輪郭に関する考察
小川麻由美

文字をしたためる時
思わずため息が出る
感嘆のため息
消衰のため息
息には変わりないけれども
色が違う息たち

私の口からこぼれる息は
一体 どんな色だろう
嫌いな色などないから
どんな色でも構わない
受け止めてみせる
迷いは 無くなりつつある

ひとつ こだわりがある
インターナショナル・クライン・ブルー
あるいは IKBとも呼ばれる 青
IKBには 白 これは揺るぎない
IKBのマチエールは マットに限る
そうそう 文字の話に戻らなければ

文字をしたためる時
思わずため息が出る
私の口からIKBがこぼれる時
そんな時は訪れるのだろうか
マットな仕上がりのため息は
無限を察知できるはず

軽はずみに無限なんて
言っていいはずはない
けれども 夢を託すこと
それは私にも許されるはず
無限の境地に至る思慮

そんな境地に至れば
私の口からIKBがこぼれることだろう
IKBの色をした私のため息は
この世も あの世も 境界のない
中心もなければ 周辺もない
輪郭は滲み消えて行く

なんたる深淵!


自由詩 輪郭に関する考察 Copyright 小川麻由美 2016-12-07 23:32:01
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