娘の髪がおどっている
とおもったら
わたしの息だ
どこまでもなめらかに続くようにおもわれる肌は
必然の場所でとぎれている
死がおそろしいなら
生もおそろしいのだし
もしも素晴らし ....
じゆうしのお墓まいりは
ひっそり行わなければならない
衣服をすて
思想をすて
言葉をすてて
まる裸で向かわねばならない、
という決まりを捨てられず
あきらめて横になるところに
じゆ ....
鏡に釣り糸をたらして日がな一日それをみつめている男のひとにキスをしてまわる
わたしの靴はもう擦れてしまったから裸足で
くまたちはあきれて先に行ってしまった
どうですか釣れますかときくと誰もが ....
本棚には
山にのぼるまえの登山家と
ネクタイをしめるまえの政治家
それからドラック中毒の神父さまと
やわらかい夢が眠っている
もうすこしわたしは
旅をしなければならない
鍵をかけ ....
そんなにだいじなことが
あるだろうか
陽に透けている髪の毛や
ひびくように聞こえてくる帰りみちの子どもたち
なにかの秘密くらいちいさな爪のいちまいずつ
写真集にかぶったほこりのおどるとこ ....
リリー
言いたいことがあった
はずだけど
戸棚にしまった
毒の花
来たかったのは
ここなのだ
どんなに忘れても
赤い夢は
リリー
言いたいことがあった
はずだけど
....
夜の中で意味が冷えていく
わたしは知りながら傾いて
もう少し影を濃くしようとしていた
ふるいうたが流れていた
それとも口ずさんでいたか
どちらにせよわたしたちは小さすぎた
隠しごと ....
寝息から雨だれまで
すべて世界はきみのもの
知らないということが
あなたの世界を広くする
知るための手順は
あなたの水がめをみたしてなお深くする
あなたは覗くつもりで水がめを倒してしま ....
ときどき風がつよくふいたし
ときどきかみなりも落ちた
照り返しのきつかった床の一部はいまは色あせて
わたしは懺悔しなくてはならなかった
雨の降るようにはひとを好きになれなかったし
嫌いに ....
夢でおちたばくだんを
昼まで胸に抱えてうろうろ過ごしている
人びと、
街の風景はあまりかわらないが
夜、ようやくわすれたころに見る夢に
ばくだんが落ちてくる
たいていばくだんには詳 ....
わたしはよこ向きにうつ伏せて
雨のふるのを聞いていた
かすかにモーターの音が混じっていた
どうしようもなく世界が果てしないと
思っていた水色のとき
返事がこなくなって
1000年がたった
もしかしたらあの空の
ちょっとうすく雲がかかったところにひっかかっているのかもしれない
ひな鳥のはじめての飛行を手助けしているのかもしれないし
ゆ ....
どうして どうしても
美しいだけが
とりえなら
海とか空とかそういうのに溶けなかったんだろう
こんなにあふれても
溶けなかったんだろう
答えみたいな問いのなかで
眠ることにする
....
まだ、
ここがどこかわからずに
過去のあなたをまっている
朝顔のうすい花弁をさわって、
甘いような気持になっていたあなた
履きつぶした靴ほどにすべてを好きだった
わかっていて手をつけない
転ぶ一秒まえ
前のめりに笑っている
わたしをみとめてくれますか
記号のような体を結んだ夜を
心とはよべない
わたしたちの命が
わからないどこかで燃え尽きてしまう
祈りがなみだのようにあふれだした
はみだして 行き場のない ことばたちが
過去へかえっていく
そうだった
あなたに 出会うよりもまえから
あなたのことを 好きでした
みつめあうよりも
ずうっとまえから
わたしのどこか ....
あなたは眠る
虹のした
なぜ
胸がこんなにいたいのか
そうして
なつかしく まぶたをとじる
なにかやましい
気持をかくしながら
愛している、
とささやくとき
空や海はいっそうまぶしくうつります
目を閉じていてもわかってしまう
わたしが
どれほど
くらいものであるか
....
たぶん最初はだれかのためだったけど、今はもうそうじゃない。爪をかざったり物語をつくったり、お湯をわかしたりする。駐車場をいくつもわたりあるいて暮らしている猫に餌を投げてやるのだって猫のためじゃない ....
わたしたちはいまも迷子だ
なにもかもを揃えたとしてもどこへも届かない
あふれたいのにまだそこにいる
水たちの憂鬱を細胞に湛えている
思うようにうごかない心に嘘をついて身体が出掛けて行く
愛とか夢とかそういう言葉は
壁を飾るのに使ってしまった
もたないまま靴を履く
どんなにいいだろう
わたしが誰かわかるんだったら
....
わたしたちは
とうとう逃げきって
朝をむかえた
そして気付いた
逃げばのない愛しさの死のちかさ
そのふたは
正規のものでなかったので
がちりとはまって
もう取れることはなかった
しかたないのだ
知っていてしたなら愚かなことで
知らずにしたならもっと愚鈍で
かといって開いたま ....
季節にへばりつくようにはずかしく生きて
それでもすずしい女でいるのも
ひとつの責任かしら
唾を吐くように忘れゆくよりは
忘れられながらここにいるほうが
潔いことにみえる
駐車場
気持はいつも
うち側へはじけたから
つまらない奴だと言われていた
たしかにわたしは
つまらぬ女で
するすると全部抜けていってしまうのだ
やって来て 去っていく
いくつもの時間 ....
詩人たちはとしをとって
もうあまりうたわなくなった
すばらしいいくつもの詩集はとじられたまま
本棚にじっとすわっていた
それからもまた時間がたって
詩人たちはますます黙したまま
だんだ ....
あつい夜
きみはかんたんに
きみを脱いだ
なにも覚えていられないくらい
美しい夢が終わって
抜けがらとぼくは朝を迎える
そうしたらもう
どっちが思い出なのかわからなくなっているん ....
わたしたちがあんまりゆっくり歩いたので
街はどろどろに溶けてしまった
間にあわなかったね
でもべつによかった
まだ潮や空はのこっていて
わたしたちはもっていたパンにそれをつけて ....
ふりむくと
奇妙なかたちのひかりがうようよ浮いている
まぶしくてからだに逃げ込むと
そっくり同じかたちの影がならんでいる
そしてそれは穴ぐらのようになる
はるな
(1799)
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