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その男 草木に眉を顰めて
かつて在りし栄耀の痕跡を追う
肉を刺し骨を切るのが鉄であり
火を燃やし町を興すのが鉄であった
酸素は力強かった
たゆむことなく働いた
人と動物だけが
幾度と ....
はるか昔、深海で織られた地層は
湧き上がる二つ対流の狭間で
荒々しくこそぎとられアルプスとなった
そのせめぎあいで
この谷を境に
やむを得ず東日本は南北に向きを変えたという
山中に住む ....
{引用=
飲まなかった眠剤を
ひとつぶ ひとつぶ
湿った土に埋めて
紫がかった芽が見えてきた朝から
八年間くびをそのままに待ち続けたら
柿がなる
たわわに実る柿の実は
わた ....
花びらを口に含む
美しさを
儚さを
自分のものにするため
理解するため
永遠の貝がら
柔らかく張りのある
食べられることもなく
散りゆく姿を
傍観しているのは
狂い咲きはじめた ....
言葉を、さがすのです
くろうしながら
伝えるのは
もどかしい けれど
本当に言いたいことは
行の間や【。】のなか
星の間のくらやみや
言葉のすき間にかく ....
黒い河の向こうを
電車の明かりが渡ってゆく
あと6時間もすれば
この街は放射冷却で煙れるだろう
置き去りにしたのは
ぼくの心、それともきみの心のほうなのか
あの電車 ....
君の願いは僕の夢
君の喜びは僕の楽しみ
太陽が与えてくれたものだから
小鳥が聞かせてくれたものだから
君の泣き声は僕の涙
君の怒りは僕のいたらなさ
月に落としてしまったもの ....
幼い頃は持て囃され甘い菓子で育った。
少年の時は真っ白な繭が僕を守り養った。
やがて呼吸も自由に羽を広げる頃、
誰もが欲しがる平等を平然と飛び越える翅。
指折り数えた確率は出会った瞬間に吹き飛 ....
寝入りばな
夜の船に乗って
黒く澄む空を
たゆたっていた
静謐なガラスの船は
住むもののない水底の
果てない深さを
ギラリギラリと見せた
こわいよと口に出す
まだ眠りに落ちて ....
組み立てて、組み立てたもの
を、ゆらして壊した
なぜだろう
ゆびのない夜がきみを
おいつめようとする
ゆびは、夜は、きみは、
どこにもたどりつかない
おぼろげな、消失点は ....
鬱蒼とした樹木の間から
黒い月が煌々と光る
青い空が見える。
しかし、決して昼間ではない。
ここで飛ぶ鳥は梟であるし、
地面には野鼠どもが
異様に光る目をこちらに向けている。
自 ....
かつて薔薇のように美しかった
5月生まれのお婆さんは
先週、深夜にベッドからずり落ちて
車椅子にも乗れずに足掻いていました
かつてメディアの第一線で
活躍していたお爺さんは
....
今迄のオイラは
少々の向かい風が吹けば
へこたれて
縮んだままになっちまう
ひ弱な{ルビ御玉杓子=おたまじゃくし}なのであった
物語の続く台本を、いつも
何処かに投げ捨て ....
フレデリカ、日々は
青い円筒のかたちをしている
耳栓をきつくしめて
きみのための水泳をつづける
硬質なつめたい水面にはじかれるのはよわいこころだ、よわいこころだときみが ....
僕は夢想する
雲一つ無い青空に
ぽっかり浮かぶ黒い月を
僕は夢想する
鬱蒼としたジャングルに
飛来する原色の鳥達を
僕は夢想する
ジャングルの樹々の間を
悠然と歩む ....
眠れない日の
眠れない夜は
より明確に朝と繋がる
その夜で太陽は欠けもしないし
この地球の丸さを
完全に隠し去ったりもしない
どこまでも繋がっていくこの夜は
言ってみれば人 ....
眠れない夜の窓際で
二重に映る折れそうな月
見つめるわたしの虚像が屈折して
見知らぬ冬をさがしている
ひときわ風の音が強く思える夜は
肩の震えが止まらないものだ
ハーパーを湯で割って
....
「LePoet」という
木彫りの文字が
ゆらり、夜風に揺られている
その看板を下げた店の
隣の家の竹垣に、ひっかかり
雨にぐっしょり濡れた
毛糸の帽子
店の洋燈に照 ....
わたしがうさぎだった頃
この世は赤いもやがかかっていた
花びら一枚にも手が届かないので
うつむいてありの行列を眺めるしかなかった
わたしがひなどりだった頃
飛び立ちたくて仕方がなかっ ....
太陽が僕を灼いて
遠くの世界歪ませた
水槽が君を囲んで
遠くの世界絵に変えた
僕は君の水槽に飛び込んで
濡れたまま手を繋ぎたい
熱い太陽に灼かれながら
水浸し ....
マッチ売りの少女にでもなった気分で
その鍵穴を覗くのがわたしの日課となってしまった
この街へ引っ越してきた当時はタバコ屋さんだったトタン屋根の並び
ちょっとしたお屋敷風の黒塀に
その鍵穴は ....
きみの言葉を聴いていなかった
ぼくによろめいたきみの寂しさを
聴いていなかったからごめん
サイゼリヤの駐車場で
ホテルにいくまでの時間を過ごした
きみはお父さんのことや
....
無辺際の空
金属が滑空する
滑らかな肌は
雲の白さに嫉妬する
見るものすべて
聞くものすべて
触れられぬあなたの
裸体を想起させる
悲しいことなど
嬉しいことなど
すべて綯 ....
何年か待てば
私の細胞はすべて新しくなる
そうしたらこの
君についての記憶も新しくなるのかしら
心臓の一部の細胞だけは
生まれてから死ぬまで
一度もあたらしくなることなんてないらしい
....
触れない海は
一本の線で表すことができる
松の梢からその線をくぐり
入ったり出たり 出たり入ったり
わたしには関係ないことさ
沖がぐらぐら沸き立った
あれほど引き止めたのに出て行った
....
あなたのために
さよならします
今まで
迷惑かけて
ごめんなさい
私が
みんな
悪いんだから
あなたに
許してもらおうなんて
思ってないです
さようなら
宵闇に包まれた路地に建つ
戸建住宅の玄関前に
一匹
猫が座っている
しゃんと背筋を伸ばして
正面を見据えて
その確固たる存在感を
僕は
しげしげ見ながら
通り過ぎる
どこ吹く風とい ....
Y字路にこだまする轍
夜と本気で向き合っていた
暗闇のなかの標
どこかはどこに在るのだろうか
ふたり達が消えてゆく
ひとり達が生まれてゆく
夜に糸が弾いている
....
あの文字に似ているから
今夜こそ捕まえようと思うんだ
月という船の不安定さをどこまで僕ら
楽しんでいられる?
なじみの香辛料が
食欲をくすぐる街角
窓の光が映る道
孤独という冒険 ....
最近朝早く目が覚めてしまう?なぜ??
僕が朝早く目が覚めるのは
顔を洗い歯を磨き、朝飯をたらふく食べるためです。
僕が朝早く目が覚めるのは
黒猫のトイレの砂を換え、黒猫に食事 ....
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