べっとりと体内にこびり付いた物体
これを何と呼ぶべきか私は知らない
だがこの物体は私にとって間違いなくやっかいものだ
完全に取り去る事などはなから考えない方がいい

どうしたらいいのかもう答 ....
私は舗道を歩いていた
単衣の着物を着て楚々と振舞っていたが
思いがけずつまずいてしまった
犯人は舗道の下をうねる根っこ

照れのせいか上を見上げる私
思いがけず新緑のキラメキに時を忘れ
 ....
ため息よ
消え去ってくれないか
私を煩わせるものたちの
絶好の餌となり
増幅させてしまうではないか
煩わされるなんてまっぴらだ
早々に立ち入り禁止区域から
立ち退いてくれ

私の体は ....
自分の稚拙さに嘆く
今の自分はこの程度のものしか
持ち合わせていない

この厳しい現実を直視しなければならない
直視したところで自分の背中は見えない
合わせ鏡という道具を持ち出すべきか
 ....
表現主義の映画のような
歪んだ空間に入り込む
心身共に平衡感覚を失い
パタリと事も無げに倒れる
すくっと立ち上がりBreedを歌う

マグカップのスタンディング・オベーション
マグカップ ....
今まで私は何をしていたんだろう
と思った瞬間に少しだけほんの少しだけ
眠っていたことに気付く
それにしてもこの疲労感はどこからくるのか

ふと横を見ると着物の小道具の山がある
着物と長襦袢 ....
大きな病院へ行く
今では車ですいすい行く
たくさんの科があるけど
私は間違えずに
いつもと同じ科に
しかるべき物を提出する

嗚呼待つのは嫌だ
いくら壁に素敵な絵が飾ってあっても
い ....
PAIN PAIN PAIN
これほどまでに深淵から
立ち昇ってくる
悲鳴にも似た叫びを
私は聞いたことがなかった
改めて彼が存在しない
空虚を味わうことになった

ギターを抱えたまま ....
キュビズムの絵に描かれた
向かって右上に居る裸体の少年の
手の隙間からこぼれ落ちる種子が
発芽し庭を埋め尽くし
足の踏み場もない拒絶する自然に
対峙した私はひるむ心を尻目に
植物の中へダイ ....
朝の散歩に出かける
浜辺に梱包されたものが置かれている
私が梱包をほどいてしまったばかりに
宇宙の内側に居たはずの私達は
混沌とした宇宙の外側に放り出された

そこに収められていたピアノ
 ....
目覚めると悪寒がした
体温が何度あるのか知りたくなり
枕元にあるはずの
電子体温計を手で探る
手にしたものは水銀の体温計
脇の下に挟む
3分を待ちきれず
また睡魔に襲われ眠る

自然 ....
ねじ式の少年のように
医者を探す為に放浪することもなく
私は医者を見つけることができた

いくつもの検査
結果ステージ2

決して嬉しくない医師のお言葉

手術室へ向かうベッドのアト ....
憂鬱さも手伝ってペンを持ちノートに向かう
何かが滲み出てくるようにペンはゆっくり動こうとするが
書き始めるきっかけとなった憂鬱さが
邪魔をし始めた

ぼやーっと壁に掛けた絵を観ていると
平 ....
まだ見ぬ女性に電話する
「あなたは、マグリットが好きでしょ。」
確信を持って私は伝えた
当然間違えるはずなどない

羊水に浮かび私達は遊んだ
35年間ぶりに再会した

ATGCの配列が ....
とある日
 
郵便受けに入っていた種
石灰と肥料と期待を土に混ぜ込み
成長を見守る

木の葉を器用に全身に巻き
住居と食料を兼ねる
木はやせ細り
わずかばかりの蕾を儲けた

ふい ....
廃棄された自動車のモノトーン

雑草に埋もれ かろうじて見える車体

タイヤもなく ほとんど原型をとどめていない

昔に思いを馳せたところで

この草むらから抜け出る術を知らない

 ....
夜空の裂け目に祈りを捧げ

彼らは湿地帯を彷徨い

鏡のような水面を呈している

池の畔に辿り着いた

今宵は下弦の月

王の前で繰り広げられる

ガラスの破片の上での

 ....
猫はどこ

テレビの後ろに

私の背後に

どこかの小説の中に

難解な映像の中に

猫はしなやかに溶け込む

動かない物達に囲まれ

居たい所に居る

見つけた時の安 ....
耽美派の教師になる

ロシア・アヴァンギャルドの為にレーニンの死を憐れむ

マレービッチの黄色い無限の彼方を目指す

フォンタナのようにキャンバスをナイフで裂き3次元にする

マン・レ ....
庭に出る
土蔵に這う蔦
蔦に絡まる男
死をまとった男が動き
辺りに美を放つ

扉を開く
路上に咲く貴婦人
貴婦人の厚化粧
紅が滴り落ち
鳩と同化する

一本の直線
石灰で描か ....
当てどなく 単の着物 袖通す
小川麻由美(201)
タイトル カテゴリ Point 日付
自由詩4*10/8/28 4:44
つまずき自由詩3*10/6/13 14:01
ため息自由詩1*10/6/7 5:53
ありがとうございます自由詩3*10/5/31 15:28
歪んだ空間自由詩1*10/5/29 6:47
うたた寝自由詩0*10/5/28 22:49
待つということ自由詩4*10/5/27 21:40
NIRVANA自由詩2*10/5/27 2:27
植物自由詩3*10/5/26 20:55
必ずしもピアノ・レッスンは必要ではない自由詩5*10/5/25 20:42
体温自由詩3*10/5/24 18:33
おっぱい自由詩15*10/5/23 22:54
虫取り網自由詩4*10/5/23 17:09
生後16日の痛手自由詩2+*10/5/22 19:02
切断自由詩1*10/5/22 0:53
モノトーンの生自由詩2*10/5/21 4:29
静寂自由詩3*10/5/20 14:12
しなやかな自由詩3*10/5/19 12:28
あなたがすべきいくつかのこと自由詩3*10/5/17 22:48
アンビバレンス自由詩3*10/5/17 17:37
ためらい俳句3*10/5/17 15:48

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