ディオニソス的日本情緒
小川麻由美

小粋な音を響かせる秋風に乗る
音の出所を見極めるため
後ろを振り返った私の目に止まった
見事な日本家屋が朝日に反射する

その音とは日本情緒を
たっぷりと含んだ楽器
三味線の音色と私は睨んだ

その光景を心に浮かべてみる

背筋を伸ばした婦人が
よろけ模様の着物に
キリリと名古屋帯を締める
いなせな女性像

私が想像した女性は一人歩きを始めた

その女性は猫を溺愛していた
愛は歪みを生じる
歪みは留まることを知らない

かわいいね かわいいね
毎日そう猫に話しかけた女性は
猫を手放すことができすにいる

三味線の音は女性の手と猫の皮と絡み合い
悲しくも歪んだ愛情を奏でる

その音色はディオニソスの一角を
私に突き付けてきた
ある種の美しき音色と共に


自由詩 ディオニソス的日本情緒 Copyright 小川麻由美 2016-10-24 18:22:39
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