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140219
今朝も眼が痛い
眼科医処方点眼薬を差す
日に4度差すんだよ
方形の空からは
青空さえのぞき込み
眼の中に乾いた粉を振り込むんだ
部屋代を ....
市井のすみで本能が
真実をねじまげるのは何故
真実とはからくりのようなもの
本能とは時限爆弾のようなもの
共働きの内縁の
事実婚のカレーのルウ
遠くから澄んだ口 ....
猫背の猫、
あたらしいグランドピアノ
その黒鍵よりくろいひかり
猫の、目の、奥がものがたる
誰も見たことのない、できない
猫の詩、
白鍵を選び歩く
猫の、足の、裏がかなでる
雪より白い ....
魚上氷
うおこおりをいづる
冷たい水底で
来る日も来る日も
あわぶくの羅列を眺めてきた
滞りがちな
私の中の遅い水は
妄想だけを鰓の内側に沈殿させた
待つのは慣れて ....
太平洋の荒い波が
かつてひとつであった石さえも
みっつに分断させたのよ
小説家志望の女の子の戯言が
ここでなら
信憑性をもって
語りかけてくる
干潮時にだけ現れる
海の通路を渡り ....
大雪の翌日
退院間近の幼い息子を迎えに行けるように
シャベルを握り、腰を据え、無心になって
門前に降りつもる雪の{ルビ塊=かたまり}を、掬って、投げた。
玄関から顔を出した、姉さん女房 ....
公園で母と子が手をつないで歌を歌っている
私は5歳の時
3ヶ月間入院生活を送っていた
当時の大学病院の小児病棟は
母親が付き添う様になっていた
私には3歳と生後5ヵ月の2人の妹がい ....
有事に無力感しか抱けず
悔し涙を流すのは嫌
「馬鹿」上等
むしろ馬鹿でいい
常日頃から小さな力を蓄える
OBが次々と狼煙(のろし)をあげる
戦争は反対
生きる人の ....
割れたガラスを見て永遠なんてないわと思うわたし
そんなんあたりまえやけ!
と、けとばしてみる
アナウンスが流れる
線路内に鹿が入り込んだため
列車は3分遅れて隣の駅を発車しました
その鹿はどうなったのだろう
寒いホームに
誰もが無言で
同じ方向をむいて並んでいる
....
タクシーがつかまらない
ちょうどいいバスあるかも知れない
病院坂のからくり峠
蝉鳴く頃会えるかな
俺が弱ってしまったら会えなくなる
強くなきゃ会えなくなる
自転 ....
言葉の針に意図を通すのは難しい
何を繕うでもなく
きれいなシシュウを夢見ては
チクリチクリと傷つける日々
《針子のトラ:2014年2月11日》
空もなく
風もなく
光もなく
雨も降らない
季節がない
そんなところに命があるのだろうか
あるよ。
声がした
家の建つ
ベタ基礎コンクリートで
固められた
土の中から
芽吹 ....
語弊があるような言い回しは避けて
誤解を生むような表現は消して
本当に伝えたいことだけを
傷つけないように
耳を傾けてもらえるように
心を開いてもらえるように
気分を損ねな ....
あなたはそれを
必然だと言う
わたしはそれを
偶然だと思いたい
あなたはそれを
どうしても運命にしたいらしい
わたしはそれが
無数の枝分かれの末端にしか見えない
この世界で ....
屋根が雨に叩かれている
僕を濡らさないように
屋根は僕を守っている
何かから
けれど
どうしようもない雨音が
僕の何かを貫いて
濡れないはずの袖口が
どうしようも ....
冬の下総台地の端に
小さな家一軒
剥き出しの枝と幹だけの
梨畑の中に
小さな家一軒
落葉高木の梨の樹
畑の樹は灌木のようで
海軍レーダーのように
針金が渡されている
白い季節 ....
雪が降った!
私の住む町で
こんなに雪が降り積もるのは
何年振りだろう
熱いコーヒーを淹れて
窓辺に立って外を眺める
まるで紙吹雪みたいに
ひらひらと空から落ちてくる
ひら ....
――夕映えがきれいだった あのころ
もし自転車にのれていたなら
ほかの街で ほかの暮らしをしていたのかもしれない
すでに滅びた高句麗の
釘のように錆びた川がながれる
....
僕らはみんな回ってる
宇宙と いっしょに
天の川銀河と いっしょに
太陽系と いっしょに
地球と いっしょに
ラクダと いっしょに
メキシコ人と いっしょに
....
明日いきなり 死んでしまうとして
さいごに
なにが食べたい? と聞かれても
別になにも食べたくない
缶のミルクティーと
チロルチョコだけで
遠くへ
一歩でも遠くへ
見たことのない ....
僕は生まれ変わったらディドになりたい
というとディドはベッドの枕元に座ったまま
そのままぴくりともしないで笑うようにした。困った笑いだ。
ディドは半ズボンをはいている。そ ....
都市に吸い寄せられ
消えていく
山奥の村
恋だったから
踏まれても
壊れても
染められ
私を失って
沈んでいこう
柔らかな陽射しと緑の風を抱いて
いつか
私の ....
笑われても
無視されても
ぽきぽき折れるばかりだった自尊心を
つっかい棒に
ただ適応することを
拒んだ
育っていけない子どもとして
倒れるために
長い間待った
ふるさとが沈む ....
腐る。
ギリギリのところで
なんとか持ちこたえている
としたら
死がとても怖い
かくれんぼしていて
うっかり見つけてしまった
小鳥の死骸にうごめいていたうじむし
その卵が
この空気中 ....
寒い
たった今
布団乾燥機のプラグを握りしめたまま
目が覚めた
酩酊して
コンセントを探していて
力尽きた
おい
俺よ
この六畳の部屋で
遭難死するところだったじゃ ....
ほんとうに「優」れているものは
「優」しさが、宿っています。
そうして「優」しい人というのは
どこか「憂」いている「人」です。
じぃ…と「優」を視ていると
(百の愛を身ごもる人)の、微笑 ....
それからも
春は繰り返す
ゆがむ 水の記憶の上に
橋 畦道 雑木林
学校 郵便局 診療所
ヤチブキ
エンレイソウ
カタクリ
エゾエンゴサク
プリズムのフレームに
予め切 ....
夕暮れの少し前の空が
薄桃色に発光している
家々の壁も
屋根の雪も
空にはまだ白い月
解き放たれた風船のように
心細げに浮かんでいる
さっきはビルの上にいたのに
おとなりの
....
窓辺から春の風はまだ来ない
両開きの窓は閉じられたまま
白いカーテン越しに外を見る
春の風は春の香りを運ぶのだ
春の風は春の妖精が運ぶのだ
春の風は花の香りに満ち溢る
眩い光の十字 ....
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