暗闇のなかにて、
わたしは黒豹だ。
黒豹でなくっても、
黒猫でも良かった。
それでも、わたしは黒豹で、
黒猫よりも㸃いと思っている。
大烏でも良い。
それでも、エドガー・アラン・ポーの、 ....
見つかって、見つからないよと君が言う。まるで透明人間みたいに。

目に見えない電車に昨日乗りました。ゆられていく先すら分からずに。

打消し線の線を取り上げ弦にする。ラ音の調べ、この世のものか ....
さよならの船出を、彼女は待っていた。
美しく水がゆれるなら、心はにごって、
晴れることなく気もちは空とつながってゆく……
ただ、さよならの船出だけを。
 
そうね。ため息がひとつこぼれても、 ....
やすらかな、静けさと麗しさのかたよりのなかで、
彼はそっと目をしばたいたの。
そうして楽器を叩く。
若い彼は楽器をたたく。
 
塔のそとでは風がながれ、
落ち葉をはこんでゆく。
湖にしず ....
笹船に灯を乗せて、炎の河に流す、
依り代のない鎮魂の想いはいずこ、
反射的に何を言うのでもなく、
奉げられた言葉を心が飲み込む。

嚇怒のような雨、
嵐は血と涙に変わり、
これは神罰?  ....
涙は滴り落ちてゆく、ワインのように、
それは血染めであったかもしれず、
わななく明日への希望に彩られて、
炎天下で悛改していた。

懺悔は懺悔たらず、
後ろ向きに何を見つめても、
咎以外 ....
「キミ」といったボクの心を、
あの青い空は吸い上げていた。

マンションの中に入ってきてまで、死ぬ、
蝉。

彼らは種を残し得たのだろうか。
茫洋とした想像がとめどなく続く。

「ア ....
こかげ、こかげ、
あのゆらゆらと、
くろい、
いいえ、
きっと、ダークブラウンやモスグリーンの。

前線と前線が衝突する、
だから、
あたまが重いよ。
どこへもいくことができないと、 ....
(透明ではない)
(灰色の一匹の魚)


透明ではない、薄く曇った一つのガラス球のなかに、
一匹の魚が泳いでいる。それは灰色。

「もう泳ぐのに疲れてしまった」と、魚は言う。
わたした ....
 

晴れた空の中に、{ルビ時間=そんなものはどこにもない}を探している。
 

 
いつもの言葉を忘れてしまった。
ラン、そして、アウェイ。
僕たちはいつも走っている。
それはランナウェイ?
どうやら違うようだ。
僕たちは逃れない。
僕たちは逃げない。
運命が僕たちを呪 ....
無邪気になれるのは、
いつ、どこで?
無邪気になれるのは、遠い過去で。

無邪気になれるのは、
いつ、どこで?
無邪気になれるのは、遠い場所で。

一つ、二つと、
数え歌。
ひとり ....
 君が無限の一列目にいる時、僕は無限の二列目にいてふるえている。君から僕へとたどり着く手段はなく、君は泣いている。僕はどうすれば良いのか分からず、なすすべもなく立ち尽くしている。この世界のどこかには、 .... 死の女神が微笑む、
”どうか明るい唄を残してください、”

死の女神が唱える、
”わたしはすべてを等しく愛するもの。”

死の女神が歌う、
”ああ、死は安らかな眠り。安らかな眠り。”
 ....
今年は桜前線、
 という言葉をあまり聞かない。
桜の散るころには、
 すべてが終わってしまっているのだろう。
そんなことをなんとなく感じながら、
 世の中すべてのことが厭わしくなってしまって ....
このお店は改装中です。
ですから、お立ち入りにならないでください。
改装が終わったら、
あなたも入ってみると良いですよ。

わたしは言葉を商っています。
わたしは「無限」という言葉の意味を ....
海べの小道には、
海へとつづくだけ、
海までもどるだけ、
それでもどこかへゆくのか、知らない?

