私は一体何をしていたのだろうか
座っていた場所は同じだというのに

浴びせられた絵画たちは こそっり私のどこかに
なにがしかの 謎めいた なにと言ったらいいのか
理解不能のもの
理解不能の ....
陽光に花びらが透ける
いずれかの方向から来る花の香り
比較的晴れた日の出来事
雨の日といえば
水たまりの数々の輪
雨音という楽器の音に耳をそばだてる
曇がもたらす
色の変化 ふたつとない ....
みんな幸せになればいいのに
暴力的な春風に耐えながら
詰まりそうな呼吸を必死に続け
目に入った砂粒で泣き
砂粒のノスタルジーを聞かされ
更に目からは涙が止まらず
涙が止まる方法を あちこち ....
産毛に当たった風は示す
そこかしこにもたらされた
水蒸気の束

拝借された通り道は皮膚
花びらが通る度わずかに香る
花畑の猥雑さ

耳元で囁く大気の運動
今年の音色も活性する
強弱 ....
森には絶えることなく
動物達の声が充満する
捕らえた耳の奥は
三半規管の居場所
真っ直ぐ歩く歩き方
特に滑らかな関節を
楽しむしぐさなど
脳との関係でいうところの
制御された身体の恍惚 ....
満月を花で飾ろうと
その術を問うてみる
太陽は月を照らす
あらわになる絶大さ
幾重にも花に囲まれ
蛍光灯に照らし出される
死びとの丸い艶のない顔
目を閉じ雲に脅かされず
抗うことのない ....
沈みかけた かけらをすくおうと
水に手を入れてはみたものの
指の隙間から落ちる水しかない
かけらは空中を舞う羽のよう
水中を浮くとも沈むともしれず
ただただ舞う姿に魅了される
ただただかけ ....
静かな佇まいのその本を眺め
どうしたものかと悩む毎夜
恐る恐る手を伸ばし
紙の感触を確かめるかのように
つかみ私の近い所に引き寄せる

一連の動作を繰り返し続ける
まるで誰かに指示されて ....
忘却が善か悪かという命題を
立てる事は考えなくても良い

人は忘却に救われ
そして忘却に苦しむ

別れを告げた事は散り散りになり
別れを告げられなかった事は
重く沈む

沈んだ忘却 ....
夜にアポロは眠りにつくだろう
まばゆい輝きはどこ?
夜空の裂け目に祈りを捧げる

彼らは湿地帯を彷徨い
鏡のような水面を呈した
池の畔に辿り着いた


王の前で繰り広げられる
燃え ....
道化師は幕が上がってる間
闇を見せることはない
スポットライトの影は
とても濃く床に映る

道化師は幕が下がっている間
自分を取り戻しているのか
彼のそんな姿を想像してみる
とても濃い ....
「私は幸福である」と人は如何なる場合でも感じる事は可能だろうか?
以前、テレビで寝たきりの老人が「生かされているだけで幸せです」とおっしゃったのを見た。そういった心理は多幸感と言うそうだ。
私は驚 ....
ある者が私に病という糧を渡して以来
無駄なものはないという方向に
気持ちが移行してきたのがわかる

温かい経験も冷たい経験も
私を形成する一部となる
言うまでもないが病は辛いもの

冷 ....
時々開けられる引き戸から差し込む明かりは
身じろぎもせずに居る私にとって迷惑この上ない
引き戸ごしに聞こえてくる喧噪も静けさも
今のこの私にとってはなんら関係ない
徐々に変色してきた体に始めは ....
あの目を見てごらんなさい

衝動に駆られている
誰とは申しません
あなたたちかもしれない
特定不可能

表現者となった目

込められた何か
何とは申しません
遥か彼方に居る
眼 ....
どれでもないどれか
力を振り絞って目を開き
真ん前にある一点
それを凝視することに
価値を見出した
私はあなたでもある

目を開く
網膜に何が映っているのか
それは重要ではない
そ ....
ほう
そう ですか
そう ならば
さよう ならば
さようなら
久しく遠ざけていた言葉

自分と他者を比べてしまった時
根底を揺さぶられ
成す術もなく
流れるがままの涙に身を委ね
平常に成るのを待つしかない

素晴らしいものに出会ってしまった

 ....
お金の話って好きじゃない

お金に捨てられ
お金に拾われる

お金が触媒になり
化学反応を起こして
人々が交流する

価値の差異
貨幣の流通

嗚呼
まだ私は1984年に生き ....
開け放たれた窓に向かい
今朝の私は おびえる
容赦なく冷気が
室内に充満する
窓を閉める事ができない
閉塞感の囚われの身だから

