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暗黒の空の下には灰白色の砂が硬く積もっていた
海底は果てしなく広がっている
僕の銀色の船は今、嵐の大洋に来ている
大小のクレーターは蟹の足跡やヤドカリの巣穴のようだ
この嵐の大洋は ....
積もった雪をまたいで店に入ると
中くらいの幸せに乗っかった人たちが いっぱい
箸の先にお漬物ぶら下げて
あんまり忙しそうじゃないな
中島があんな歌を歌うもんだから
牛丼屋は
少し不幸な ....
手にしたその強大な力にも あなたは霞まなかった
宝石は輝きを失うことなく 銀河の中心の玉座であり続けた
あなたは折れない樹木 私たちの天幕
あなたの園で雌鹿は戯れ あなたの草を食むけれど
....
ちぇっ!
右肩に強い衝撃を感じたと思ったら
見知らぬ男のひとの舌打ちが耳奥にまで突き刺さる
ちぇって言われてもね
いつもと変わらぬおっちょこちょいだから
うっかり階段踏み外して捻 ....
フィクションに
幻を信じた女たちは
二日酔いの朝の様な
気だるい脱力感纏い
眩しそうに太陽睨む
フィクションに
疲れ切った男たちは
優しさに飽きた様に
冷たく無表情を装い
蒼い満 ....
夜の淵からわたしがこぼれ
わたしの淵から夜がこぼれる
固いビスケットを菩提樹の
お茶に浸して深深と雪
積もる声もことばもあるし
誰からも等しく遠ざかれば
せわしなく人の世に生きていたこ ....
頼るだけの愛は、脆い
だから
愛をいそがないで
例年通り僕の誕生日は雨だった
街の所々から音泉が湧き出ていた
それは素晴らしい日々の幕開けだろう
それ以外は考えられなかった
なんなんだろう
この不思議な気持は
プ ....
君よ愛き人よ
挫けし其の涙
自ら払い給え
君よ麗しの人
暗黒の夜にも
朝陽は明けん
あるがままに
貴方のままに
己を愛し給え
咲き誇り知り
目を開き見て
吾を叶え給え ....
天気予報は曇りのち雨
冬晴れ続きで
乾きすぎた雨女は
その唇に
無色透明のグロスをさす
鞄の隅に折畳みの傘
忍ばせてはみたけれど
きっと今日もそれを
使うことはなくて
濡 ....
悲しみを食べきれなくて
お腹いっぱいで
ほら、涙がひとすじ
自分自身を型にはめようとしているのかな
知らず知らずのうちに
「ねばらない」
そんな思いに捉われてしまう
誰かにそそのかされている訳でも
強いられている訳でもないんだけどね
つまる ....
変わらない景色に馴染めなくて
冬の雨も相変わらず嫌いなままだ
冷たい言葉遊びに対して
拒絶という、純粋すぎる答えを与えてくれた
微かにも願ったことがあったなら
さらば、青い花
....
靄を抜けて
トンネルをくぐっては
枯れ山に光
夢の残滓に朝の黄昏れ
ひとはいつ
なにを始めるのだろう
ひとはいま
なにを始めたのだろう
靄を抜け ....
わたしのあなたは
あなたではないかもしれないけれど、
けれど、いい
こぼれたミルクは飾りボタンの溝を泳いで
くるくると光を跳ね返していた
いつまでたっても混ざり合うことはなく
胸を埋めるような匂いが辺りに漂い
大気ばかりが乳白色に濁っていた
窓の向こ ....
かんかん照りの星空に
ふたりの哀しみ
狂いなく配置されている
ぼくらは模型の街にいるようだ
ふゆの夜が
星粒を散らしている
見上げるたび
眩暈してふらつい ....
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交差点の灰色の空から淡い紅色の花びらが舞い落ちる。人々はその花びらを見ること無く俯き加減に黙黙と歩いている。誰一人として空を見上げるものは無い。そして降り積もった紅色の花びらを踏みに ....
たばこのヤニで煤けたリビングの壁に一箇所
まるで雪景色を穿ったような真新しい壁紙が気になる
あのひとがわざわざ買ってきては飾っていた
贔屓にしてる野球チームのカレンダー
縦じまのユニフォー ....
星が流れる夜明け前
二人は無口になって
遥かな水平線みつめてた
流星尾を引いて空を行く
永遠を信じてここまで来たけれど
夜明けのファンタジア
教えておくれ
二人の夜はいつ明ける
海 ....
縮絨された暦に秘めた
敏く、哀愁を帯びた紅紫の日々と
愚かなる人々の美しくも艶やかな罪の数々
その淡い影と華やかな彩りに埋もれ
古びた床へと無数の疵を残して
錦鯉の泳ぐ池のある庭を ....
切り倒したばかりの白木 刳り貫いて
船をつくろう 船をつくろう
亡くなった人の骸を入れるため
船の棺に入れて 愛しい亡骸を入れて
白浜へ挽いていこう 海まで挽いていこう ....
四葉のクローバーを見付けて
一枚葉をひき千切った
するとどうだろう
さっきまで幸せの幸福の四葉のクローバーだったけど
今はそこら辺にいる普通のクローバーになっていた
気味 ....
確かにあっちがああだとしても
でもこっちはこうだし
仮にあれがそうだとしても
これがどうなるのだろう
交差するのは人差し指
虚言はいかにも真実を含んでいそうだった
....
いい詩をお書きになる あのひと
言葉はなんでもなくて、抽象性が無担保でまかり通る
それなのにそのひとの選ぶことばのならびをみて
とってもうれしいきもちになってしまう
このひとは本当はすごく ....
生まれた季節は冬の冬
年の最後のどん詰まり
暮れ行く年の落し胤
雪もはらはら降るような
生まれた街は底の街
上の街のとなり街
違っているのは人の色
違っているのは家の ....
朝日に曝される夕べの残滓
そんな粗雑もたまにはいいか
長い目で見るって
時間レベル?
たましいレベル?
生きているうちに結実するものなんて
成功か失敗しかないと思う ....
眩暈がする
粒のそろった
音の洪水
言葉の洪水
音像/位相/破綻/逸脱
シームレスで繋がる
流れ/溢れつづけるメロディ
美しい旋律
降りしきるノイズ
全てを呑み込もうとするコーラス
....
エシャレットを植えたのだが
ワケギと見分けがつかなくなった
どうでも
日本の食卓にあがるエシャレットは
ラッキョウに土寄せをして
軟白栽培し若採りしたものらしい
タマネギもペコロス ....
夜はもう星を睨まない
素晴らしい調和が
海のようにやってきて
空と地上とが
反転する
ここで重力が
反対になり
私たちは
みんな振り落とされるだろう
黒い宇宙が
波打つ ....
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