クシュリーはそのころ、自らの出自を廃して、
貴族として取り立てられようとしてた。つまり、戦士エイソスの妻として。
戦士エイソスは、今ではクールラントの千人隊長である。
その妻であれば、しかるべき ....
「たしかに、エインスベルはレ・スペラスとの戦いで功をなしました。
 しかし、それが本当に私情を廃してのことだったでしょうか。
 エインスベルは、己の私益のために戦ったのではないですか?
 それは ....
クシュリーと戦士エイソスの婚礼が行われていたころ、
魔導士エインスベルは微妙な立場に置かれていた。
すなわち、彼女こそがクールラントに様々な災厄を
もたらした者として、糾弾されつつあったのである ....
困ったのは、もちろんクールラントの奴隷商人たちである。
彼らは、奴隷という身分があることを理解できなくなった。
そして、自らの商売を続けることをも、
「奴隷とは、はたして何だ?」というのが、彼ら ....
「それでは、お前の魔法とは祝福であると言うのだな?」
「はい。わたしは神々に祈りを捧げるだけです。
 そして、人々をどう扱うのかは、神々が知るだけです」
それが、戦士エイソスとクシュリーの会話だ ....
今、この時をもってしても、
魔導士エインスベルとクシュリーとを比較する声がある。
しかし、その意見は筋違いであると言えるだろう。
というのは、エインスベルが駆使するのが魔導であったのに対して、
 ....
戦士エイソスは、精神の球を持って、
クシュリー・クリスティナの元へと赴いた。
「この球をもって、彼女は何をするのであろうか?」
戦士エイソスには一つの疑問があった。

クシュリー・クリスティ ....
ヤゴンの竜は、その時一頭であった。
すなわち、その他の竜はあらかじめ退治されていたのである。
しかし、どうしても人々には倒せない一体がいた。
それに向かって、今戦士エイソスは挑もうとしている。
 ....
戦士エイソスは一人でヤゴンの竜の元へと向かった。
そこには、クシュリー・クリスティナとの盟約があったのである。
「もし、あなたがお一人でヤゴンの竜を倒すことがあれば、
 わたしはあたなに娶られま ....
戦士エイソスは一人でヤゴンの竜に立ち向かおうとしていた。
これが、自分に課せられた使命の一つだと思っていたのである。
何よりも、ヤゴンの竜を倒さなければ、クシュリーの愛情が得られない。
戦士エイ ....
ここで、クシュリー・クリスティナの話をしよう。
クシュリー・クリスティナは、戦士エイソスの想い人である。
クシュリー・クリスティナは、はじめカラスガラの街で、
奴隷として売られていた。

そ ....
「あの炎の柱は何だったのだ?」エインスベルは問う。
それに対して、盗賊ヨランは答えた。
「あれは、天界と地界とを結び付ける柱です。
 おそらくエランドルは、幽冥界のどこかにいるのでしょう」

 ....
「お前はこの現世を滅ぼす、エインスベルよ」恐ろしい声が再び言った。
「お前が何者であろうとも、わたしはお前に与することはない」
エインスベルは果敢に答えた。その傍らで、
盗賊ヨランは言ったのだっ ....
その時、盗賊ヨランが眠りから起き出してきた。
エインスベルの危険を察知したのである。
「我が名はエランドル・エゴリス」
その厳かな声は繰り返して言った。

「エインスベル様、ここは危険です。 ....
「実はわたしは、エランドル・エゴリスと会ったことがあるのです」
そのエインスベルの言葉は、予想外のことだった。
わたしは言う、「まさか。エランドルは三千前に死んだはずだ」
「しかし、わたしは確信 ....
「ガラセラの樹は聖霊タパスと密接な関係にある」
 わたしは言った。
「聖霊タパスとは、何人たりとも触れてはならない者なのだ」
「それまでの事情は心得ております」

エインスベルは顔色を変えず ....
エインスベルがなぜ、ヒスフェル聖国を訪れて来たのか、
わたしは分からなかった。
ヒスフェル聖国はクールラントの北西にある国である。
敵国とはいかなくても、その関係は微妙であった。

しかも、 ....
我が名は、オスファハン。正魔導士であり、エインスンベルの師でもある。
これまでに書いて来たのが、彼女の復讐のおおよその顛末である。
今回の彼女の訪問も突然だった。すなわちエインスベルの来訪である。 ....
そのころ、戦士エイソスは祭司クーラスと密接な関係にあった。
リュシクイアの戦いが終わった後、彼は聖騎士に任命されたのである。
戦士エイソスも、祭司クーラスとアイソニアの騎士とが、
互いに嫌悪しあ ....
カーガリンデに帰着したエインスベルを待ち受けていたのは、
戦士エイソスの来訪だった。
戦士エイソスは、荒々しく扉を開けながら、
エインスベルの居宅に飛び込んできた。

