がいらっしゃる。親しい者から、
 信用 ....
エインスベルとリグナロスは、門番の前に進み出た。
門番たちの表情がこわばり、彼女たちを牽制する顔つきになった。
「どうにも反応が良くないようです……」
「{ルビ魔導士=ウィザム}は嫌われているか ....
エインスベルは、リグナロスとともにエイソス邸の前に立っていた。
それは、クールラントの千人隊長にふさわしい、瀟洒な屋敷だった。
戦士エイソスは、クシュリーと結ばれて以来、一家を構えていたのである。 ....
「そうだな。転移魔法が使える場所へと、急ごう。
 わたしは、戦士エイソスの元へと向かう。彼は、
 今でも中立の姿勢を保っているに違いない。正義を信じているのだ。
 しかし、わたしにとって正義とは ....
「ヨランよ、お前もわたしの敵になるのかもしれないぞ?」
アイソニアの騎士とヨランが立ち去った後、
エインスベルは独りごちた。それを、リグナロスだけが耳にする。
「エインスベル様……?」

リ ....
(祭祀クーラスも、エランドルも、世界をどのように変えて行こうとしているのか、
 今はまだ分からない。ライランテの戦争は間近に迫っている。
 アイソニアの騎士は、アースランテの側に立って戦うだろう。 ....
そうして、アイソニアの騎士とヨラン、そしてエインスベルとリグナロスは別れた。
迷いに駆られたエインスベルは、再び虹の魔法石を見つめる。
(この監獄において、虹の魔法石はすべての魔術を無力化した。
 ....
ヨランがエインスベルと別れる寸前、
彼は、ひとつの言葉をエインスベルの耳元で囁いていた。
「エインスベル様。エランドル・エゴリスは、あなたを利用しようとしています。
 彼は、もしくはこのヨースマ ....
 明るい、明るい心を探していた。切り刻まれた自己は、けっして元には戻らない。ああ、どうして? 天気はこのように移り変わって(天気予報を無視して)、わたしの上に雨を降らせる。晴れた空ではなく、雨が救いに .... 「では、行きますよ。アイソニアの騎士様。
 これで次元跳躍は……三度目ですね」と、ヨラン。
「おいおい、俺は次元跳躍なんてしたことがないぞ?」
「お忘れですか? ハーレスケイドへと行くとき。帰る ....
「甘い、というのは遺憾だな、エインスベル。俺は……」
「黙って」エインスベルは、アイソニアの騎士の唇を指で押さえる。
「これ以上は何も言うなというわけか。良いだろう。
 俺は、イリアスの救出に行 ....
「おい、エインスベル。奴の目的は何だと思う? 奴というのは、
 もちろん祭祀クーラスのことだが」アイソニアの騎士が苛立たし気に言った。
「分からない。事を有利に運ぼうとしているのは、分かる。
  ....
「分かった。俺は俺の妻を救いに行こう。おい、ヨラン!
 次元跳躍の魔法は使えるのだな? 彼女の前に跳躍してみせろ」
「何とおっしゃします、騎士様。あれは、この身をすり減らすものなのですよ?
 滅 ....
その時のエインスベルの顔は、美しかった。
切れ長の目が、その端に涙を湛えている。
アイソニアの騎士と、二度とは会えまいと思っていた、
そんな心情が顔つきにしみ出しているように思われた。

「 ....
その時にエインスベルが見せた表情。それは、いつにない柔和なものだった。
ヨランは、エインスベルの心理について思いを寄せる。
(未だ、この人はアイソニアの騎士を愛しているのだな)と。
しかし、それ ....
「俺には礼を言ってくれないのか? エインスベル」
アイソニアの騎士が、咳払いとともに、憮然とした表情で言った。
「あなたは、敵を倒すのが仕事。今現在の行いも、
 あなたの通常業務を外れるものでは ....
おぼろん(879)
タイトル カテゴリ Point 日付
囚われたイリアス(二)[group]自由詩1*22/12/4 12:19
囚われたイリアス(一)[group]自由詩1*22/12/3 9:54
盗賊ヨランとアイソニアの騎士(六)[group]自由詩1*22/12/3 9:53
盗賊ヨランとアイソニアの騎士(五)[group]自由詩1*22/12/3 9:52
盗賊ヨランとアイソニアの騎士(四)[group]自由詩1*22/11/30 17:47
盗賊ヨランとアイソニアの騎士(三)[group]自由詩1*22/11/30 17:46
盗賊ヨランとアイソニアの騎士(二)[group]自由詩1*22/11/30 17:46
盗賊ヨランとアイソニアの騎士(一)[group]自由詩1*22/11/28 21:34
戦士エイソスとエインスベル(九)[group]自由詩1*22/11/28 21:34
戦士エイソスとエインスベル(八)[group]自由詩1*22/11/28 21:33
戦士エイソスとエインスベル(七)[group]自由詩1*22/11/27 10:39
戦士エイソスとエインスベル(六)[group]自由詩1*22/11/27 10:38
戦士エイソスとエインスベル(五)[group]自由詩1*22/11/27 10:37
戦士エイソスとエインスベル(四)[group]自由詩2*22/11/26 8:02
戦士エイソスとエインスベル(三)[group]自由詩1*22/11/26 8:02
戦士エイソスとエインスベル(二)[group]自由詩1*22/11/26 8:01
戦士エイソスとエインスベル(一)[group]自由詩1*22/11/25 6:09
世界の行方(五)[group]自由詩1*22/11/25 6:09
世界の行方(四)[group]自由詩1*22/11/25 6:08
世界の行方(三)[group]自由詩1*22/11/23 18:25
世界の行方(二)[group]自由詩1*22/11/23 18:24
世界の行方(一)[group]自由詩1*22/11/23 18:24
錯雑自由詩3*22/11/11 23:10
脱出(十六)[group]自由詩1*22/11/10 20:06
脱出(十五)[group]自由詩1*22/11/10 20:05
脱出(十四)[group]自由詩2*22/11/9 18:09
脱出(十三)[group]自由詩1*22/11/9 18:09
脱出(十二)[group]自由詩1*22/11/9 18:08
脱出(十一)[group]自由詩1*22/11/8 17:39
脱出(十)[group]自由詩1*22/11/8 17:39

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