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――夕映えがきれいだった あのころ
もし自転車にのれていたなら
ほかの街で ほかの暮らしをしていたのかもしれない
すでに滅びた高句麗の
釘のように錆びた川がながれる
....
耳のなかに
あらぶる海波が音をたてて打ちよせる
波うちぎわがあって
すぐにきえる影をつくって
雲の列車がゆく
武器をにぎりしめている
ビルのうえには
どこにも ....
{引用= こがらししとだえてさゆる空より
地上にふりしくくすしきひかりよ}
埠頭の水たまりに
月がこごえはじめている
真夜中には
かげもまた針のようにゆっくりと ....
気難しい顔で、本を読んでいた
犬が
ニッと笑った。
――それには訳がある。
犬の気難しさより
笑いの
その意味の落差のほうが
カクッと おもしろかったのであり
....
{引用=
龍は問うた
ことばではなく
ことばにならないことばで
胸の暗がりで蹲るあらぶるものに
なぜ
龍の子は
ひとを殺めたのかと
水晶に映される
流血の惨劇は ....
{引用=
掠れた息をつくように
ベッドにそっと
言葉にならないものを吐いたとき
その言葉にならないものはすぐ露のように朝の陽にきえた
あの日のあの雲にはもうであえな ....