「奴はどこだ!?」
 ....
ユーラディアの谷を行く、エインスベルの足取りは重かった。
すでに、復讐を成し遂げてから三日の日にちが経つ。
そんなエインスベルの横顔を覗き込んで、アイソニアの騎士は言った。
「アースランテでは、 ....
アイソニアの騎士の亡命劇の裏側には、
ハザック・アザンの暗躍があった。
ハザックは、密偵として祭司クーラスに仕えていたが、
実はアースランテの国の密偵でもあったのである。

いわゆる、二重ス ....
エインスベルたちは、復讐からの帰路についた。
もちろん、再びユーラディアの谷を通ってである。
その道すがら、アイソニアの騎士はエインスベルに向かって言った。
「俺は、アースランテの国に亡命しよう ....
ファシブルの国で政変が起こったという報せは、
早馬によってクールラントの国にももたらされた。
国王はわずかに顔を曇らせた。
「で、次の女王は誰になるのか?」

「マリアノス・アリア・ガルデが ....
「そうかもしれません、母上。明日は、
 叔母ミーガンテの戴冠十年式典が行われる予定でした。
 しかし、今は貴女が王座に返り咲く日となるのです」
「しかし、国民は受け入れるだろうか。一度は排斥され ....
「わたしはこの時のために生きてきました。貴女を救うために……」
「そのために、魔導士に落ちたというのか?」
マリアノス・アリア・ガルデはわずかに顔をしかめた。
その微妙な表情に、エインスベルも当 ....
「はい。わたしは貴女の娘、エインスベル」です。
「エインスベルか……、あの頃はたしか十歳だったはずだが。
 立派に成人したのだな。しかし、お前がここにいるということは?」
「ええ、叔母ミーガンテ ....
ミーガンテを捕縛した後、エインスベルは、母の元へと赴いた。
マリアノス・アリア・ガルデは、十年の間、
王宮の北にある塔の中に幽閉されていたのである。
マリアノスがいる牢獄は、塔の最上階にあった。 ....
「叔母上、貴女はこれから幽閉の身となるのです」
エインスベルは、ミーガンテの結界を解きながら言った。
「それだけは……、耐えられない」そのミーガンテの言葉に、
「母はそれに耐え抜いてきたのです」 ....
「エインスベル、なぜ我が味方とはなってはくれぬのか?」
「奴隷としてわたしを売りに出した、貴女が言うことではないでしょう」
「すべてはオスファハンがいけなかったのだ。彼も殺しておくべきだった」
 ....
おぼろん(879)
タイトル カテゴリ Point 日付
クシュリーとエインスベル(三)[group]自由詩022/2/21 19:06
クシュリーとエインスベル(二)[group]自由詩022/2/21 19:04
クシュリーとエインスベル(一)[group]自由詩022/2/21 19:03
クシュリーと精神の球(四)[group]自由詩2*22/2/20 18:50
クシュリーと精神の球(三)[group]自由詩1*22/2/20 18:49
クシュリーと精神の球(二)[group]自由詩1*22/2/19 17:20
クシュリーと精神の球(一)[group]自由詩1*22/2/19 17:18
戦士エイソスとヤゴンの竜(三)[group]自由詩1*22/2/18 17:15
戦士エイソスとヤゴンの竜(二)[group]自由詩1*22/2/18 17:14
戦士エイソスとヤゴンの竜(一)[group]自由詩1*22/2/18 17:12
クシュリー・クリスティナ[group]自由詩2*22/2/15 7:23
炎の柱(三)[group]自由詩2*22/2/11 10:49
炎の柱(二)[group]自由詩1*22/2/11 10:48
炎の柱(一)[group]自由詩1*22/2/11 5:16
オスファハンとエインスベル(四)[group]自由詩1*22/2/10 9:38
オスファハンとエインスベル(三)[group]自由詩1*22/2/10 9:18
オスファハンとエインスベル(二)[group]自由詩1*22/2/9 7:16
オスファハンとエインスベル(一)[group]自由詩1*22/2/9 7:15
復讐が終わって(六)[group]自由詩1*22/2/6 11:02
復讐が終わって(五)[group]自由詩1*22/2/6 11:01
復讐が終わって(四)[group]自由詩2*22/2/5 10:23
復讐が終わって(三)[group]自由詩1*22/2/5 10:22
復讐が終わって(二)[group]自由詩2*22/2/4 7:31
復讐が終わって(一)[group]自由詩1*22/2/4 7:30
母との再会(四)[group]自由詩1*22/2/3 4:02
母との再会(三)[group]自由詩1*22/2/2 23:12
母との再会(二)[group]自由詩1*22/2/1 23:33
母との再会(一)[group]自由詩1*22/2/1 23:32
ミーガンテ対エインスベル(八)[group]自由詩1*22/1/31 21:53
ミーガンテ対エインスベル(七)[group]自由詩1*22/1/31 21:52

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