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一九九五年
一月十七日五時四六分五二秒
兵庫県南部地震
後の阪神・淡路大震災発生
死者六千四三七名
負傷者四万三千七九二名
行方不明者三名
避難人数三〇万人以上
未曾有 ....
薄氷が張った空の
水色の向こうに何があるのか
私にはわからないけれど
朝、目的地の自転車置き場で
ふと、立ち止まり見上げていた
空には、肉眼で確認できないほど
かすかな穴が開いていた
誰 ....
次女を塾に送って行った帰り道
エタノールの臭いを感じた妻が娘に訊く
消毒液の臭いがしない?
それを聞いた娘は心配そうな顔で
おかあさん、ダイエットしすぎ
妻がキョトンとし ....
花しょうぶ
さびしく並ぶ
ホームの柵で
白いパンをちぎる
包むもののない肩は
冷たく硬く
黒い雨の滴は
長く久しく
朝はこんなにも
騒がしい
ビルを巡る溝渠の水が
空をつかん ....
夕方から
タイ古式マッサージにゆくことを考えている
残業している社員たちに
オフィスグリコを奮発してあげる
いちにちを祈ろうと
なんどか試みたけれど
タイ古式マッサ ....
かの女は脳天気
ときどき夜遅く、酔っ払って帰宅し
ねむけ眼の娘のまえで歌を歌い、そして
だれよりも早くねむる
ときどき大いびきをかきながら
かの女はおこりっぽい
かの女は平気で娘のまえ ....
こどものしごとはなあ
勉強と
うちのお手伝いと
友達にやさしくすることやで
自転車のうしろの僕に
よくそう言っていた叔父は
定職につかず
まわりをいつも心配さ ....
立原道造記念館に行った日
「立原道造と堀辰雄」という図録を
細い両腕で包むように
君はぎゅっと抱き締めた
後日僕は独りで
同じ場所に佇み
在りし日の詩人の ....
兎の部分
なぜか水色
西の空に
祭りのあとの
白い月
粗雑なだけの
情事には
熱はなくて
確かめる事しかなくて
虚しい
いっぱい汁を出し ....
午後も行き過ぎて
3:00時を回る
街 街は歩かれるべきもの
二足歩行は地を這う者らの
究極の進化
重力を無視できる
二本の腕を十本の指を自由を得た 勝利
我ら工作人 羽根さ ....
悲しんでいるの?笑っているの?
遠い目をした夢追い人よ
あなたは時計を止めたまま
何を思っているのかしら
愛に疲れ果てて心凍らせて
もう誰もその瞳には映らない
私の冷たい腕に抱かれ ....
頭の中の
箱の中に
小さい女が
住んでいて
髪を方々
振り乱し
知らない言葉で
なにやらわめく
箱は女の気分一つで
如何様にも変化して
きちんと
合わさる
....
はじまりの中に
あなたは最初から
潜んでいたか
いたり、
いなかったり
選択できる
あいまいな自由に
わたしは
頬を赤くする
けれど
地べたに座りこむ
ことばの断片
引 ....
したたる、したたり、
侵食しはじめた月夜に
手足はどこまでも深く伸びている
やさしく影を包み込むようにして
月は、静かにあたたかい
当たり前のようにそこにいて
闇が照らすはずも ....
ひろいひろい畑にて
老いた木、一本ありました
ひろいひろい畑には
淋しく淋しく木が一本
ひろいひろい畑に生える
老いた淋しいその木には
ここぞとばかり、この秋は
たくさん ....
やめてけろ
ひと恋しさにちゃちゃ入れた
わたしの思いを
やんわりと断つように
春の兆しは白い肩口の奥へと隠れた
厳しさだけではない冬の素顔を知ってから
流されるのとは異なる
自ら ....
090108
ミズーリー州を
ミシシッピー河が
とうとうと流れてゆく
流れていくのは水で
河ではないと
理屈をこねる
ぼくたちの前を
気をつけをし ....
あの空は
ぼくたちにとってのどんな色で
何かを忘れないための色になったりするんだろうか?
つきぬける青に白い雲ひとつ
思いかえせば、
この変わらない空の下を
ながい間、 ....
夜の工業地帯を歩いていく
いくつもの照明の光とその
いくつもの色とで 僕はぼんやりと
何もかもを失っていくような気がした
うなづいていた
友人の会社が最近倒産したらしく
顔を合わせない ....
正月の2日から差し歯の小臼歯が取れる
それもお菓子を食べようとしてポロッと
余りにもあっけなく
松の内のハプニングゆえ開いている歯医者もなく
週明けの月曜日
診療しているのか少し不安にな ....
僕は考えている
ぼんやりと僕へ探していく場所を今日も
僕の誰もいないその場所だけれど
きっとあるはずだとこの街を
はてしなくコンパスを
歩いていく手の森の奧
出している声に鳥
あの女 ....
朝の窓へ果てしなく
警告ランプが続いていく
ぼやっと灯ると川が広がりネズミ色に流れる
ただよう木々にラインの空を
僕は登山者だ 開かれる
アスファルトに 僕は
通り抜けていくそして ....
大掃除の手始めに
なんとなく僕の部屋ということになっている
西向きの洋間
に置かれたまま整理していなかった
書類領収書請求書レシートパンフレット新聞記事コピー
などなんやらかんやら
雑多な ....
夜の片隅は 窓際に満ちていて
澄みわたった天空のオリオンと
交差しています
歴史の流れを彼なら
知っていると、したら、
交差する窓際と宇宙の果てに
言葉に似たものがあると、したら、
....
1枚の紙がたくさん集まって段ボールが出来てるんだよ
薄い紙1枚じゃ支える事ができないから
いや
薄い紙1枚でも心は支えられるんだ、心は
あと間接的に身体をもね
でも
モノは紙1 ....
お正月ぐらいはと帰った実家で
思いがけず伯父さんからぽち袋をいただいた
幾つになっても嬉しいものは嬉しい
おめぇにもやっからよ
おとそ気分全開な赤ら顔は楽しげに
崩したあぐらはすっか ....
何もかもから忘れられるための方法を探しながら
青い小鳥の歌を聴こう。
こんなにも見捨てられた楽園の中で
君の描いた僕のいびつな肖像画は
とてもお誂え向きに思える
....
真実を言葉にすると
嘘になる
痛みをやわらげると
傷になる
ただ すべる手と手を
ただ 重なるぬくもりを・・
今日は ホント会えてよかった
口数の多い、いつも飾ってばかり ....
空色のスモックを着て
如雨露も空色だったから
お空のかみさまになった気分で
プランターに雨を降らせた
ミニチュアの森を作り出す
背丈の小さなこのぐん生が
何という名前を持つのか
お空 ....
お母さんは夕餉の支度
子どもがまとわりつく
『お母さん抱っこ』
お母さんは無視して支度を続ける
子どもが繰り返す
『お母さん抱っこ』
「お母さん何しているかわからない?」
子ども ....
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