朝の目覚めは予測できない
グレゴール・ザムザだって
 ....
メニューから食事を選択
贈る花を選ぶ
余生をどう生きるか

表現困難な領域
臨界に留まる
口ごもる

瞬間 瞬間
何事につけ
折り合いをつける

生と死の根本にある
意識ある ....
私に挨拶する時
「お元気ですか?」と言わないで
返答の言葉は用意されていない
戸惑う私は
「色々ありますね」
そんな的外れな事を言ってしまう

骨と腹膜は自己主張して
去っては また来 ....
文字をしたためる時
思わずため息が出る
感嘆のため息
消衰のため息
息には変わりないけれども
色が違う息たち

私の口からこぼれる息は
一体 どんな色だろう
嫌いな色などないから
 ....
噛みしめている

染みてくる

気付かされる
黄金比のような あの男性は
昨日も 今日も 明日も 明後日も
腕から 手から スティックから
小刻みな速さでもって
残像のようにシンバルを震えさせ
あの空間にある空気達を震えさせ
震えを受 ....
私は、いかにも農家の家と言える灰色の瓦屋根の実家にいる。
庭に出てみると、白壁の土蔵の蔦に絡まった美しい男性がいた。
死んでいると思いきや、ビクッと動き私は驚いた。
その動きたるや、金粉を撒 ....
気付きは、思考を削り鋭くしてくれる
取捨選択の作業の助けと成り
それがルーティンとなれば
日々は豊かなものと成る
そして
日々の連なりの最終地点である死をも
豊かなものとしてくれるであろう ....
小粋な音を響かせる秋風に乗る
音の出所を見極めるため
後ろを振り返った私の目に止まった
見事な日本家屋が朝日に反射する

その音とは日本情緒を
たっぷりと含んだ楽器
三味線の音色と私は睨 ....
彼女は猫の名前を呼ぶ
ジャニス・ジョプリンが
お似合いの魅力的な声
猫には きちんと名前がある

かわいいいね かわいいね
繰り返し聞こえる 彼女の声

ほんわかとした時間に
突如  ....
門扉は放たれた
湖の水面
微動だにしない男
いずれ花と化す
お約束事のように

湖に浮かぶ小舟
貴婦人の高笑い
耳障りな声帯
対するは少年の歌声
お見通しの声

湖で狩りする鳥 ....
小川麻由美(201)
タイトル カテゴリ Point 日付
呪縛自由詩019/3/3 3:44
いとおしさ自由詩3*18/4/20 21:24
みんな幸せになればいいのに自由詩7+*18/4/13 3:52
うねり自由詩6*18/4/5 23:43
制御自由詩2*18/1/11 23:56
死びと自由詩2*18/1/5 18:27
かけら自由詩017/12/22 18:57
本とは自由詩2*17/10/3 10:13
忘却自由詩1*17/9/25 5:38
静寂が意味する所とは自由詩017/9/21 0:17
道化師自由詩1*17/9/15 14:30
『今宵の開花』出版にあたって。散文(批評 ...1*17/9/12 21:17
癌。それから自由詩017/8/8 1:57
名前自由詩1*17/6/30 5:49
表現自由詩2*17/6/20 21:48
凝視自由詩2*17/6/15 16:09
分解Ⅰ自由詩1*17/4/30 4:51
自己嫌悪自由詩1*17/3/29 16:53
貨幣自由詩017/3/26 15:02
閉塞感自由詩2*17/2/18 7:34
折り合い自由詩1*17/2/10 19:37
癌患者の日常自由詩5*16/12/17 0:20
輪郭に関する考察自由詩2*16/12/7 23:32
芸術自由詩2*16/12/6 12:07
渇望自由詩016/12/1 17:24
扉の向こう側自由詩4*16/11/19 12:24
シンプル自由詩0*16/10/28 22:22
ディオニソス的日本情緒自由詩1*16/10/24 18:22
過剰自由詩1*16/10/4 4:57
大きな扉自由詩1*16/9/17 11:02

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