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蝉が鳴いてると思ったら
お隣の山田さんだった
いつものように挨拶すると
蝉になるしかないですね
と、いつもの声で山田さん
その後ふたたび
蝉の声で鳴きはじめた
わたし ....
海の上を歩きながら
探し物をしている
水平線に
今日も日が沈んでいく
月明かりの下
見覚えのある親子が
海水浴している
あの頃わたしたちは
家族だった
お金を数えていたはずなのに
気がつくと
銀行の人は星を数えていました
こんなにたくさん
どうやって集めたんですか
と尋ねるので
生まれた頃からあったと言いました
使いきれない ....
ことばなんて
ちっぽけだ
かさねても
いいわけにしか
ならない
いまならいえる
ことばがないから
だきしめたい
からだがないから
はじめに
ことばはなかった
からだひとつで
うまれてきた
わたしたちは
いつしかことば
そのものとなり
やがてことばとともに
きえていく