忘却
小川麻由美

忘却が善か悪かという命題を
立てる事は考えなくても良い

人は忘却に救われ
そして忘却に苦しむ

別れを告げた事は散り散りになり
別れを告げられなかった事は
重く沈む

沈んだ忘却は ことあることに
浮上して ことあるごとに
人をさいなませる

さいなまされた人は
またもや忘却を経験し
重く沈む

   *

昇っては沈む太陽のような
忘却ならば
私は歓迎するだろう

私達は照らされている
その事を忘れなければ
何とかなる
そう思う 朝日と共に
私は強く そう思う


自由詩 忘却 Copyright 小川麻由美 2017-09-25 05:38:38
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