すべてのおすすめ
夕日を見ながら
夕日を見つめている
ぎらついた川面に
純情を吐き出してしまいたくなる
実体とはどこにあるのだろう?
月みたいだ、とひとりごちる
月はかたちを ....
つんざくような光と
足元で跳ねた、空き缶
そして
それを蹴飛ばす右足に
どこまでも閉鎖された、素肌の話
黒板の隅の方
珍しい雲の落書き
カーテンのたな ....
夕日はぼくの月だから
きのう月がうつくしくて
夕日のこと考えてしまってた
月がさんさんと照っていて
それは夕日みたいで
きのう夜はとても満月だった
夕日のこと想って ....
海面にゆれる
ずっと上空
どんな世界なのか
知らないけど
太陽とやらが眩しくて
ぶくぶくぶくぶく
信号を送り続けた
返事はまだこない
産卵を終え
返事はきてないけど
い ....
オレは嘘をいったか
泣きも笑いもしない人の前で
初めての時から最後の時まで
オレは何度の嘘をいったか
伝えたか
わたしは誤報を伝えたか
ホントも嘘もわからないまま
心のままの小柄な人 ....
神田小川町から靖国通を歩く四人の詩人
一人は青い顔をして健康の大事さを説きぶつぶつ食べ物の名を呟く
一人は赤い顔をして声高に愛を語る
一人は黄色い顔をして金の儲け話を話す
そして、一人は黒 ....
放課後の訓練室で
暇をつぶしていた僕たちを
待ち受けていたものは
熱放射だった
侮ってはいけない
強い熱は人を焦がす
ほら、僕の腕にはシミがついている
※
なす術もなく暮れなず ....
良かった、と呟いて
それからまた手を離すんだろう
そしたら宇宙の端から呼んでくれよ
必ず応えるさ、
まだ本当にそこにいればね
ニルヴァーナ、
そこにたどり着こう ....
気絶しそうな海が春の鼻先で
壊れたり生まれたり寝返りを打ったりしていた
レイン・ツリーと何度も口にしながら
飛行機雲を保存する方法を考えた
音が消えると振動がなくなるので
悲しみは無意味 ....
・
は記号ではなく
・
は詩だ
よく尖った鉛筆で
白紙に
・
を打つ
この奇跡を
この大事件を詩と言わずして
いったいなにが、詩であるという ....
彼女の部屋に入った
棚の上には
僕のあげたオルゴールがある
少し錆びていたけれど
オルゴールのネジを回した
途中 音を飛ばしてしまうこともあったけれど
綺麗な音楽を奏でている
....
気づいたら、すでに私でした。
鏡に映っている、ひとでした。
産声を上げる場所も
時代も
両親も
自分という役を選ぶ間も無く、私でした。
砂浜を往く、亀に憧れ
黙ってそこ ....
今日は
とても
暑い
夜風に
吹かれて
風鈴が鳴る
「チリーン、チリーン」
家の窓につけている
風鈴は
風に
あおられて
くるくる
回っていた
夏も終わろうとして ....
豊洲から有明へ
ゆりかもめ沿いに
豊洲駅を東へ歩く
すぐに現れるガス資料館を抜けると
広大な空き地が広がる
新開地とはこんな
空っぽの場所を指すのだろうか
遠景は遠すぎるが故 ....
コスモスがコスモス色に咲いてて
ススキがススキのように揺れてる
土曜の朝
私鉄沿線の住宅地を
ぼくとたあくんは歩く
めずらしく陽が射している
建物の影が舗道をおおって肌寒い
ぼく ....
雨の音に気づいて、
薄暗い転寝からわずかに目を醒まします
ひざのうえには猫がいました
雨は屋根から滑り落ち、壁をつたい、
床を這って、そして、
じわじわをわたしの胎内にしみこみます
ぴちょ ....
月のひかりは
黄金めいて降りそそぐ
それは
太陽なくして
成り立たないことだけれど
うそぶき加減が身に優しくて
わたしはつかのま
あしたの重みを
脱ぎ捨てる
思え ....
静かの海に来る前に、晴れの海に寄ったんだ
月の海、そうこの大きな穴ぼこ、クレーターは月の内部から湧き出してきた溶岩で覆われている
僕の銀色の船についている小さな窓からのぞいていると
ちょうど灰色 ....
与しないって心に説き伏せて
背中に相対し泣き虫ウイルスに感染したような
腫れぼったい言い方で空に叫んだ
「ぼくは旅人だぁ」
虚ろな兎眼にはならんと踏ん張った意固地で吹雪が霞んで見えた
....
連続するシグナルが流れ込み
激しく流れ込み
とりとめのない水圧に
胸を押される
匂いのない夕暮れが満ち
眼球の裏側に満ち
屹立する剥製のように
赤光を反射させる
{引用=
僕 ....
羊飼いが恋する
花売りの少女に
警官がピストルと花束を
同時に突き付けている
そこに偶然、居合わせてしまった
いつも大口を叩いてばかりの
女主人の大口はさらに大口を開き、ポカン。
ド ....
ちぇっ!
右肩に強い衝撃を感じたと思ったら
見知らぬ男のひとの舌打ちが耳奥にまで突き刺さる
ちぇって言われてもね
いつもと変わらぬおっちょこちょいだから
うっかり階段踏み外して捻 ....
心臓の音がすき。
けれど
心臓の音を聴くのはきらい。
脈を打つ音を聴くのもきらい。
ふとした瞬間に
その音が聴こえてきて
とても不安にある。
だって、止まってしまったのがわかって ....
慟哭はたちまちの内に凍りつき
ひとつの惑星になってしまった
あまりに穏やかなその姿を
僕は畏れた
◇
硝子ほど鋭利ではないけど
涙ほど優しくもなくて
だけど人を殺すことはできる
....
漆喰にできたひび割れは
溶けた鉄の蒸気で
ゆっくりと蘇生してゆき
心と体の仲違いは
いつか結露する
細切れの肉のように
安売りされていく苦痛を
和らげるために打たれた注射は
小さく ....
在りし日の詩人は、独り
無人の原野に佇む影となり
夕空に巡る星々を
澄んだ瞳に、映している
(この哀しみの地上こそ、我が故郷・・・)
頭上を掠める鳥達が
翼を広げ、舞い ....
ちょい悪オヤジがホテルに泊まった
何かの手違いだった
手違いだったはずなのに
彼はホテルの一室で
快適な時間を過ごしていた
ノックする音がして
ドアを開けた
ボーイだった ....
―離して
耳のツンと立った黒い子犬は
首に腕が回されるたび吠えた
―僕がいると
余計に泣かしてしまうから
犬小屋が空っぽになるのを恐れ
子犬の声まで鎖をかけられていた
....
きみの傷を食べたい
手にとって口を汚し
きみの痛みと同苦したい
冬の帰り道
きみを拉致しにゆく
きみを殺しにゆく
ぼくらはちがう空の下を歩いている
月の満ち欠 ....
暗闇のつくりかたはおしえてくれなかった、調剤を違えたことで淡くにじむ夜に、わたしたちの薄い網膜は死にかけたダイオードのようにうつくしく墜落していく、埃を纏ったディスプレイの熱を、いくつ ....
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