私を追いこしていた、
私を忘れていた、
私を落としてしまったのは、
どんな時だった?
 ....
しずかな雨音をさせながら
はじめての春にふる霧雨は
朝のおそくに目ざました人らに
つめたい感覚をよびおこす

寒々しい白色の{ルビ硝子=ガラス}戸のおくに
私の茶の色の{ルビ瞳=め}のただ ....
緑いろの丘々を撫ぜながら
思いがけない海からの風は
波たちの起こすさざめきをともなって
私たちの陽溜まりへとどけられる

草葉のかけらを宙に舞わせながら
精霊たちを目ざませながら
何もの ....
エヴァーグリーンに包まれたのは、
春休み。
春の休みの日。
まだ夜明けじゃないよ。
夜が明けたら、太陽が高く昇って、
風景は美しくなる。
まだ目を覚ましてはいけない時間に、
起きてしまっ ....
((          ))

    ((       ))


((    ?))

      ((   、「  」              ))

 ((   、「   」 ....
((蒼穹を飛んでみせてよ))

    ((そんなのいやだ))


((どうして?))

      ((だって、「蒼穹」なんていう言葉は古すぎるもん))

 ((じゃあ、「青い空」 ....
匂うような瞳をしたその人は、
優しく手をひいて、
蒼穹へといざなう。

そこでは、
幼子たちが耳朶をゆらし、
風の音を聞いている。

憐憫でも無垢でもなく、
懶惰でも情熱でもなく、
 ....
さみしい夜にはいつも君がいてくれた。
寒い冬でも君がいっしょなら大丈夫だった。

さして面白くもないことにも君は笑って、
さもありなんと僕はおもったりした。

さあ何をしようかと、いっしょ ....
  恐竜の骨のようなもの、を、みたいな、
           探していたんだと、
                 思う。
          でも、そんなものは、
           ど ....
ねえ、お爺さん、
あなたが買ったものはカフェインレス・コーヒー。
なぜそんなものを買ったのかしら?
健康のためにカフェインを制限しているから?
夜眠れなくてもコーヒーが飲みたいから?
それと ....
戸外にいる気分を味わいたくって、
セブンイレブンから缶コーヒーを買ってきた。
ああ、街中には僕たちが一息つけるところなんでもうわずかしかない。
(そうでない人たちもいるのだろう)

君は君自 ....
 北の国には幽霊船がいるという。誰もそれを見たものはいないが、晴れた日には沖合に蜃気楼のようなものが立ち上がる。それが幽霊船だという。幽霊船は千の魂を積んでいく。幼くして亡くなった者、戦争で命を落とし .... くるくると空が流転する。
葉がさざめく。
海の底を人魚が泳いでいく。

悲しみは積り、積り、
切なさで、
わたしはそれを胡麻化している。

あなたたちも同じでしょう?
細やかなことが ....
現代ならば夜行列車ではなく、
夜行バスに乗っていく。
でも誰も、
銀河バスなんていう奇妙なものは思いつかない。
(あ、毛糸で編むのを忘れた)
(あれはあなたのための毛糸だったのに)
車窓に ....
おぼろん(879)
タイトル カテゴリ Point 日付
黒豹自由詩3*21/3/8 19:14
短歌5首短歌9*20/11/10 17:27
sonnet(船出)自由詩3*20/10/11 23:24
sonnet(塔)自由詩3*20/10/11 23:24
sonnet自由詩2*20/8/18 8:19
自由詩2*20/8/18 8:18
無題自由詩3*20/8/15 17:17
自由詩5*20/7/20 19:27
自由詩3*20/6/2 8:56
空と虚構自由詩3*20/5/15 20:23
無題自由詩3*20/5/14 20:12
自由詩3*20/4/16 23:32
無限∞自由詩2*20/4/9 10:41
前夜の鎮魂歌(レクイエム)自由詩0*20/4/3 12:33
葉桜が揺れる自由詩4*20/3/31 14:15
言葉屋自由詩6*20/3/26 19:10
海べの墓自由詩3*20/3/25 13:06
雨下の幻想自由詩1*20/3/21 16:48
海風自由詩1*20/3/21 16:47
エヴァーグリーン自由詩1*20/3/19 22:38
蒼穹(白)自由詩1*20/2/17 13:41
蒼穹(青)自由詩5*20/2/17 13:29
無題自由詩3*20/2/11 13:28
自由詩3*20/2/6 18:11
アーリースプリング・デイ自由詩6*20/2/3 14:15
無題自由詩4*20/2/1 8:41
自由詩6*20/1/30 16:20
幽霊船自由詩4*20/1/29 11:46
僕たちはすべて水際(みぎわ)にいる自由詩6*20/1/27 11:29
無題自由詩13*20/1/19 11:03

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