優しく降る 雪だから
温かい 思いだけ 振らせて
ください
下さい
両手を 救い上げて
私を 救ってくださいの ポーズ
それは ポーズ
片足を 斜めに出して
過ぎ去った ....
市場の朝は早い
そこには人間の胃袋を満たすという生の根源に直結した欲望の匂いと独特のエネルギーがある
狩人が獲物を担いで去ったあとに残された空間は
歯の抜けた老人の
ように
手持ちぶさたの待ち人顔な ....
線路脇ヒメジョオンに見送られ次の駅で降ります、わたし
信号にたどりつくたび赤になる 誰かに 急ぐな! と言われたみたいに
夏蝉は耳がないと聞きました だからことごとくおしゃべりなの ....
報われたいとかつぶやいて
誰でもない誰かを待っている
空になった発泡酒
煙草は残り二本
今夜 会おう
時間が眠る隙に
ダイヤグラムの先で
目印は赤いブレスレッド
一緒ならきっと大丈 ....
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小さい頃から
自分はいらない人間なんだと思ってきた。
いつもいつも、死にたいと思ってた。
そんな時はよく、空を眺めた。
広いな ....
じゃんけんぽん、と響いて
ひざには砂利がついて
入道雲はなんだか優しそう
砂場に掘った穴に水を入れて
サンダルを浮かべてみようか
その舟は、きっと十五年後の君へ届くんだ
夢や希望や責任 ....
見えない姿を見て
聴こえない声を聴いて
ボクらは逃げ続ける屈強な戦士
星を集めて
夜明けの弾幕はカーテンで防いだ
ボクらは会わずに会い
知らないのに知っていた
電子のプールに水をそそ ....
焼却炉に捨てられた明日
すくいあげた夏の横顔に
毛繕いを済ました嘘が
気だるく黄昏る
あなたと壊疽した月曜に
遠い過去からの絵葉書が
陰気な紙ふぶきとなって
豊満な口もとを埋め尽くす ....
涼しい水に
足を浸して
スイカを食べる
焼き鳥を頬張る
麦茶を飲んで
麦藁帽子で
お散歩をする
魚が泳いでいる
夜になったら
お星様を見て
寒いから
車の中に入った
....
先に
想いが渡る
次に
鼓動が渡る
最後に
身体と車輪が
ついていく
川面は
曇り空の下で
もっそりと
黙りこくったまま
10両編成の
小癪なリズムに
渡られ ....
七夕は梅雨空に終わり
宙で二人が会えたのかどうか
そんな話題は太古のものとなり
地上ではいよいよの夏の盛りとなった
皆が思い出作りのパズルに取り組み始め
わが子のためにと口実をつけ
案 ....
安らいでいたいと思ったら
あの人のことは忘れてしまえばいい
なんてちょっぴり寂しい
食器棚からティーカップを取り出し
角砂糖をぽとんと落としてみれば
落ち着くところはやはり見えない心の底 ....
あした咲く朝顔は
雨の軒下でこうもり傘みたいに
とじています
あしたも雨なのかな
朝顔って、おかしな{ルビ花=ひと}だね
傘をもって
生まれてくるなんて
いちど咲いたら
もう、とじ ....
夏という透明な雫
空の匂いーーー光の中で
あなたはいた
少女は往年の片時を忘れず
中年は幼時の微笑みを忘れて
時は進む
「ガラスは砕かれた玻璃の名残りだ」と
誰かが言う
その言葉は乾い ....
渡る世間にエロ
ギュッ と 搾り出した
いのち そのものが
ここにある100
パーセントの
ジュース
貴重
高価
とてもじゃ ....
また新しい朝をもらって
水をやりすぎても花は枯れ
日照り続きでも花は枯れる
足跡を残すために砂浜はあり
足跡を消すために波が追いかけてくる
有る ということについて
猫の前足の ....
楽しそうに笑っていれば楽しくなる
哀しそうに泣いていれば哀しくなる
薄っぺらな安っぽい
電飾で着飾ったフラダンスショー
ハリボテの楽園で目をつぶれば
夕暮れ浜辺で一緒にフラダンス
....
腐ったってがらがらへびなんだよ
抜け殻だなんていわせない
赤外線探知装置のついた最新鋭の進化論さ
きみの白い指のぬくもりなんていらない
金子みすずのお月様なんて絵本の
せかいのデザー ....
誘惑する怠惰にそっと触れてみる朝僕はだれ
ただひとつ詩だけが浮かぶわけでもないのにこの海に
蔓延する伝染性の恋愛文化のバラのつる
ことばにならないもどかしさかかえてはしれ直感
....
蝉が鳴いてると思ったら
お隣の山田さんだった
いつものように挨拶すると
蝉になるしかないですね
と、いつもの声で山田さん
その後ふたたび
蝉の声で鳴きはじめた
わたし ....
赤いサンダルと
傷だらけの膝小僧
くくく っと
笑いをこらえた君の影が
僕の靴をはらりとかわした
日曜日の太陽は
すぐに傾いてしまうから
それぞれの
背中に淋しさを背負ったまま ....
海の上を歩きながら
探し物をしている
水平線に
今日も日が沈んでいく
月明かりの下
見覚えのある親子が
海水浴している
あの頃わたしたちは
家族だった
あなたと手を繋ぐ夢をみた
幸せな気分で目が覚めたけど
逆夢だと思い至ると
泣きたいような
笑いたいような
(青空だという事に気がつく朝に)
....
真緑の水に素足を浸けているみたいだ
それは遠い日の御伽話
純粋だけで生きていけると思っていた頃
何にも縛られず
何からも独占されず
自由に ....
ちょうどそばにいたネコを引き寄せた
ひっかかれて少し泣いた
ネコの体に顔をうずめて匂いを嗅ぐ
ねこくさい
ネコは諦めたように
うにゃうにゃ言ったので
遠慮なく会社の愚痴 ....
地下鉄の窓から月が見えたら
君と会えるって
教えてくれた人は
ずっと
ひとりぼっちで泣いている人だった
大切なひとは
もう遠く遥かに
56億年の孤独はいっそう君を愛しくさせた
鏡に映った
昨日より
一日分白さの増した生え際を見て
思い出す
巧妙に細工された嘘が
ゆっくりと正体を現すように
染めた髪がもとの白い色に戻る
白髪は中学生の時から
生えていたよう ....
道路を歩いていると
クワガタが一匹転がっていた
手のひらに乗せて眺めると
綺麗な姿は無駄がなく音もなく
生きているのか死んでいるのかわからないので
こつこつ指先で叩いてみると
ギザギザ ....
石で打たれるような
犬に追い立てられるような悲しさに
居ても立ってもいられなく
ただただ早く帰りたかった
日没に向ってひたすら走り続けた
貝のように固く握りしめている
決して手放し ....
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